MLSE夏合宿に参加してきました。
普段とは違う環境の中でどっぷり機械学習を楽しめる、素晴らしいイベントでした!
この楽しさを少しでも残しておこうということで、夏合宿レポートです。
#MLSE夏合宿とは?
2019年6月6,7日に開催された日本ソフトウェア科学会 機械学習工学研究会(MLSE) の 第2回機械学習工学ワークショップ(MLSE夏合宿2019)です。詳しくはConnpassを見てね。
(実行委員として当日運営もちょっぴりサポートさせていただきました~)
#どこでやったの?
場所は箱根湯本のColony。え、なんかもう、外観からおしゃれ。
中に入るとこんな感じで、あちこちに集まって話せる場所が準備されています。
ちなみにお部屋の様子。これは大人でもワクワクしちゃいますね。しかも室内にミーティングスペースまである。さすが研修施設。
#1日目の様子
オープニング
オープニングはNIIの石川冬樹先生。
2018年に発足したばかりのMLSE、なんとこの夏合宿が20回目のイベントだそうです。勢いがありますね。
続いてプラチナスポンサー、エクサウィザーズ 佐藤さん。認知症を始めとした超高齢化社会における課題に取り組まれているエクサウィザーズさんでは、社会を変えるウィザーズを募集中とのこと。
鼎談:新しいプログラミングパラダイムとしての深層学習
夏合宿の企画セッションは「鼎談:新しいプログラミングパラダイムとしての深層学習」、東京大学の萩谷 昌己先生、Preferred Networksの丸山 宏さん、Ideinの今井 健男さんが対談形式でお話し。
⼈間とプログラムは別々の物、というSoftware 1.0に対して、Software 2.0では⼈間も数式に組込まれるか(探索リソースの一部)という話になってきて、なんですかこれ面白い!とかなり興奮しちゃいました。
できるエンジニアを確保するというメタ戦略とか、皆さん心当たりがあるのでしょうあちこちで笑いが起きていたのがとても記憶に残っています。
そうそう。萩谷先生が開講されている 実データで学ぶ人工知能講座(AIデータフロンティアコース)は 7月いっぱいまで受講生を募集 されているそうです。これ無料で受けられるってすごいことですよね……。
発表セッション
初日の発表セッションは、機械学習プロジェクトのPoC問題から始まり、Facebook/Ax解説、早期停止アルゴリズム入りライブラリOptunaとTuneにおける実装方法の解説、製造現場での精度向上を目的に分類ラベルからセグメンテーションタスクを学習させる話、最後はコンパイラの話!と充実した内容。
門外漢でわからないテーマもありましたが、発表者の熱量がすごくて面白かった。
- なぜ機械学習プロジェクトはPoC で終わるのか - アンケート調査: 石谷 規彦, 坂本 竜太, 定塚 和久, 長柄 昌浩, 吉岡 信和
- Facebook/Ax: Adaptive Experimentation Platformの解説: 野村 将寛, 芝田 将
- ハイパーパラメータ最適化における実用的な早期停止アルゴリズムの考察: 芝田 将, 野村 将寛
- 分類ラベルからのセグメンテーションタスクの学習に関する考察: 伊藤 優
- ディープニューラルネットワークのモデル特化ハードウェア合成コンパイラ: 高前田 伸也, 藤澤 慎也, 藤崎 修一
夕食からのナイトセッション
午後いっぱい、たっぷりセッションを楽しんだ後はお待ちかねの夕食です。セッションメニューもすごいけど、食事のメニューもすごい。
萩谷先生の乾杯からスタートした夕食、固定席ではなくフリーアドレスなこともあって、自分のペースで食事を楽しんだ後、いろんな方とお話しすることができました。
夕食後はナイトセッション。石川先生のお話を聞きながら、あちこちで盛り上がっています。
私も機械学習プロジェクトのマネジメントの話や、学習データの収集・取り扱いに関する法的な話。モデル構築のスピードアップについてなど、様々なお話しができてとても刺激を受けました。
このあたりは合宿形式の良いところですね。
#2日目の様子
基調講演:機械学習モデル理解のための説明法
2日目は朝9時から。皆さん夜遅くまで盛り上がっても、朝はちゃんと集合してる。えらい。
基調講演は大阪大学の原聡先生です。
機械学習モデルの判断根拠を提示するための説明法についてという、非常に興味深いテーマ。
モデルを説明することは、ユーザーが機械学習モデルを元に次のアクションを取るために必要なステップ。
という話がすっごく腹落ちしました。納得してもらうための説明を心がけよう。
発表セッション
2日目の発表セッションも盛りだくさんでした。特にサービスの長期継続に関するお話は興味深かったです。
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機械学習活用に向けた解釈手段の比較考察: 太田 裕一, 北野 健太, 早川 芳昭, 石川 冬樹
同一問題について、異なる分類手法を適用してMLプロジェクトのフェーズに応じた利用手法を提案。適用事例として、クレジットカードのデフォルト予測 -
科学的説明を持つ機械学習システム: 橋本 順之
画像認識でLIMEで説明、決定木で説明、複数機械学習モデルの組み合わせた場合の予測と説明。 -
機械学習システムの動的な保証のための支援ツール開発:小池 湧大, 松野 裕, 石川冬樹
運用時のシステムの継続的な保証って、すごく大切なテーマですよね。と改めて思いました。 -
機械学習ソフトウェアシステムの環境変化適応の課題とアプローチ: スマートフォンのナビゲーションアプリケーションを例として: 田中 優之, 青山 幹雄
サービスの長期化による環境変化への対応、改修をリードできるエンジニアの重要性!MaaSを始め、サービス系では欠かせないお話しですね。 -
為替レート予測における機械学習システムのモニタリング手法の検討: 北野 健太, 石川 冬樹
外国為替カバー取引を題材に、過去の為替レートから将来のレートを予測。
ポスターセッション
ポスターセッションは8つ。最初に1分間ずつ概要をお話しいただき、その後各自好きな順番で気になるところを見て歩く方式です。
午後になって雨も上がり、爽やかな雰囲気の中で皆さんポスターに見入っていました。
青空ポスターセッションも行われていて、いい雰囲気です。
- 機械学習エンジニアのデータ分析と知識習得を支援するツールMALSS: 鴨志田 亮太, 石川 冬樹
- JAXAにおける機械学習システムの解釈可能性向上に関する取り組み: 菅原啓介、明神智之、橋本真太郞、森健史、石濱直樹
- 機械学習自動化でラクにデータ分析"RakuDA": 塩田 哲哉, 及川 一樹, 境 美樹
- 機械学習応用システムのテストにおける入力空間分割の評価: 石川 冬樹, 徳本 晋
- Human-in-the-loop型機械学習におけるモジュールの再利用化と開発支援: 大木 憲二, 中里 克久, 谷田 英生, 西村 駿人, 野村 佳秀
- 品質および説明可能性に関する考察: 丸山 宏
- DeepVisual: A Visual Programming Tool for Deep Learning Systems: Chao Xie, Hua Qi, Lei Ma, Jianjun Zhao
- 融合分野としての機械学習工学における技術チャレンジ: Fuyuki Ishikawa, Takeo Imai, Shinya Katsumata, Kohei Suenaga, Mahito Sugiyama, Taro Sekiyama, Ichiro Hasuo, Satoshi Hara, Hiroshi Maruyama, Nobukazu Yoshioka and Hironori Washizaki
クロージング
クロージングでは、今後の予定が掲載されていました。MLSE Webサイトにも今後掲載予定のようです。
8月のJSSST大会、SES2019ワークショップ、10月18日の国際シンポジウム、11月のIBIS 2019などこの先も色々なイベントがあるようで気になりますね。
#感想
冒頭に書いた通り、普段とは違う環境の中でどっぷり機械学習を楽しめる、本当に素晴らしいイベントでした。
様々なセッションを聞いて、刺激を受けて、それをその勢いのまま様々な方と語り合う時間があるというのは理解が深まりますね。
あと施設もとてもよかったです。貸し切りだったので、時間を気にせずナイトセッションや交流を楽しめました。
プロジェクションマッピングされている温泉があったのも、温泉ソムリエとしては嬉しいポイントでした。
また来年も参加したい!