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梅田望夫さんがむかしWeb2.0を将棋に喩えた考察から、AI開発をヒルクライムで考える

Last updated at Posted at 2025-07-07

生成AIを活用した開発の「高速道路」の先は? 梅田望夫氏の視点から考える

かつて梅田望夫氏が著書『ウェブ進化論』の中で、ITとインターネットの進化が将棋界に大きな変化をもたらしたことを「将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれた」と表現しました。これは、定石や棋譜データ、終盤のパターンといった情報が誰もが共有し学べるようになり、将棋の学習効率が飛躍的に向上したことを指しています。羽生九段がこの変化を「高速道路」と表現したことが由来のようです。

この話は、現在の生成AIの状況にも通じる部分があるように感じられます。
生成AIはまさに「先人たちの知識を饕餮のごとく喰らい尽くしたデータ」の上に立っています

生成AIがもたらす「効率化」と「新たな挑戦」

生成AIを活用することで、私たちは「山麓からコツコツ歩くこと無く自動車でたどり着くような感じ」で、目的を果たすためのコードを手に入れられるようになりました。山頂に電波塔があるような山なら1000m超えであっても自転車で登れます。

車道が切り開かれているということは、誰かが既に登っていて、道筋が開かれ、均され、舗装すらされ、なおかつ継続的にメンテナンスされているルートだということになります。

生成AIを積極的に活用する方は、「より高い山にチャレンジできる」と期待されていることでしょう。
一方で、少し懐疑的な方は「そのくらい自力で登れるし、自力で登った方が楽しいし」と感じるかもしれません。

たどり着けない場所、さらには「遭難」の可能性

ただ、ここで少し悩ましい点があります。
それは生成AIで手に入れたコードが「5合目までしか生成AIでは辿り着けず、かつ5合目から山頂にたどり着くほどの脚力が無い場合」です

未踏のピークだったり、あまり登られていないルートだったり。
指示が不適切で道が間違っていたり。

たどり着けないならまだしも、「動く」コードを手に入れたからといって、それが「動き続ける」コードになっていないのにサービスインしてしまえば、プロダクトは遭難するでしょう。

その先へ登るために

梅田望夫氏は、羽生九段や渡辺九段らを例に挙げ、「超一流」を定義する式を示しました。

超一流 = 才能 × 対象への深い愛情ゆえの没頭 × 際立った個性

この中で「才能」はなかなかコントロールできない部分ですが、「没頭」と「個性」はコントローラブルです。

生成AIが私たちを連れて行ってくれる場所の中に、きっと自分の「好きだと思える風景」があるのではないでしょうか。
好きでなくとも比較的苦しまずに登れる場所(≒向いている?)もあるかもしれません。

そうした好きだったり、向いていそうな場所に、自力で登ってみる体験を積み重ねることで登坂力が上がるように思います。

また、AIの助けを借りて登った先で諦めてしまっても、何度か登り直してみる、ということも有効かもしれません。
生成AIはある程度思考過程まで示してくれます。それは、自力で歩くときの参考にもなります
(もちろん、その地図が常に正しいとは限りませんが、その試行錯誤も含めてトレーニングになります)。

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