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Oracle接続を図解する<動的サービス登録>

Last updated at Posted at 2019-08-14

Oracleに接続するための「サービス登録」

Oracleに限らずデータベースは基本的に、何らかのクライアントからネットワーク経由で接続して利用されます。

クライアントからOracleデータベースに接続するにあたっては、
リスナープロセスがいったん接続要求を受け付けて、クライアントが要求する「サービス」の名前を見て、最終目的地であるインスタンス(データベース)に転送してくれます。
郵便に例えるなら「サービス名」は表札、名札のようなもの、「インスタンス(データベース)」は本当の宛先、おうちです。
そして「リスナー」は郵便配達人。

リスナーがクライアントの要求通りデータベースにリクエストを転送できるのは、
「どのサービスをどのOracleインスタンスが提供しているか」の情報を知っているからです。
言い換えると、どのおうちに、何という名前の名札がかかっているかを知っている、ということ。

これらのサービス(≒名札)の情報は、listener.oraファイルにあらかじめ書いておくか、動的にリスナーに登録する仕組みを利用することができます。
後者の仕組みは「動的サービス登録」と呼ばれます。

listener_abstract.png

サービスとは

  • クライアントがインスタンスに接続するための名前
  • Oracleインスタンスが提供するサービスの名前(≒データベース名)

動的サービス登録とは

  • インスタンスが、自身の担当しているサービスの情報をOracleリスナーに登録するための仕組み
  • 60秒間隔で動くLREGというプロセスが、初期化パラメータ「LOCAL_LISTENER」「REMOTE_LISTENER」で指定したネットワーク・アドレスに接続して、サービス情報を送信します

動的サービス登録におけるサービス追加のイメージ

service_add_2.png

  • 初期化パラメータ SERVICE_NAMES には、サービス名を複数定義することができます
  • 「サービス名」は、あるOracleインスタンス(データベース) に対して、名札をつけるイメージです。名札は1つだけでも、複数あっても構いません
  • 「サービス名」が名札なら、「リスナー」は郵便配達人に例えることができます
  • Oracleのバックグラウンド・プロセスの1つであるLREGプロセスが、データベースにかけられている1つ以上の「名札(サービス名)」の情報を「郵便配達人(リスナー)」にあらかじめ教えてあげることによって、クライアントから接続要求が届いたときに、「郵便配達人(リスナー)」は接続要求にかかれた「名札(サービス)」を読み取り、正しいデータベース宛に転送することができるようになります
  • クライアントは、複数あるサービス名のうち1つの名札を指定すれば、データベースに接続することができます

「動的サービス登録」の行われるタイミング

  • デフォルトでは、サービス情報を登録するLREG検出ルーチンは、60秒ごとに起動されます
  • Oraleインスタンスの起動時や 「ALTER SYSTEM REGISTER ;」コマンドを発行することで、データベースから リスナー へとサービス名が通知されてリスナーの動的構成に使用されます

Oracle Help Center:

リスナーの起動直後にALTER SYSTEM REGISTER文を実行するスクリプトを作成することをお薦めします。
https://docs.oracle.com/cd/E82638_01/riwin/database-init-parameters-for-service-registration.html#GUID-689D76EF-2E98-468D-90AF-B97AB6255821

Oracleインスタンスにおけるサービス名の追加/確認方法

  • 初期化パラメータ「SERVICE_NAMES」を alter system コマンドで更新します
  • show parameter コマンドで現行値の確認ができます
SQL> alter system set service_names=orcl,orcl2;

システムが変更されました。

SQL> show parameter service_names

NAME                                 TYPE
------------------------------------ ----------------------
VALUE
------------------------------
service_names                        string
ORCL, ORCL2
SQL>

「動的サービス登録」されたサービス名の確認

  • 登録されたサービスの情報はファイルには記録されません
  • サービスの登録状況は、lsnrctl status や lsnrctl service コマンド等で確認できます
  • 下の「lsntctl services」コマンド出力に、「動的サービス登録」されている「orcl」「ORCL2」が出力されています
  • 動的サービス登録されたインスタンスのうち、状態が「READY」であるものは接続受付可能とわかります
C:\Users\KANAKOUTSUMI>lsnrctl services

LSNRCTL for 64-bit Windows: Version 19.0.0.0.0 - Production on 05-8月 -2019 19:15:59

Copyright (c) 1991, 2019, Oracle.  All rights reserved.

(DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=DESKTOP-5RC350R)(PORT=1521)))に接続中
サービスのサマリー...
サービス"CLRExtProc"には、1件のインスタンスがあります。
  インスタンス"CLRExtProc"、状態UNKNOWNには、このサービスに対する1件のハンドラがあります...
    ハンドラ:
      "DEDICATED" 確立:0 拒否:0
         LOCAL SERVER
サービス"ORCL2"には、1件のインスタンスがあります。
  インスタンス"orcl"、状態READYには、このサービスに対する1件のハンドラがあります...
    ハンドラ:
      "DEDICATED" 確立:0 拒否:0 状態:ready
         LOCAL SERVER
サービス"orcl"には、1件のインスタンスがあります。
  インスタンス"orcl"、状態READYには、このサービスに対する1件のハンドラがあります...
    ハンドラ:
      "DEDICATED" 確立:0 拒否:0 状態:ready
         LOCAL SERVER
サービス"orclXDB"には、1件のインスタンスがあります。
  インスタンス"orcl"、状態READYには、このサービスに対する1件のハンドラがあります...
    ハンドラ:
      "D000" 確立:0 拒否:0 現行:0 最大:1022 状態:ready
         DISPATCHER <machine: DESKTOP-5RC350R, pid: 3288>
         (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=DESKTOP-5RC350R)(PORT=54124))
コマンドは正常に終了しました。

C:\Users\KANAKOUTSUMI>

インスタンスの「状態」

「状態」フィールドは、インスタンスが接続を受け入れられるかどうかを示します。
動的サービス登録されている場合は、UNKNOWN以外のいずれかの状態が表示されます。

  • READYは、インスタンスが接続を受け入れられることを意味します。
  • BLOCKEDは、インスタンスが接続を受け入れられないことを意味します。
  • READY/SECONDARYは、これがOracle Real Application Clustersのプライマリ/セカンダリ構成のセカンダリ・インスタンスであり、接続を受け入れられることを意味しています。
  • RESTRICTEDは、そのインスタンスが制約のあるモードであることを示しています。リスナーは、このインスタンスへの接続をすべて阻止します。
  • UNKNOWNは、インスタンスが、サービス登録を使用して動的に登録されているのではなく、listener.oraファイルに静的に登録されていることを意味します。このため、ステータスは不明です。

サービス登録に関わる構成情報

  • LREGがサービス登録の時の接続先アドレスとして認識する「LOCAL_LISTENER」のネットワークアドレスは、デフォルトではサーバ側の tnsnames.ora ファイルに記述されています
  • (初期化パラメータ「LOCAL_LISTENER」の値としてネットワークアドレスを直接書いても良い)

【tnsnames.ora抜粋】

LISTENER_ORCL =
  (ADDRESS = (PROTOCOL = TCP)(HOST = DESKTOP-5RC350R)(PORT = 1521))




「静的な登録」の方法は「Orace接続<静的なサービス登録>」に書きました。

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