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Go を一緒に学んでいるときに質問されやすいところ3セット

Last updated at Posted at 2019-12-22

こんにちは。
Women Who Go Tokyo の micchie と申します。
Go4 Advent Calendar 2019 の22日目の記事を担当します。

Women Who Go Tokyo は、毎月1回 Go についての勉強会を行っています。
Go にはじめて触れる方にも安心して楽しく参加していただけるよう、少しずつ改良を重ねながら運営しています。

最近は「Go のことを学びながらやっていたら、いつのまにか家計簿アプリができていた!すごい!」を体験していただけるように「家計簿アプリを作ろう!」というタイトルやっています。
教材を提供してくださっている @tenntenn さん、いつもありがとうございます。

今日のアドベントカレンダーでは、質問をもらうことが多い箇所について紹介したいと思います。
今後の勉強会の助けになりますように。

説明が怪しいところは是非、正していただけますと幸いです。

※ ちなみに、すでに大変良い形でまとめてくださっている素敵なブログが、たくさんあります!

1. ポインタがわからない

ポインタとは、データ本体のアドレスを指すものです。
あまり良い例ではありませんが「上野動物園のクマ舎にいるマレーグマ」を想像してみてください。

- データ本体: マレーグマ
- アドレス: 上野動物園のクマ舎

bear という変数に “マレーグマ” を格納します。

var bear string
bear = "マレーグマ"

bear は “マレーグマ” の本体です。

fmt.Printf("%s\n", bear)
fmt.Printf("%p\n", &bear)

上記を実行すると、データ本体とそのアドレスを出力できます。

bearのデータ本体: マレーグマ
bearのアドレス: 0x40c138

0x40c138 が「上野動物園のクマ舎」を表す「アドレス」です。
& をつかってデータ本体からそのアドレスを取り出しています。

次に、b に bear を代入します。

b := bear

代入は値のコピーです。

fmt.Printf("bのデータ本体: %s\n", b)
fmt.Printf("bのアドレス: %p\n", &b)

上記を実行すると、

bのデータ本体: マレーグマ
bのアドレス: 0x40c150

このようになります。
データ本体は同じに見えますが、アドレスが bear と b は異なります。
マレーグマが 0x40c150 という「上野動物園のクマ舎 (2)」にコピーされたということになります。(しかしクマがコピーされるなんて…物理的にはありえない…)

今度は p というポインタ変数を作って、bear のポインタを代入します。

var p *string
p = &bear

*string は string のポインタ型です。

fmt.Printf("pのデータ本体: %s\n", *p)
fmt.Printf("pのアドレス: %p\n", p)

上記を実行すると、

pのデータ本体: マレーグマ
pのアドレス: 0x40c138

このようになります。
ポインタ変数に * を付与することで、そのデータ本体を取り出すことができます。
また、bear のアドレスを代入しているので、同じアドレスとなります。

The Go Playground

2. 配列とスライスがむずかしい

Go には配列とスライスがあります。この時点で「スライスとは?」みたいな気持ちになる人も少なくはないようです。

配列を作る

配列は、同じ型のデータを集めたもの、スライスは配列の一部となります。

まずは、長さが 3 の string 型の配列を作成します。

array := [3]string{"シロクマ", "ツキノワグマ", "アメリカクロクマ"}

配列は、長さも含めて一つの型となります。
そのため、要素を追加したい場合は、その長さにあった配列を作り直さなければなりません。

array[0] = "メガネグマ"
array[1] = "メガネグマ"
array[2] = "メガネグマ"

このように値の書き換えはできますが、長さを超えると、

array[3] = "メガネグマ"

エラーとなります。

invalid array index 3 (out of bounds for 3-element array)

スライスを作る


スライスを作ります。

slice := []string{"シロクマ", "ツキノワグマ", "アメリカクロクマ"}

一見、上の配列と同じように見えますが、実態は下記のようになっています。

1. 長さが 3 の string 型の配列が作られる。
2. 1. を参照したスライスが作られる。

このようにスライスを作ることもできます。
この make の段階では、各要素はスライスの型のゼロ値 (この場合は string なので空文字) が格納されます。

slice := make([]string, 3)
slice[0] = "シロクマ"
slice[1] = "ツキノワグマ"
slice[2] = "アメリカクロクマ"

スライスから取り出す

スライスの値は範囲を指定して取り出すことができます。

// slice全体: [シロクマ ツキノワグマ アメリカクロクマ]
fmt.Printf("slice全体: %v\n", slice)

// 最初〜最後まで: [シロクマ ツキノワグマ アメリカクロクマ]
fmt.Printf("最初〜最後まで: %v\n", slice[:])

// インデックス0〜最後まで: [シロクマ ツキノワグマ アメリカクロクマ]
fmt.Printf("インデックス0〜最後まで: %v\n", slice[0:])

// インデックス1〜最後まで: [ツキノワグマ アメリカクロクマ]
fmt.Printf("インデックス1〜最後まで: %v\n", slice[1:])

// インデックス2〜最後まで: [アメリカクロクマ]
fmt.Printf("インデックス2〜最後まで: %v\n", slice[2:])

// 最初〜インデックス1-1=0まで: [シロクマ]
fmt.Printf("最初〜インデックス1-1=0まで: %v\n", slice[:1])

// インデックス1〜インデックス1-1=0まで: []
fmt.Printf("インデックス1〜インデックス1-1=0まで: %v\n", slice[1:1])

// インデックス1〜インデックス2-1=1まで: [ツキノワグマ]
fmt.Printf("インデックス1〜インデックス2-1=1まで: %v\n", slice[1:2])

// インデックス1〜インデックス3-1=2まで: [ツキノワグマ アメリカクロクマ]
fmt.Printf("インデックス1〜インデックス3-1=2まで: %v\n", slice[1:3])

// panic: runtime error: slice bounds out of range [5:3]
fmt.Printf("インデックス5〜最後まで: %v\n", slice[5:])

スライスに追加する

スライスは値の追加ができますが、長さ以上の要素を直接入れようとすると、エラーになります。

slice[3] = "メガネグマ"
.
.
.
panic: runtime error: index out of range [3] with length 3

しかしスライスは、配列と違って長さを持たないため、append を利用して要素の追加ができます。

slice = append(slice, "メガネグマ")

スライスの cap と len

スライスには cap という容量を表すものと、len という長さを表すものがあります。
下記は、cap と len を指定しながらスライスを作った例です。

slice := make([]string, 3, 3)
fmt.Println(slice, len(slice), cap(slice))
1. 長さが 3 の string 型の配列が作られる。
2. 1. を参照したスライスが作られる。

このときの 1. のサイズが cap、配列に入っている要素の数が len です。
要素は string のゼロ値が入っています。

[  ] 3 3

ここで、要素をいくつか足します。

slice = append(slice, "アメリカクロクマ")
fmt.Println(slice, len(slice), cap(slice))

slice = append(slice, "ツキノワグマ")
fmt.Println(slice, len(slice), cap(slice))

slice = append(slice, "ホッキョクグマ")
fmt.Println(slice, len(slice), cap(slice))

slice = append(slice, "マレーグマ")
fmt.Println(slice, len(slice), cap(slice))

最初に3つ、string のゼロ値である空文字が格納されたあとに 1 つ追加したため、len は 4 です。

[   アメリカクロクマ] 4 6
[   アメリカクロクマ ツキノワグマ] 5 6
[   アメリカクロクマ ツキノワグマ ホッキョクグマ] 6 6
[   アメリカクロクマ ツキノワグマ ホッキョクグマ マレーグマ] 7 12

cap に注目してください。
append を行ったときに、cap よりも大きくなってしまう場合 cap のメモリを拡張するのですが、拡張前の cap の倍を確保しに行こうとしています。

- アメリカクロクマを追加する前は、cap が  3 で、 6 に拡張。
- マレーグマを追加する前は、cap が 6 で、12 に拡張。

ある程度の値が増えることがわかっている場合は、最初からスライスの cap を指定することで、メモリの効率を考慮した書き方ができます。

3. Range が期待をうらぎる

Go ではスライスのループを利用することがよくあります。
たとえば、下記のようなスライスを作成して、順番にクマの名前とアドレスを表示するプログラムを書きます。

bears := []string{"シロクマ", "ツキノワグマ", "アメリカクロクマ"}

for _, bear := range bears {
    fmt.Printf("range bearのデータ本体: %s\n", bear)
    fmt.Printf("range bearのアドレス: %p\n\n", &bear)
}

上記を実行すると、

range bearのデータ本体: シロクマ
range bearのアドレス: 0x40c138

range bearのデータ本体: ツキノワグマ
range bearのアドレス: 0x40c138

range bearのデータ本体: アメリカクロクマ
range bearのアドレス: 0x40c138

このようになります。何か気づきませんか…?
同じアドレスです。値のコピーは作成されないのです。

これに気づかない状態で、サクッと並列化します。

for _, bear := range bears {
    go func() {
        fmt.Printf("bearのデータ本体: %s\n", bear)
        fmt.Printf("bearのアドレス: %p\n\n", &bear)
    }()
}
time.Sleep(1 * time.Second)

上記を実行すると、

./prog.go:12:47: loop variable bear captured by func literal
./prog.go:13:47: loop variable bear captured by func literal
Go vet exited.

bearのデータ本体: アメリカクロクマ
bearのアドレス: 0x40c138

bearのデータ本体: アメリカクロクマ
bearのアドレス: 0x40c138

bearのデータ本体: アメリカクロクマ
bearのアドレス: 0x40c138

期待した結果になりますでしょうか。期待から外れています。
ループ変数である bear は各ループで変更されるため、goroutine は bears の最後の値を利用します。

これを回避するには、下記のようにパラメータで渡したり、値をコピーすると良いでしょう。

for _, bear := range bears {
    go func(bear string) {
        fmt.Printf("bearのデータ本体: %s\n", bear)
        fmt.Printf("bearのアドレス: %p\n\n", &bear)
    }(bear)
}
for _, bear := range bears {
    bear := bear
    go func() {
        fmt.Printf("bearのデータ本体: %s\n", bear)
        fmt.Printf("bearのアドレス: %p\n\n", &bear)
    }()
}

The Go Playground

最後に

毎月開催されている Women Who Go Tokyo ですが、色んな人に Go を楽しんでもらいたいと思っています。
こちらの記事 Women Who Go Tokyo という取り組みでわたしたちは。|micchie|note でも紹介しているので、興味のある方はぜひ、覗いてみてください。

※ 本当はレシーバの話も書きたかった…間に合わなかった…

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