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#1. この記事について
データ分析ツールの画面デザイン設計時に参考になるかなと思い購入した書籍、『データ視覚化のデザイン』の読書レビューです。
最近読んだおすすめ本レビューと自分の備忘録を兼ねて記事にしました。
#2. 書籍情報
タイトル:データ視覚化のデザイン
著者:永田ゆかり
出版社:SBクリエイティブ
出版日:2020/4/30 初版
#3. こんな方におすすめ
- 経営管理システムや※BIツールなどデータの視覚化システム構築に参画するデザイナー、エンジニアで、どのようなデザインにするか悩まれている方
- プレゼンでデータをチャートにしてまとめているが、見た目が微妙なため改善したいと思われている方
※BI(Business Intelligence)ツールとは:企業がデータを収集、統合し、視覚化させて経営陣や社員の意思決定を促進させるためのツール。
代表的なもので、Looker、Tableau、PowerBI、MicroStrategyなどがあります。
#4. 著者について
永田ゆかり
アクセンチュア、楽天、KPMGなどを経て、独立。
PATH Data Analytics & Visualization(PATH株式会社)を立ち上げる。日本Tableauユーザー会会長を務める。
2019年2月にTableau ZEN MASTER に日本人女性で初めて選ばれる。
データ活用コンサルティングに加え、データビジュアライゼーション、データアナリティクス、データ分析・活用のためのクリティカルシンキング、役員向けデータ活用研修などをテーマとしたトレーニング講師を行う。
「ビジネスとデータをつなぐ」「データビジュアライゼーション」「データ視覚化のデザイン」「データアナリティクス」などのテーマで講演、メディア、新聞などへの寄稿多数。
PATH株式会社代表取締役(PATH Data Analytics & Visualization)
データメディア「Data Viz Lab」主宰
早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員
早稲田大学政経学部卒
引用元:『データ視覚化のデザイン』表紙カバー
#5. 本の内容
第1章 データ視覚化「キモのキモ」
この章では、データ視覚化する上で前提となってくる内容と、デザインの基本的な内容がまとめられています。
具体的には、
- そもそもなぜ統計データを視覚化する必要があるのか
- どのような視覚属性があるのか
- 表示するデータをユーザーが記憶しやすくするにはどのように表現すれば良いのか
などの内容を知る事ができます。
また、線や色などでデータとは関係ない要素があまりにも多くあると、ユーザーはデータ以外から受ける認知的負荷から分析作業を離脱する可能性が高くなってしまいます。
認知的負荷とはどのようなものなのかという概念やデザイン法則、負荷を軽減する方法なども紹介されています。
第2章 これだけでグッとプロっぽくなるコツ
1章からさらに踏み込んで、どのような色やテキスト、フォントやレイアウトにすると見やすく使いやすいものになるのか、データ視覚化を向上させるポイントが色々な画像と併せて説明されています。
デザインを調整することで、情報をコントロールできるようになります。
第3章 目的に応じたチャートの選択
2章では全体のデザイン面の内容でしたが、この章ではチャートを主軸とした内容になります。
データを視覚化する上で、どのような目的があり、その上でどのようなチャートを選択する事が適切なのか。
色々なチャートが紹介されており、どのような場面でどのチャートを選択して表現するべきかを解説しています。
第4章 事例で学ぶ -ダッシュボード作成過程思考キャプション-
この章では、ダッシュボードと何なのか? どのような種類があってどのような使われ方をするのかが解説されており、ダッシュボードの作成例も何パターンか紹介されています。
また、デスクトップのダッシュボード作成例だけでなく、モバイルデバイスでのデザインパターンも掲載されています。
第5章 本当に組織に根付かせるために
前の1章から4章まででは画面上でユーザーにどのように見せるかに主眼を置いていましたが、この最終章では表層のデザインの内容ではなく基礎となる深層の部分を解説しています。
- 誰がこのツールを使うのか?
- その人はどんな問題を解決したいのか、どのようなニーズがあるのか?
- その人の真のペインポイントは何なのか?
そして、ユーザーとの対話や、レビュー・振り返りの重要性と受け方を解説しています。
#6. この本の評価とおすすめポイント
①すぐ使えるデータ視覚化のデザイン例
データ視覚化デザインについての内容が体系的にまとめられています。
画像でどのようなレイアウトや配色、チャートにすれば良いのか解説されていてとても参考になり、実戦ですぐ使えそうなものばかりです。
もしダッシュボードのデザインを設計されているなら、この本は効果の即効性が見込めるのではないかと思います。
また、個人的には今まで漠然と感覚でやってきたチャートのビジュアルデザインの理由付けができると言う点が読んで良かったポイントだと思います。
②データ視覚化以外での重要な内容
ビジュアルデザインだけではなく、レビューや振り返りの重要性、ユーザーとの対話など、表層デザインだけではなく、深層部分の重要性も解説されています。
最近プロジェクトでデザインを設計していて、このツールを使う人って結局3種類いるよね?このデザインだとダメじゃない?と思う事もあり、この本を読んで改めて、表面のデザインを作るうえで見過ごされがちな深層部分の重要性を感じました。
この部分が解説されている5章はデザインの内容と比べると量は少ないですが、読む価値がとても高いと思います。
③読み物として面白い
データ視覚化のデザインというなかなか特化した内容ではありますが、基本的な部分は他のデザインとは変わりませんし、読み物としても面白いと思います。
中にはそんなデータやチャートの表現の仕方があったのかと思う部分もあり、仕事とは関係なくても、読むのもありなのではないかと思います。
#7. まとめ
どのようなデザインでデータを表現すれば良いのか分からない、データ視覚化デザインについて学びたい、という事であれば、おすすめの一冊です。
チャートやイラストで解説されているので、とても読みやすいです。デザイナーだけでなく、ノンデザイナーにも参考になるのではないかと思います。
総合的に、買ってとても良かった本です。私は年末年始などに、読まなくなった本はまとめて古本屋に売りに行ったりしますが、今年もお世話になりそうな本なので、本棚にキープしておこうと思います。
データ視覚化のデザインという限定的なデザインの内容ではありますが、読み物としても面白いので、もし興味があればぜひ読んでみてください。