はじめに
例年私たちの会社ではお世話になっているお客さんや、一緒にお仕事させていただいてるパートナーの方達にお年賀を送っています。
今年もそのお年賀に貼り付けるイラストステッカーを作成したので、その作成過程とイラストのバージョン管理をしておけば良かったなという反省点、そして作成ツールとして使ったAdobeのIllustratorでのバージョン管理方法をまとめてみました。
この記事はこんな人向け
- イラストの作成プロセスが気になる方
- Adobe Illustratorでロゴやイラストを作成されている方
- この記事のIllustratorの解説の部分は、ある程度Illustratorを使った事がある人向けに書いています
イラストの作成プロセス
作成プロセスはその時の状況によって変わってきます。
今回作成したイラストは、前年に同じものを作成したということや、同じ社内からの依頼ということもあり、入稿期限と、前回との差、制作物の内容を確認してイラスト作成をしたので、きっちりとこの手順を踏んでいるというわけではないですが、手順は大体以下のようになります。
今回のイラストは②〜④をまとめて作業しています。
① 依頼確認・ヒアリング
こんなイラストが欲しいですという依頼を受ける。
その時に、下記の事を確認。
- 制作物の内容:何を、何のために、どのくらいのサイズで作成するのか
- 制作物の用途:誰が、どの場所で、どのように使うのか
- 納期期限・スケジュール確認:いつまでに作成するかと、作成期間のスケジュールを確認
- 予算(自分で仕事を受ける場合)
② ラフスケッチ作成
ざっくりとしたラフスケッチ案を何パターンか作成。
自分で良さそうだなと思ったものを次の下絵の段階に進む。
次の下絵に行く前に、この段階で依頼者に確認してもらうのもあり。
以前に同じようなものを作成した事があって、ある程度イメージが決まってるのであればすぐに下絵に移ってもOK。
③ 下絵作成・確認と修正
ラフスケッチで作成したものを、綺麗な線に直す。
依頼者に確認してもらい、望とあってなければ修正、または別の案を作成。
イメージとして合致していればイラスト作成に進む。
④ イラスト作成・確認と修正
ラフスケッチと下絵までは、紙とデジタルどちらでも良いが、ここからはパソコンやタブレットのツールを使ってイラストを作成。
今回はAdobeのIllustratorを使って作成。
⑤ 納品・入稿
依頼者や業者に作成物を渡す。
イラスト作成
作成はじめに
お年賀イラスト作成の依頼が来て依頼内容確認後に、まず2021年は丑年という事で、何パターンか牛のイラストやスケッチを描き出してるところから開始しました。
作成ポイントとして考えていたことは、
- 見て話題を広げられそうなイメージ
- 渡すお年賀に貼り付ける用途を想定しているので、その時に少しでも話題のとっかかりになれば良い
- イラストを見て明るい気持ちになれるもの
- 最近コロナ禍で社会が大変な状況なので、できればポジティブなイメージが良い
- 依頼者からの要望で、できれば年始の時期以外でも使えそうな内容
などを考慮して作成しました。
イラスト案①作成
牛で色々と連想して、スケッチを描いてみたり、連想できるものを文章で書いたりして出て来たのが赤べこ。
赤べこと言えば、疫病よけの意味合いがあるので、今の時事ネタにも繋げられるし、良い方向に会話の流れを持っていけるんじゃないかなと思いました。
例えば、
「赤べこって疫病除けの意味があるらしいですよ。今年皆さんが健康に過ごせると良いですね。」
だったり、
「そういえば赤べこって福島発祥ですよね〜コロナ収まってきたら行ってみたい温泉宿あるんですよ〜」
のようにポジティブな話題のきっかけになれば良いなと思い、案を作成してみることにしました。
そして、実際に赤べこの写真を見ながら作成してみたイラストがこちら。
線が複雑になくてシンプルで良い感じになった思います。
ただ、問題点としては、
- イラストは円形のシールで作成する予定なので、このイラストだと文字などを入れたとしても画面上に微妙な余白ができそう
- 社名を入れたとしても、赤べこ1頭だけでは全体的に単調な感じがする
ということもあり、少し変更。
変更後がこちら。単純に赤べこを2頭に増やしてみました。
赤べこが2頭で反復されていることもあり、先ほどよりかは単調性は低くなったと思います。そして円形のスペースにもうまく収まりそうなシルエットになりました。
一旦これを案①として、対比するための別案も考えてみることにしました。
イラスト案②作成
案②は案①とは別のアプローチから作成してみることにしました。
まず丑年という事で牛を中心に考えていましたが、牛ではないものでイラストを作成してみることにしました。
2020年や2021年の事を色々考えてみて、そう言えば2020年前半にアマビエが話題になった時、アマビエを描いてないなと。
『肥後国海中の怪(アマビエの図)』(京都大学附属図書館所蔵)
赤べこと同じく、疫病除けの意味合いもあって、繋がるところもあるのではないかと思い、試しにアマビエ描いてみることにしました。
そして作成したのものがこちら。
なんか謎の生き物っぽくなった。いや、そもそも謎の生き物だから良いのかな?
アマビエと言えば少しは話題になりそうなので、良いんじゃないかと。問題点としては、
- 全体的に寒色を使っているので、冬にもらうものとしてもうちょっと暖色系統を入れたい
- あまり新年のイメージがわかない
イラスト案③作成
赤べこ2段を、赤べことアマビエににすれば、赤色のイラストの中に青系統の色も入れられて、寒色に暖色も追加できるのではと考えました。
と言うわけでイラスト案①と②を合体。
それがこちら。
全体的にカラーのバリエーションが増えて、尚且つ赤べこの赤色をアマビエの青で抑えているので、赤べこ2体や、アマビエ1体だけよりも良い感じになったと思います。
あとは、
- 赤べこの背中の白色が、赤べこのものかアマビエのものかわからなくなりそうだったので削除
- 2021年の年始以外でも使えるようにしたいとの依頼側からの要望があったので、新年の挨拶言葉などは入れずにシンプルに社名だけを追加
- CMYKで印刷すると画面で見るよりも若干暗くなるので、色を微調整をして枠を追加
- 枠と文字色は、赤べこのポイントとして使っていた黄色に近い黄土色を使って、イラスト全体のバランスが出るように変更
- 枠は外側で変化があるように、太枠と細枠2本を追加
- Basicの"i"の丸だけ赤色に変えて、画面全体で視点の流れができるようにしてみた
これで完成です。
Illustratorのバージョン履歴管理
Illustratorにはファイルのバージョン管理方法があり、保存をしておけば、前に作成したバージョンに簡単に戻すことができ、一々別ファイルで保存しておく必要もなくなり、今回のように試行錯誤してイラストを作成している時にはとても便利な機能です。
Illustratorでのバージョン履歴管理方法
Illustratorでのバージョン管理の方法は、まずファイル保存をコンピューターではなく、クラウドストレージにする必要があります。
クラウドストレージに保存するとバージョンを保存できるようになります。
メニューのウィンドウをクリックし、リストの中にあるバージョン履歴にチェックを入れます。
そうするとバージョン履歴管理の画面が出てきて、ファイルの保存の度にバージョンが追加されます。
もし後々そのバージョンを残しておきたい場合は、右にあるブックマークアイコンにチェックを入れます。
※チェックを入れていないバージョンは、60日後に自動的に消去されるので注意。
もしバージョンを戻したいという時は、ブックマークアイコンの左隣にカーソルを当てると、3つの横並び丸マークアイコンが出てくるので、そこで「このバージョンを復帰」をクリックすると選択したバージョンに戻すことができます。
イラストなどを作成する時も、バージョン管理をちゃんとしておけばその作成過程を他の人見せて説明する事ができるし、自分でも振り返りができるので良いんじゃないかと思います。