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『測度・確率・ルベーグ積分』って神本ですよね【読書メモ、勉強メモ】

Last updated at Posted at 2025-03-31

この記事は、本の読書メモ・勉強メモです

『測度・確率・ルベーグ積分』原啓介
image.png

本へのリンクはこちら

  • この本に興味がある人
  • 測度論的確率論に興味がある人
    向けの内容です。

測度論、最初は意味わからないですよね〜
測度論のちょうどいい具体例として、確率論がピッタリだと思います。

この本はとてもわかりやすいです。

  • 本書から内容を要約します。
  • 「イメージ」と記載しているところは、引用、要約ではなく、私独自のメモになります。

定期的に更新していきます!!

1 確率と測度

確率とは全体の測度が1であるような測度である。

測度の本質はσ-加法性である

σ-加法性(完全加法性)
互いに素な(重なりがない)可算個の集合 $A_1, A_2, A_3, \dots$ に対して、
$$
\mu\left(\bigcup_{i=1}^{\infty} A_i\right) = \sum_{i=1}^{\infty} \mu(A_i)
$$
が成立すること。

測度とは,長さ,面積,体積のような概念を抽象化したものだが,その本質がこのσ-加法性である.つまり,たかだか可算個の重なりのない図形をあわせた図形の長さ(面積,体積など)は,それぞれの長さなどの和になるべきであり,そして大事なことはそれだけである(可算個であることが重要.非可算の場合は加法性を保証しない).

零集合

零集合は空集合とは限らない。確率論では、議論から除外する集合として零集合をうまく選ぶことが多い。

標本と事象の違いに注意

標本と事象の違いに注意せよ.ある標本 $ω∈Ω$ に対して,その標本だけからなる集合 ${ ω }$ は,$ { ω }∈F$ ならば事象であり,したがってその確率を考えられるが,標本 $ ω $ 自体は $ Ω $ の元であって部分集合ではないので,$ F $ の元ではありえず,その確率も考えられない.

有限から無限へ 拡張定理

有限の場合に成り立つ性質を無限の場合に拡張できることを保証する。


生成されたσ加法族

ホップの拡張定理
σ加法族より扱いやすい集合族とその上の集合関数を用意すれば、σ加法族の上の測度にできる。

「ボレル集合族上のルベーグ測度」と「(ルベーグ可測集合上の)ルベーグ測度」の関係

違いは「完備性」である。
ただし、常に、測度空間は完備にできる。

測度空間の完備性

測度空間の零集合の部分集合が常に可測であるとき、この測度空間は完備であるという

「ボレル集合族上のルベーグ測度」は完備ではない。これを完備化したものが、「(ルベーグ可測集合上の)ルベーグ測度」である。

「完備性」は確率論で起こるような測度0の集合に興味をもつ場合に問題となる。

上記のような補足的議論が不可欠な理由

すべての部分集合の上には、測度や確率測度をいい感じに定義できないからである。ゆえに、制限を厳密に考える必要にがある。

重要な事実として、ルベーグ非可測な集合が存在する。この定理の証明には選択公理が使用される。

2 積分と期待値

確率変数の気持ち

確率変数によって、一つの確率的な問題が確率空間の上に実現される。
確率空間は確率概念を準備するためにあり、具体的な問題は確率変数によって記述する。
確率変数の気持ちには2つの立場がある。

確率変数の二つの立場

  • Ωを具体的に定め、その上に確率変数を設定する立場
  • 任意のΩに対し、確率変数からΩの中身を設定する立場

後者の立場の気持ち

直観的にいえば、標本空間の点を1つ定めることで,確定的な世界が1つ決まる.そして、確率変数を定めることで,その世界の何に注目するかが決まる。たとえば、上で定義したサイコロの目の確率変数は$ ω∈Ω$ 対して、その世界でサイコロの目が何かを答える関数である。こちらの立場では、$ Ω$ は考えようとしている個別の問題とは関係なく、あらゆる確率的な問題の背後にあるランダムネスの源泉としての,あまねくすべての可能性を表現する集合であり、そして確率変数がその標本空間に1つの問題の意味を与える.

3 収束と極限のおさらい

上極限と下極限

∞、-∞を値として許せば、必ず極限値をもつ。よって、極限のように存在するかどうかを気にせずに操作できる。上極限と下極限が一致すれば、数列が極限をもつ。

  • 数列が収束する場合 → 上極限 = 下極限 = 極限値。
  • 振動する場合 → 上極限と下極限は異なり、その「長期的な最大・最小の振る舞い」を記述できる。
  • 発散する場合 → 上極限や下極限が ±∞になる。

※上極限、下極限を定義できる実数列に特別な条件設定はない。だからこそ、上極限と下極限は汎用的に使用できる。単調、収束、有界などは不要である。

イメージ 上極限の気持ち

$s_n = \sup_{m \geq n} a_m$

𝑆𝑛 は単調減少である。

「大きな集合 𝑆𝑛の上限に比べて、小さな集合𝑆𝑛+1の上限は、それ以上に大きくなる必要はない」
→ だから 同じか小さくなる。

4 道具としての積分論 収束定理とフビニの定理

キーワード

  • 各点収束
  • 概収束
  • 単調収束定理
  • ファトゥの補題
  • 優収束定理
  • 有界収束定理
  • フビニの定理

収束定理 極限と積分の交換はいつ可能か

単調収束定理 関数列の無限和と積分の交換

可測関数の列が単調増加列であるとき、関数列の極限と積分は交換可能である。

優収束定理(ルベーグの収束定理)と有界収束定理

イメージ

  • 有界収束定理:有界な関数列が極限に収束するなら、積分と極限は交換できる。
  • 優収束定理:有界でなくても、可積分な支配関数で抑えられていれば同じことが言える。
  • 本質:ルベーグ積分は「集合の大きさ」と「支配関数の存在」に基づいて、極限操作を許容する。

上から抑えることのイメージ

  • 各点で見れば「消えていく」ように見える。
  • でも全体の大きさ(積分)を測ると「消えずに残っている」。
  • これは「細いけど背が高い棒」が動いているため。

このように「大きくなる(局所的に値が発散する、あるいは積分に効くくらい背が高くなる)」ことがあるので、単に収束しているだけでは不十分。そこで「ちゃんと全体を押さえ込む支配関数 𝑔 が必要だよ」というのが優収束定理の本質。

まとめると:
「大きくなる可能性がある」とは、関数列が収束していても、局所的に値がどんどん大きくなり、その影響で積分の値が安定しないケースがある、という意味。

5 ラドン-ニコディムの定理と条件つき期待値

キーワード

  • 条件つき期待値
  • 条件つき確率
  • ベイズの定理
  • 絶対連続性
  • 符号つき測度
  • ラドン-ニコディムの定理

条件つき期待値とその意味

「条件つき」という概念を「情報が与えられた」と解釈する。つまり、σ加法族がモデルの情報を持っていると考える。

σ-加法族の観点から条件つき期待値をみると, 確率変数を情報の「ふるい」にかけて新しい確率変数を作る操作, または, 「ふるい」の目ごとに平均して粗くする操作だと考えられる.

条件つき期待値は、確率変数の積分値が等しいことを使って定義される。この積分値の一意的存在を保証するのが、「ラドン-ニコディムの定理」である。

条件つき期待値は、値ではなく確率変数であることに注意する。
そして、条件つき確率は、条件つき期待値によって定義される。

ある部分集合上での可測関数の積分によって、新しい測度を構成できる。
このとき、逆から考えると、2つの測度の間にどんな関係があれば、上の条件を満たす可測関数が存在するだろうか。ここで、2つの測度の関係からある関数の一意な存在を保証するのが「ラドン-ニコディムの定理」である。

6 いろいろな不等式

7 確率論の基本

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