最近思うこと
サッカーW杯の日本代表が熱いですね!
今夜もvsクロアチア戦をハイボール片手に観戦予定です。(勝ったら興奮で多分寝れないw)
ただ、Twitter等のSNSを見てて残念に思うことがあり。
先日のvsコスタリカ戦にて0-1で敗北を喫してしまったわけですが、
SNS上で目に留まったのは、
戦犯探し
個人名は挙げませんが、戦犯とされる特定の選手のSNSアカウントなどに対し、
非難や批判どころか、誹謗中傷の声まで届いていたようです。
応援していたのに期待通りにならなかった結果、やり場のない感情をぶつけたくなる気持ちは分かります。
でも、敗因の矛先として特定の個人を晒し首にすることは何か生産性があることなのか?
次の試合に繋がる行為なのか?
これは、アスリートに限らず一般社会人の仕事においても同じことが言えるのではないかと思います。
というわけで、表題の「失敗の報告を称賛しよう」について、
最近読んだ本の内容を抜粋しながら、IT業界のシステム開発における「失敗の報告」の重要性について書いていければと思います。
読んだ本
失敗の科学
医療業界や航空業界の実例を切り口として、
「失敗から学ぶ」という当たり前のことを実践するのがなぜ難しいのかや、
その具体的な実践方法について、様々なケーススタディから教えてくれる本です。
なぜ「戦犯探し」は始まるのか?
筆者によると、
「非難は、失敗や好ましくない出来事に対する人間のごく一般的な反応と言える。
何か間違いが起こると、人はその経緯よりも、『誰の責任か』を追及することに気を取られる傾向がある。
我々は、たとえどれだけ複雑な出来事でも、新聞や雑誌の見出しのように単純化してしまうのだ。
非難は我々の学習能力を妨げるばかりではなく、ときには深刻な結果をもたらす。」
とのことです。
「失敗を懲罰する」ことの弊害
故意ではない失敗について責め立てられ、罰せられる(≒会社から「戦犯」認定され、晒し首にされる)
とその組織は失敗に対してどのような向き合い方となっていくのか?
- (罰せられるので)失敗をしないように仕事を進めようとする結果、
- パフォーマンスが下がる
- 新しいことにチャレンジする意欲が低下する
- 報連相の頻度が落ちる
- 全体のコミュニケーション量が低下する
- 失敗を隠蔽するようになる
- 仕事が属人化し、取り返しのつかないミスに繋がる可能性がある
- パフォーマンスが下がる
懲罰志向の組織文化がもたらす影響については研究調査の結果があるようで、
6か月の期間でとある大学病院の8つの看護師チームに着目したようです。
結果、厳重な処罰を日常的に行っているチームからは表面的に挙がってきたミスの報告の数は少なかったが、実際には他のチームよりも多くのミスを犯していたそうです。
一方、非難傾向が低いチームにおいては真逆の結果で、ミスの報告数は多かったものの、実際に犯したミスの数を比較すると、懲罰志向のチームの方が多かったようです。
人間工学の専門家シドニー・デッカーの言葉を引用すると、
「非難すると、相手はかえって責任を果たさなくなる可能性がある。ミスの報告を避け、状況の改善のために進んで意見を出すこともしなくなる」
とのことでした。
確かに。(小並感)
ではどのように失敗の報告を積極的に促すか?
いよいよ本題です。
私が聞いた話で、某自動車メーカーの生産工場では、ヒヤリハットが起こった時にその報告を行うそうなのですが、
報告を受けた時点で、「ナイス報告です!」と言っているようです。
聞いたときに、とても良い取り組みだなと個人的に感じて、
- ミスに対して叱責されない
- 叱責のストレスや恐怖がなく、報告しやすい風土となる
- 個人攻撃がされない
- チーム全体としてミスに対する改善案の検討を行い、チームとしてパフォーマンスの向上が図れる
当たり前ではあるけど、とても大事なことであり、こういった活動を意識的に行うことで、高いパフォーマンスを発揮できる組織へと育っていくのだろうなと感じます。
システム開発の現場に落とし込んでみる
ではシステム開発における具体的なミスやヒヤリハットについて検討してみます。
- リリースミス
- DBのバックアップの取り忘れ
- 消してはいけないデータの削除
などなど挙げるとキリがないですが、何かしらのミスはご経験ある方が多いと思います…(私もやってしまったことがありますw)
こういったシステム開発に関するミスは、
- 手順書の確認不足・レビュー不足
- ダブルチェックしていなかった
- うっかりミス
など、多くのことが「気を付けていれば防げたよね」という事例が多いように思います。
ただ、その時にミスを犯した張本人を「お前の不注意だ!」と責めれば解決するのか?次にミスを犯さないようになるか?
ここで個人攻撃をしてしまうと取り返しのつかない事態になりかねませんので、
個人ではなくシステムを見よ
を心がけていきたいなと感じています。
ミスを責めない。
報告を上げてくれたことを称賛する。
ミスの原因を、個人に求めるのではなく、チームとしてのやり方・手順の部分に切り口を当てて仮説を立て、検証する。
見直しを行った手順について改めてチーム全体で見直し、フィードバックを行う。
さいごに
リモートワーク環境なこともあり、なかなか仕事上のコミュニケーションが取りづらい状況ではありますが、
「継続は力なり」をモットーにチームビルディングを行っていければ、と思っています。
日本代表、頑張れー!