この記事は LITALICO Advent Calendar 2022 カレンダー2の23日目の記事です。
はじめに
LITALICOでWEBデザイナーをしている@megumi-okです。
LITALICOでは、2016年からエンジニアの方々を中心に有志でアドベントカレンダー企画に参加しています。歴史は定かではありませんが、いつのころからかアドベントカレンダー企画で投稿された記事のうち、特に注目を集めたもの、多くの人の興味を引いたものなどについて、「◯◯賞」と銘打って表彰する習わしになっているそうです。(伝え聞きました。)
今回は、その表彰式で使用する表彰状のデザインをつくる過程を追った記事となります。
経緯
昨年度までは私自身が現在とは異なる事業部に所属していたこともあり、アドベントカレンダーについては投稿された記事をちょっと読んでみるくらいの関わり方でした。遠巻きに眺めながらも、エンジニアの方々が「気合で書く」「締切がやばい」「まだどんな記事を書くか決まっていない」などとぼやきつつ楽しそうにしている様子がとても印象的で、もし機会があれば混ざりたいな~と思っていました。
今年度からはエンジニアリング統括部の所属となったため「今年こそは!」という意気込みで、記事の投稿と、さらに運営メンバーとしてアドベントカレンダー企画へ参加することにしました。
運営メンバーとは、
- 社内の参加者を増やす声かけ
- みんなでわいわいと盛り上がる工夫
- 社内slackでの記事紹介・周知
などを行う有志の集まりのことです。
これらの活動の中で、特に盛り上げ要素としてデザインの力をフル活用させていただくことにしました。
デザイン制作の過程
①ヒアリング
通常のデザイン制作過程であれば、まずは案件の詳細や制作意図・目的などを理解するため依頼者へのヒアリングを行います。しかし、今回は自主的に制作することを決めたので、依頼者=自分となります。そのため、自分自身が
- LITALICOとしての企画への参加趣旨
- 企画への取り組み姿勢・温度感
などの理解を深めることを兼ねて、運営メンバーのキックオフ会議に参加しました。
キックオフ会議でのヒアリング内容
アドベントカレンダーへの参加趣旨
- みんなでわいわい盛り上がるお祭り・イベントとして
- オンライン中心の中で、お互いを知り、社内のつながりをつくる場として
- 社外の多くの方にもLITALICOを知っていただける機会として
取り組み姿勢・温度感
- 参加は基本的に任意で、無理はしないこと(運営メンバーとしての活動も無理のない範囲でできることをする)
- いいね数などの数値目標を追うことは目的ではない
- 記事の内容や投稿者の職種は問わず、幅広い視点でみんなが表現できる場にする
②コンセプトを決める
次に、ヒアリングした内容から、意図や背景を鑑みてデザインの方向性や指針を決めます。
何気ない言葉に隠れるヒント
会議中やその他の場面でのやりとりの中で発せられる、何気ない言葉のチョイスやニュアンスの裏側にデザイン制作のヒントが隠れていることがあります。
今回、デザインのコンセプトを考える上で参考になった言葉を引用します。
日頃書きなれない方でも気軽に参加できて、みんなで楽しみたいと思ってるので、記事の内容だったり出来栄えなどをチェックしようとは思ってません。
自分で考えて記事が書けた時点で、どなたのどの記事も素敵なものだと思ってます。
多様な観点からの記事が発信されていることがLITALICOらしさであり、とても楽しく良いカルチャーだなと思っています。
皆でいいねしたり、投稿された記事に感想を言い合ったりして、(中略)リモートワークで少しお互いの顔が見えづらくなった所を、このようなイベントをキッカケにして、ちょっと息抜きついでに、やっていきたいなと思っています。
また、会議やメンバーとのメッセージのやり取りのなかで特によく「わいわい」という単語が多く出てきていたことも印象的でした。
これらを踏まえて、「表彰」という形式はとりますが、「優れているものに賞を贈る」という意味合いというよりかは「盛り上げてくれてありがとう!」を伝える機会になるといいなと考え、今回のデザインは以下のコンセプトで制作を進めていくことにしました。
キーワード
- 「わいわい」
- 「ありがとう」
コンセプト
- 「優劣」ではなく「盛り上げてくれてありがとう!」を伝えるデザイン
- 「記事を書いた/書いていない」「表彰された/されない」などの立場にかかわらず、どのメンバーにも疎外感を感じさせない
- (アドベントカレンダーなので)クリスマスの雰囲気を出す
余談ですが、運営会議の中で普段の業務内ではコミュニケーションを取ることの少ない、エンジニアリング統括部のHRの方やCTOの市橋さん、VPoEの亀田さんとお話をすることができました。会議がはじまる前は緊張していましたが、会議中においては以下の2点が徹底されていたように感じました。
- 無理を押し付けたり、誰かを排除したりしない
- 個人の意思を尊重した上で、全体をまるく包み込むようなあたたかい雰囲気がある
この機会を通し、エンジニアリング統括部の根底を流れる「組織のあり方」のようなものに触れた気がします。
エンジニアリング統括部の組織づくりの取り組みについてはLITALICO Advent Calendar 2022 の記事でも取り上げられています。
私自身はエンジニアリング統括部に所属してまだ一年経過していませんが、個人の裁量・自由とチームへの所属感のバランスが良い組織だと感じています。
③デザインをつくる
次の工程としてデザイン作業に移りたいところでしたが、ヒアリングやコンセプトを決める過程の中で、表彰状だけではなく「わいわい」を加速させ、参加者全員に「ありがとう」を伝えられる別の制作物が必要だと考えはじめました。
表彰状は記事投稿期間の終了後に使用されるものであって、期間中の盛り上げには貢献できないためです。また、表彰状は数十人いる参加者のうち2~3人しか受け取る対象がおらず、多数の人に「ちょっとさみしいな」と感じさせてしまう懸念があります。(少なくとも私は時間をかけて作ったものになにもリアクションがなかったらさみしいです。)
リアクションを加速させるためのもの
公開された記事を社内slackで紹介する際に、パッと目を引いてリアクションを誘うための画像を作成しました。
ラフのイメージはこんなかんじで、カレンダーの日付と投稿者のアイコンが載っています。
できたもの
実際にご使用いただいた様子
参加者全員に「ありがとう」を伝えられるもの
参加者全員のアイコンをカレンダー形式でまとめて、最後にみんなで振り返りができるものを作成途中です。
ラフのイメージはこんなかんじです。
肝心の表彰状のデザインは
まだできていません。
まとめ
記事の冒頭で
今回は、その表彰式で使用するスライドのデザインをつくる過程を追った記事となります。
と記載しましたが、まさに過程中の過程です。正確に言うと実際に表彰状を使用するのは1月末頃の予定なので、納期に合わせて作業を配分しています。
記事を書くためにデザイン制作の過程を振り返ったことで、自分自身がヒアリング~コンセプト決定までにより重きをおいていることが分かりました。「デザイン」というと見た目のきれいさやセンスのよさなどの表面的なことが重要視されると思われがちですが、本質としては
- 体現したい世界観や価値観をより深く理解して表現し、受け取り手に直感的に伝わるようにすること
- 情報を整理して、受け取り手の負荷を限りなく取り除いて誤解なく伝達すること
- これらを組み合わせて課題を解決すること
の3点に集約されると思います。
と、かっこいいことを書きましたが、実際のところ見た目をきれいにすることも、センスがいいと感じさせるものをつくることも、どちらも難易度が高いことで、むしろその力がないと本質にはいつまで経っても辿り着けません。表面と本質とは両輪なのではないかと感じます。
また、別の観点として、今回のデザイン制作の過程で自分が所属する組織の価値観にも触れることができました。一人ひとりの意思を尊重しつつも、孤独や疎外感を感じさせないように工夫と試行錯誤を重ねている組織だと思います。
アドベントカレンダーを通して、社内外のさまざまな人に「LITIALICOってこんな会社だよ」「こんな人が働いているよ」ということが伝わりますように。
明日は@mamama_saitoさん、@taku_yanagitaさんの記事です。