1.はじめに
遂に金曜日になりました。
キリ良くいきたい気がしたので、今日まではルーティング関連の勉強をしたいと思います。
本日は経路集約とルータについてです。
2.経路集約
【2-1】経路集約について
ルーティングテーブルには、各ネットワーク宛ての経路情報が記載されておりますが、ネットワーク数の増加に伴ってルーティングテーブルに記載される情報も増大してしまいます。
すると、ルーティングテーブルから経路を探しだすのに時間がかかったり、ルーティングテーブルに経路情報を保存するために多くのメモリ量を要する可能性があります。
このようなルーティングテーブル増大の解決方法として経路集約があります。
経路集約とは、複数経路をまとめることによって、エントリの数を削減してしまうことを言います。
【2-2】問題なく経路集約できるパターン
連続しているネットワークについては、アドレスを2進数にした際にビット数が一致する範囲までをまとめることができます。
【2-3】推奨できない経路集約のパターン
不連続なネットワークを一つの経路に集約することは推奨できません。
むりやり集約する事はできますが(以下図)、その場合はパケットループが発生する可能性があります。
なお、パケットループについては【項目2-4】に記載しています。
【2-2】経路集約で発生するパケットループについて
連続していないネットワークの経路をまとめてしまった場合、ネットワークの構成によっては、以下のようなパケットループが発生してしまいます。
以下の例では「172.16.1.88」から「172.31.10.5」に通信しようとして、RT1~RT2間でパケットを転送し合ってしまい、ループが発生しています。
ただし、ルーティングテーブルにデフォルトルートが無いor存在しないIPアドレス(集約したサブネット範囲内で)を宛先とするパケットが来ない場合はパケットループが起こる心配はないと思います。
この事象への対策として、Null0宛ての経路情報をルーティングテーブルに追加します。
上記の設定を追加した場合、RT2は[172.31.0.0/16]に該当する&ルーティングテーブルに存在しないアドレス宛てのパケットが転送されてくると、その場で破棄します。
3.ダイナミックルーティングによる経路集約について
【項目2】では、手動での経路集約について記載しました。
経路はダイナミックルーティングプロトコルによって自動集約も可能ですので、自動集約に対応しているプロトコルを簡単にご紹介します。
【3-1】クラスレスルーティングプロトコル
クラスレスルーティングプロトコルには、RIPv2/EIGRP/OSPF/IS-ISがあり、他のルータと交換する経路情報にサブネットマスクの情報を含みます。
また、RIPv2とEIGRPに関しては手動と自動のどちらでも経路集約ができて、自動経路集約機能の無効化も可能です。
(OSPFとIS-ISは手動経路集約のみ可能となり、自動経路集約機能はありません。)
【3-2】クラスフルルーティングプロトコル
クラスフルルーティングプロトコルには、RIPv1があり、他のルータと交換する経路情報にサブネットマスクの情報を含めず、ネットワークを次の3パターン(クラスA:/8、クラスB:/16、クラスC:/24)で判断します。
また、RIPv1では手動経路集約ができず、自動経路集約の無効化もできません。
4.[+α]ルーターの種類
ルーティング機能を有しているネットワーク機器の一つであるルータは、持ち歩けるものから背丈を超えてくるものまで様々ですが、担う役割によってクラスが分類されています。
【4-1】コアルータ
基幹ネットワーク(*1)の心臓部となるルータです。
通信キャリア/ISP(*2)ネットワークの通信を中継するために利用されます。
大量のトラフィックを素早く転送する必要があるため、非常に高い性能と信頼性を持ち合わせた機器を使用します。(物理的にも金額的にも超大型です)
(*1)基幹ネットワーク
ネットワークにおける中核の通信網を指しています。
LAN内(ビルのフロア間など)の通信をつなぐ部分であったり、LAN間(拠点間など)の通信をつなぐ部分であったり、ISP同士をつなぐ部分であったり、規模感は環境によってそれぞれです。
定義がふわっとしているので、"とにかく問題が発生するとかなりヤバい部分"と今まで認識してきました。
(*2)ISP(インターネットサービスプロバイダ)
インターネットを利用するためにはアクセスポイント(基地局)を経由してインターネット回線に接続する必要がありますが、そのアクセスポイントを提供してくれる企業の事をISPと呼びます。
NTTドコモさんあたりは皆さんもよくご存知だと思います。
【4-2】センタールータ
企業のWAN(企業のLAN同士をつなぐための回線)を介して、本社~データセンタ等、企業で中心的に利用される(ネットワークトラフィックが集中する)拠点ネットワーク間を接続するために使用します。
~備考~
センタールータとエッジルータ(項目4-3で記載)は、どちらも企業のWANにおいて拠点ネットワーク間を接続するために使用します。
しかし、センタールータはエッジルータよりも高い性能をもったルータを指すことが多く、拠点の規模や通信の集中具合に応じてどちらのルータにするか選択します。
【4-3】エッジルータ
企業のWANを介して、本社~支店等、比較的通信量が少ない拠点ネットワーク間を接続するために使用します。
センタールータやエッジルータといったクラスのルータは性能や価格も様々です。
【4-4】ブロードバンドルータ
家庭環境やSOHO環境(*1)からインターネット回線に接続するために使用します。
ブロードバンド(*2)ルータは、主にインターネット回線に接続するために使用されますが、インターネットVPNの機能を持ったブロードバンドルータでは企業内ネットワークに接続する事もできます。
(*1)SOHO(Small Office/Home Office)
小規模の事業者向けの物件やリモートワークをする場所などを指します。割と広義に解釈できるみたいです。
(*2)ブロードバンド
高速回線(光回線など)のことです。
おわり
皆様、よい週末を。