はじめに
こんにちは,未踏にて釣りCPS(Cyber Physical System:サイバーフィジカルシステム)の開発を行っているmattkazzです.この記事の読者は未踏をご存じの方を前提としているのですが,今年度になぜ未踏で釣りのテーマが採択されてるのか?と疑問を持つ方もいらっしゃるかと思います.
そこで今回は,「釣りCPSとはなんぞや?」「釣りのデータ分析って何が嬉しいの?」というところにフォーカスした記事を書かせていただくことで,その疑問を解消し,皆さんに釣りTechの領域に少しでも興味を持っていただけたらなと思います.
釣りCPS(サイバーフィジカルシステム)とはなんぞや?
そもそも,(誤解を恐れずに言うと)サイバーフィジカルシステムという言葉は,数年ほど前から日本が唱えているSociety5.0という開発目標の中に多用される単語のことで,クラウドやデータベースに貯められたデータを分析する「サイバー空間」と我々の生活する「フィジカル空間」を上手く融合させることで,新たな価値を作るシステムのことを指します.
今回の場合でいうと,「釣りに関してセンシングしたアレコレのデータ」を分析することで「実際の釣り現場」を変えてしまう,そんなシステムが我々の提案する釣りCPSとなります.
実際の釣りの難しさと課題
読者の方で実際に釣りをしたことがある方はいらっしゃるでしょうか?趣味としてはまだしも,人生で1度位は経験がある方が多数派ではないでしょうか?
その中でも「今日もすっげー魚釣れたわw釣りってちょろいわw」と考える人はかなり少数だと思います.
実は釣りは案外奥が深く,
- 釣り道具を揃える
- 釣り場所の選定
- 釣り時期の選定・天気や潮汐の確認
- ターゲット魚種の選定
- 実際の釣り方・魚の誘い方
などなど...
考える必要があり,初心者だけでなくある程度の経験者でも何も釣れずに帰路につくこともしばしばあります.
それも当然で,相手は生きている魚であり,お腹が空いていることもあれば空いていないこともあります.美味しくなさそうな餌には興味が出ないこともありますし,そもそも釣りの仕掛けを海に垂らしても,その場所に魚が存在していないこともあります.
経験者ですらこれらの壁をクリアするのは難しいものです.
釣りのCPSで実現したいこと
以上のことから,我々が実現したいのは,”釣りの経験者に対して”,”釣りのデータを可視化・分析”した結果を,現場で手軽に確認するための手段を提供することです.
実際に,そこそこ釣りに熟達している人でもない限り,現場の状況を見ただけで適切な釣り方を考えることは難しいでしょう.私も趣味でたまに釣りをしますが,その程度では到底たどり着けない領域だと思います.
解析するデータは多岐にわたっており,各種公開されているAPIを利用するものや,特別に制作したIoTデバイスにより収集したものまで様々です.それに応じて開発するものも,Webアプリから電気回路,デバイスの外装設計まで本当に様々です.
釣りをする方や興味がある方はTwitter(@mattkazz1)で直接聞いていただいても結構です(秘密保持契約もあるため答えられる範囲でですが...)し,外部公開される最終発表会や報告書をご覧ください!