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エンジニア自身で特許出願してみました

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はじめに

特許出願は、弁理士が行うのが普通と思います。普通は発明者自身が行うものではないと思うのですが、そこを敢えて、特許出願してみました。この記事は、その記録です。明細書を準備し、その出願を自分でやってみたということです。自分で明細書を準備できることが前提です。個人での出願ですので、極力お金をかけないことが方針です。きちんと記録していなくて、そろそろ忘れそうなので、覚えている範囲で記載し、そこから思い出したら修正していこうと思います。

どのように調べたか

「インターネット出願 第2版」をたまたま見つけ、これを手掛かりに行いました。

この本に出会わなければ、自分で出願してみようとは思わなかったと思います。

出願に必要なもの

インターネット出願ソフト

出願を行うソフトウェアが準備されていて、無料でダウンロードできます。ただし、Windows版のみで、MacOSに対応したものはありません。「インターネット出願 第2版」には、MacOS版の存在も記載されていたのですが、私が利用した時点では、無くなっていました。
ダウンロードできるとはいっても、すぐにはできません。「電子出願ソフトダウンロード請求」という手続きで、請求すると、ダウンロード先のURLが電子メールで送られてきます。というわけで、電子メールアドレスも必要です。

マイナンバーカード

インターネット出願ソフトで、出願人の登録を行うために必要だったと思います。

その他

  • Windows PC
  • 電子メールアドレス
  • クレジットカード

必要そうなことが書かれているが結果的に不要だったもの

  • 電子証明書
    電子証明書の購入が必要との記載があり、かなり敷居が高そうで、必要なことが判明して、高価であれば、出願断念だなと思っていましたが、結果的に不要でした。

インターネット出願ソフトが想定していると思われる明細書のフォーマット等の前提

推測も入りますが、Microsoft Wordで明細書の文章を書き、図については紙をスキャンする、という前提で作られているようです。Microsoft Wordは使えますが、有償ですし、あまり関わりたい感じもしませんでした。

「インターネット出願 第2版」によると、提出はHTML形式のようで、なら、直接HTMLを編集してもよいなと思い、こちらでやってみようと思いました。
「インターネット出願ソフト」の前提では、Microsoft Wordで明細書文書を書き、それを、HTML形式に変換して、それをアップロードするという手順のようでした。HTMLの日本語コードは、Shift JISです。念の為、unicodeではありません。
図については、スキャンすることを前提にしていると感じました。図をトレースして印刷して、それをスキャナーで読み込むということです。

インターネット出願ソフトのインストール

ダウンロード請求

なんとなくできそうな感じがしてきたので、実行に移りました。
「電子出願ソフトダウンロード請求」を行って、すぐにダウンロード先のURLが送られてくるかというと、そうではなかったように記憶しています。自動処理ではなく、何か先方での手続きを踏んでいるのかなと思いました。メールが送られてきたのが当日だったか、翌日だったか、数日後だったか。なお、URLには有効期限があり、この期限を過ぎると、再度、「電子出願ソフトダウンロード請求」が必要になります。

インストール

この辺を忘れてしまっているのですが、マイナンバーカードを利用するためのソフトウェアのインストールも別に必要だったような気がします。

確認

たしか、出願先のサーバにアクセスできるかの確認作業があったと思います。この確認が済んで、インストール完了です。

明細書の作成

XMLで明細書を書く

「インターネット出願ソフト」には、明細書のサンプルが添付されていました。エディタはなんでも良いはずで、Windows標準添付のメモ帳アプリでも良い筈です。私は、emacsで開いてみました。開いてみると、確かにHTML形式で、Shift-JISです。今時、unicodeでなく、Shift-JISかと思いましたが、emacsでは変換できるので、問題なしです。XMLについても、それほど複雑なものはなさそうで、HTMLに不慣れても(あまり慣れている人がいるとは思えませんが)なんとかなりそうです。

図の作成について

図については、Microsoft Power Pointで用意しました。どこかで、illustratorとかPhotoshopなどの文字を見た気がしますが高価ですし、実は、これまでの調査でよく分からなかったので、あまり考えることなく、用意しました。絵明細書文書を、Microsoft Wordを使わずに、emacsで行ったのとは大違いです。なお、Microsoft Wordでも図を書けることは知っていますが、試してみようとは思いませんでした。

「インターネット出願ソフト」での出願準備

「インターネット出願ソフト」には、アカウントがあり、そこには、guestアカウントもあります。これは、恐らくですが、企業の特許部で、PCを共有するようなケースを想定しているものと思われます。
出願準備は、guestアカウントで可能でした。
このあたり、詳細を鮮明に覚えているわけではないのですが、可能な限り思い出して書いてみます。
明細書であるXMLファイルと、図であるPNGやBMPなどのファイルを読み込ませます。これで出願するのかと思うと、そうではなく、読み込ませたファイルを受け付けられるかのチェックが行われています。すなわち、「インターネット出願ソフト」には、受付可能なのチェック機能が含まれているのです。
明細書については、エラーが指摘されたのですが、XMLのタグ等のチェックではなく、本文も含めたチェックが行われているようでした。私の場合は、軽微なもので、図に関するものだったか章のタイトルに関わるような記憶があるのですが、なんらかのチェックはされていました。
苦労したのは図です。印刷せずに、スキャナーも用いずに、直接、指定のフォーマットに変換して出せばできるだろうと、安易に考えていたのが大甘でした。これまで、PowerPointは、かなり使ってきたのですが、なかなか受け付けてくれません。調べてみると、図は、200dpi, 300dpi, 400dpiのどれかで、なおかつ、最小の大きさが指定されています。dpiって、プリンタかよ、と思いつつ、いろいろ調べてみた結果、PowerPointにもdpiがあって、96dpiであることがわかりました。あとは計算して、なんとか条件に合うサイズにすることができました。inchって何cmだよ、とか言いつつ計算した覚えがあります。
実は、図を印刷して、スキャナーで読み直せば、簡単にクリアできるだろうなと思いましたし、今でもそう思っています。複合機があるので、印刷もスキャンもできます。でも、そうしなかったのは、PC作業だけで完結させたいと思ったからです。PowerPointは有償なのが課題ですが、まだ、現実的かなと思っています。
以上で、明細書、図共に、エラーが消え、出願準備ができたようです。

証明書関連

「インターネット出願 第2版」や、「インターネット出願ソフト」のマニュアル等には、電子証明書とか、電子委任状とかの記載が結構あり、ドキドキさせられます。どうも、「インターネット出願ソフト」の主たる利用者は、企業であり、法人(企業)として証明書を取得し、その企業に所属する個人と紐づく印象を得ました(正しいかは不明です)。もちろん、個人での利用も可能なのですが、そういう用途はあまりないのか、ちょっと説明がわかりにくかった気がします。
こちらもうる覚えですが、この段階になって具体的に電子出願のフェーズになったので、guestアカウントでの作業は不可能で、自分のアカウントを作成したと思います。その際、マイナンバーカードが必要だった気がします。
結論から言えば、個人での出願の場合、マイナンバーカードのみで可能でした。

電子出願

アカウントの作成(識別番号の取得)

出願の時点で、アカウントを作成したと思います。具体的には、識別番号を取得します。識別番号は即時に無料で取得できました。

明細書の更新

明細書には、この識別番号の記載が必要です。取得した識別番号を入力しました。

電子出願

クリックします。出願処理そのものは簡単だったと思います。

出願費用の支払い

クレジットカードで支払いました。
以上で完了です。

所感

用語など、結構取っ付きにくさを感じながらも、なんとか、できました。「インターネット出願ソフト」は、特許は、特許権を扱うものですから、硬めに作られている印象を受けましたが、なにしろ、特許権を扱うシステムですから、当然といえば当然なのだと思います。
「インターネット出願ソフト」以前も電子出願は可能だったようで、それは、パソコン通信的な手法で行われたようです。利用環境は変化しており、それに追従してきたのだと思いますが、処理そのものは大きく変わっていないのかもしれないなと思いました。
「インターネット出願ソフト」のMacOS版があると良かったのですが、以前にはあったようで、無くなってしまったことが残念です。
これからは、SaaS化されるといいなあと感じています。今や、Shift-jisではなくunicodeの時代ですので、Shift-jisからの脱却が必要そうに思いますので、これが機会になるのかもと勝手な想像をしています。

まとめ

ざっくり、こんな感じで出願に漕ぎ着けました。振り返ってみると、慣れない用語などに振り回されながらも、エンジニアとしての技術的な知識で補完したり、推測するなどで、なんとかなった感じがします。
とりあえず、このようなやり方でできましたという報告になりますが、もっと楽な方法もありそうです。特に、図のあたりは、工夫余地や改善効果がありそうです。
もし、また何かアイデアに恵まれ、出願しようという気になるかはわかりませんが、もし、より良い方法を実践できたら、改めて報告しようと思っています。
なお、儲かりそうなアイデアに恵まれ、特許出願するなら、きちんとお金を払って弁理士にお願いする方が良いかもしれません。手続きだけなら自分でできるかもしれませんが、明細書のチェックなどしてもらえるなら、特許としての完成度を高められると思います。

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