(2024/5/30 更新)
先日何がどう違うの?と聞かれたので、個人的ポイントだなと思った違いをまとめていきます。
基本的には、金銭的に余裕があれば、X1Cを買うのが良いと思っています。厳しければP1S。
また、P1P→P1Sのアップグレードキットが、販売されています。お試しでP1Pを購入し、本格運用の際にP1Sにアップグレードでもよいでしょう。
公式の使用比較を見ながら書いていきます
本体
P1S | P1P | X1C |
---|---|---|
樹脂&ガラス | カバー無し | アルム&ガラス |
X1Cが一番重く剛性が高いです。本体の剛性が高い方が、3Dプリント品の精度は高くなるでしょう。P1Pはカバーがないので、気温などの外部環境に左右される可能性があります。P1Sはカバーがあるので、外部環境には多少強いと思います。
ガラスカバーがあることで、かなり駆動音が抑えられるので、カバーありを選択するのがよさそうです。
ちなみになぜか比較表ではX1Cはアルムと書かれていますが、X1Cの製品ページに飛ぶとアルミ、と書かれています。
ツールヘッド
P1S | P1P | X1C |
---|---|---|
スチール | スチール | スチール(焼き入れ) |
焼き入れすることで、スチールが硬くなるため、耐摩耗性があがります。また、フィラメントを押し出す力も強くなります。他社製のフィラメントでも安定して使える可能性が上がります。
このため、X1Cでは、カーボンフィラメントのような硬いフィラメント、エンジニアリングフィラメントの印刷が可能になります。
BambuLabのオンラインストアで焼き入れスチールギアの取り扱いはあるので、P1S/P1Pでもアップグレードできます。
ヒートベッド
P1S | P1P | X1C |
---|---|---|
100℃ | 100℃ | 100℃ @220 V、120℃ @110 V |
フィラメントの比較表を見ると100℃以上で必ず使う必要があるのはPAHT-CFとPCとなりますので、これらをメインで使わない場合はP1S/P1Pでもよいでしょう。
冷却
P1S | P1P | X1C |
---|---|---|
活性炭フィルタ | なし | カーボンフィルタ |
P1Pはエンクロージャー型ではないのでファンがついていません。
P1S/X1Cは活性炭フィルタとカーボンフィルタとありますが、同じものです。(英語ページではどちらもActivated Carbon Filterとあり、アクセサリのサイトを見てもカーボンフィルタの替えが存在しない)
対応フィラメント
P1S | P1P | X1C | |
---|---|---|---|
PLA, PETG, TPU, PVA, PET | 推奨 | 推奨 | 推奨 |
ABS, ASA | 推奨 | 可能 | 推奨 |
PA, PC | 可能 | 可能 | 推奨 |
Carbon/Glass Fiber Reinforced Polymer | 非推奨 | 非推奨 | 推奨 |
主な違いは、
- P1PはABS, ASAがP1Sと違い、可能、となっている(カバーの有無の違いによるもの)
- X1Cでは、カーボンやガラス繊維の入ったフィラメント(PA-CF、PA-GF)が印刷可能で、P1P/P1Sでは非推奨
ツールヘッドの欄にて記載した通り、焼き入れスチールギアに換装すれば、P1P/P1Sでも印刷は可能です。
カーボンフィラメントは、剛性が高く、強度もあり、そして軽いため、構造部材や軽量化したいものを作るには、おすすめのフィラメントとなります。軽くて強い構造が求められるものを作る予定がある場合はギヤ換装やX1Cがおすすめです。
ちなみによく壊れにくい材料として、PETGも使われるかと思います。先に述べたフィラメントの比較表を見ると、靭性や曲げ強さはPETGのほうが良い、つまりPETGよりCFは脆く割れやすいため、多少変形してもある程度形を保ってくれれば良いならPETGでもよく、構造部材として使うのであれば、剛性の高いCFのほうがいいです。
ただし、PETGはサポート材取りづらい穴開けにくいなど加工的難点はあります。
構造部材は作るけどPETGで事足りるようであればp1シリーズを選ぶのも手でしょう。
センサー
P1S | P1P | X1C | |
---|---|---|---|
振動軽減 | 有り | 有り | 有り |
オートベッドレベリング | 有り | 有り | 有り |
自動Zオフセット調整 | 有り | 有り | 有り |
マイクロライダー | / | / | 有り |
チャンバーカメラ | 1280 x 720/0.5fps タイムラプス有り |
1280 x 720/0.5fps タイムラプス有り |
標準装備 (1920 x 1080) |
ドアセンサー | / | / | 有り |
P1PとP1Sのスペックは一緒となります。
X1CとP1P系の主な違いは、マイクロライダーの有無、チャンバーカメラのスペック、ドアセンサーの有無となります。
- マイクロライダーの有無
マイクロライダーがあると、一層目検査や失敗検知、マイクロライダーと力覚センサーでデュアルベッドレベリングができます。ジャムってたりはがれてたりする場合に通知が来て止まるため、印刷失敗に強く、材料が無駄になりづらいです。
ただ、BambuLabのプレートの中には、両面テクスチャード PEI プレート、テクスチャー PEI プレート (金色)という、普通の高温プレート (PEI)と比べて、ノリがいらず、シボ加工感のあるフットプリントで、冷めるとプレートからはがしやすい大変便利なプレートがあるのですが、こちらを使うと流量キャリブレーションや一層目検査がうまくいかなくなるため、注意が必要です。 - チャンバーカメラのスペック
X1Cのほうが画質がよいです。アプリ上ではいつも720pで見ており、そこまで困ることもない気がします。 - ドアセンサーの有無
センサーはあるようですが、まだそれを使った機能は実装されていません。
今後安全面を気にする場合はX1Cを選んだ方がよさげです。
エレクトロニクス
P1S | P1P | X1C | |
---|---|---|---|
LED照明 | 有り | 有り | 有り |
ディスプレイ | 2.7-inch 192x64 Screen | 2.7-inch 192x64 Screen | 5-inch 1280 x 720 タッチスクリーン |
接続 | Wi-Fi, Bluetooth, Bambu-Bus | Wi-Fi, Bluetooth, Bambu-Bus | Wi-Fi, Bambu-Bus |
ストレージ | Micro SD Card | Micro SD Card | 4GB eMMC and Micro SD Card Reader |
コントロール | ボタンパネル、Bambu Handy、Bambu Studio | ボタンパネル、Bambu Handy、Bambu Studio | タッチパネル、Bambu Handy、Bambu Studio |
NPU | / | / | 2 Tops |
P1PとP1Sのスペックは一緒となります。
X1CとP1P系の主な違いは、スクリーンの違い、BlueTooth接続の有無、内部ストレージの有無、NPU(Neural-Network Processing Unit)の有無となります。
- スクリーンの違い
P1P/P1Sはボタン操作のスクリーン、X1Cはタッチパネルです。
X1Cのタッチパネルの操作性は今までの3Dプリントと違ってかなりよく、ボタン押したらすぐ反応し、ディスプレイ描画もきれいで、直感的に操作できます。 - Bluetooth接続の有無
P1P/P1SはBluetooth接続に対応しています。wifiがない環境でも、本体と通信できます。 - 内部ストレージの有無
X1Cは内部にストレージを持っていますので、SDカードがなくても動きます。本体ストレージに印刷サンプルデータが入っている形です。 - NPU(Neural-Network Processing Unit)の有無
X1CはAIによる失敗検知が可能です。そのために使われている処理ユニットとなります。
その他
・X1Cは、カーボンレール上で駆動するので、振動特性がよいです。
P1Sはステンレスレールで、カーボンよりも重く、滑りづらい素材です。重く滑りづらいものが筐体の上のほうで振動するので、振動特性が悪いです。振動特性が悪いと造形が汚い・うるさい・失敗しやすい・などのデメリットが出ます。
おわりに
どれ買おうか迷っている人たちへの指針となれば幸いです。
また、私はX1C所持者でして、P1P/P1Sの魅力について知り切れていない部分があります。P1P/P1Sの魅力、間違いなど、何かあればコメントお願いします。