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VRのDiegeticUIとNon-DiegeticUIについて

Last updated at Posted at 2019-06-28

はじめに

DiegeticUI / Non-DiegeticUIとは物語世界内に属しているUI / 属していないUIのことです。
VRにおけるDiegeticUIについてはUnityの公式で説明されています。
https://unity3d.com/jp/learn/tutorials/topics/virtual-reality/user-interfaces-vr
ただ、Unity公式様が語っている割にはこの言葉でVRのUIについて語っている人が少ない印象なので、事例をあげてみました。

Diegeticの意味

Diegeticは「物語内の」という意味の形容詞です。「ダイエジェティック」みたいな発音になります。

もともとDiegeticという言葉は音の分野で使われていたようです。英辞郎on the webによると

diegetic sound
《映画理論》物語世界の[の世界に属する]音
non-diegetic sound
《映画理論》非物語世界の[物語の世界に属さない]音◆概念的に「物語の外」で鳴っていて、物語の登場人物には聞くことができない音。例えば、物語に付随する音楽。

ここでいう物語世界とはアニメとか映画とかゲームとかのことで、
Diegetic soundは、せりふや歩く音とか銃声など物語内で鳴っている音で、物語内のキャラクターには聞こえています。
Non-diegetic soundはBGMや「きらきらきら~」みたいな物語世界内では鳴っていない音で、キャラクターには聞こえていないです。

オノマトペでいうと擬音語(ワンワン、ガッシャーン)、擬態語(わくわく、テカテカ)の関係に似ている気もします。
https://meaning.jp/posts/1283#head-f3549870056a7251bfb89b02c064b5f7

DiegeticUI Non-DiegeticUI

「diegetic UI」でGoogle検索して画像結果を見るとFPSゲームに関する海外の記事の画像が多く出てきます。

こちらのInrerfaceLoveというゲームや映画のかっこいいUIをまとめているサイトには4つほどdiegeticUIが載っています。
https://ilikeinterfaces.com/?s=diegetic
こちらの記事も英語ですが説明してくれています。
https://samwongpic.wordpress.com/2014/06/20/diegetic-and-non-diegetic-ui-2/

ここで得たイメージとDiegeticSoundの定義をもとに私なりにDiegeticUIについて考えてみます。

DiegeticUI
・キャラクターが持っているスマホやタブレットに表示されているUI
・物語世界内のテレビやPCに表示されたりしているUI
・部屋にかかっている時計(動いているなら)
etc
SnapCrab_2019-6-27_17-32-25_No-00.png

Non-DiegeticUI
空間にいきなり出てくるUIなど
image.png

VRでのUI事例

DiegeticUI

Oculus First Contact

OculusのチュートリアルはほとんどDiegeticUIな気がします。
image.png
フロッピーディスクを謎の機械に入れると道具が出て来て、未来感のある部屋にいるという体験ができます。
image.png

Facebook Spaces

腕時計からUIが出てきます。
image.png
この方式はClusterとかでもありましたね。
image.png

BigScreen

色選択UIです。
色はペンキの缶に入っていて、ペンも実際のマーカーやボールペンなどを選びます。
image.png
カメラは自撮り棒方式です。これもDiegeticUIに入るかなと思います。
SnapCrab_2019-6-27_17-44-43_No-00.png

RecRoom

アイテムは箱をスライドして開けて受け取ります。
image.png

Disney movie VR

ボタンが手すりにあって、レーザーポインターで押す方式です。
image.png
Diegeticかは微妙ですが、ディズニーランドのテーマパークという舞台設定なので手すりに不思議なボタンがあっても自然なのでDiegeticにしました。

Non-DiegeticUI

ほとんどのVRUIはNon-Diegeticだと思います。

VRchat

空中に出ているUIをレーザーポインターでクリック
image.png

Cluster

image.png

UIと操作

厳密な分類は難しいと思いました。
物語世界に依存する部分も多く、「この世界は空間にUIが浮かぶ世界なんだよ!」ということにしておけばDiegeticUIになります。

またUI自体はDiegeticでも操作の仕方がDiegeticじゃないものもあります。
VR以外のPCやスマホとかなら、そもそも入力系統はほとんどクリックやタッチだけですが、VRならレーザーポインターでクリックすることもできれば、手を動かして架空のボタンを押す操作などもできます。
手は確実に存在しているのでDiegeticですが、レーザーポインターは物語世界内で存在しているのかはあいまいです。
(ちなみにOculusGoのアプリは手の位置を動かすことはできないので、レーザーポインターで操作するしかないと思います。)

またUIが3Dになっていて手で入力すればDiegeticUIというわけではありません。
RecRoomなどはほとんどのボタンが3Dで手で押し込む方式ですが、空中に浮かんでいるUIはDiegeticとはいえないと思います。
SnapCrab_2019-6-27_17-19-42_No-00.png

まとめ

分類して紹介してきましたが、分類することが大事なのではなくユーザー体験としてどのようなUIがいいかを考えることが大切だと思います。
またどちらのUIが良いという話でもありません。

DiegeticUIを作るのはとても手間がかかります。
ユーザーも手で押すより、レーザーポインターで空間に出ているものをクリックしたほうが楽なこともあるでしょう。

その代わりDiegeticUIを徹底すると、世界観を壊すこともなくユーザーのプレゼンスが高まることが期待できます。
事例ではUIの一部だけDiegeticUIになっているものもありました。

実装の工数、ユーザーの操作性、世界観の3つを天秤にかけてどの程度DiegeticUIにするかを考える必要があると思います。

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