はじめに
こんにちわ、DX関連のイベントがおもしろいなぁと最近思い始めてる、まとっちです。
タイトルに惹かれて、「JISTA全国大会&関東オープンフォーラム2024」にオンラインで参加したのですが、基調講演が想像以上に良い話だったので、自分の覚え書き用としてレポートに残しておきます。
JISTA(日本ITストラテジスト協会)とは
情報処理技術者試験であるITストラテジスト有資格者を中心に、IT業界が抱える様々な課題を解決すべく、明るく、楽しく、前向きに、相互研鑽と情報発信・啓蒙を進めている全国8支部体制の法人団体です。
JISTA全国大会&関東オープンフォーラム2024
下記2つを合わせたイベントとして開催されました。
- 毎年JISTA各支部が持ち回りで開催する「JISTA全国大会」の今年の主催が関東支部
- 毎年JISTA関東支部で開催してる「JISTAオープンフォーラム」
サブタイトルは「2025クライシス ~崖の乗り越え方とその先の10年~」です。
基調講演 ~「2025年の崖」の本質~
講演者:NTTデータ経営研究所 主席研究員 エグゼクティブ・コンサルタント 三谷慶一郎 氏
実際の登壇資料は撮影NGだったので本記事には載せておりませんが、経済産業省やIPAから発行された資料などで補足しながらまとめております。
2025年の崖とは
2018年のDXレポートの副題として登場し、日本企業が抱えるデジタルトランスフォーメーション(DX)の課題を象徴するものとして何度もこすられてきた言葉。
2025年には下記が想定され、年間最大で12兆円の経済損失が発生する恐れがある。
- 日本企業の約6割がレガシーシステムを使用する
👉 古い技術やアーキテクチャによるシステムが複雑化/肥大化し、データ連携も困難 - IT人材の不足は約43万人に達する
👉 有識者の退職でノウハウが失われ、ドキュメント不足で引き継ぎが困難に - IT予算の9割以上がレガシーシステムの保守に費やす
👉 ベンダー依存のブラックボックス化で費用がかさみ、データ活用に予算が回らない
2025年の崖の本質的な要因
この状況を招いた本質的な要因は独自性の高い仕事のやり方にあると思われる。日本特有の終身雇用により、人材の流動性が低く、各現場で仕事のやり方が独自に進化し、属人化が進んでしまった。こうした状況が、日本企業のDX推進における大きな障壁となっている。
👇独立行政法人情報処理推進機構(IPA):DX白書2023より引用
DX推進の目的と現状
多くの企業では、デジタイゼーション/デジタライゼーションによる既存事業のコスト削減が中心になってしまっており、効果が十分に得られていない。DXの本来の目的であるビジネスモデルの変革をすることで初めて大きな効果が生まれる。
👇日本情報システム・ユーザー協会:企業IT動向調査報告書2024より引用
👇経済産業省:DX支援ガイダンスより引用
このように、デジタル活用は生産性の向上に大きく貢献するポテンシャルを持っているのに、日本企業において十分な効果を上げられていない。また、デジタル活用そのものが不十分なのは、生成AIの活用状況からも分かる。
- 生成AIによって米国では4分の1の業務は自動化されると言われている
- 生成AIはスキルレベルが高い知的労働者ほどインパクトが大きい
- 生成AIで自動化される雇用の割合は先進国の方が高く、日本は世界第3位
- 世界と比べると日本企業(特に大企業)の生成AI活用が遅れてる
- 日本の経営者のAIに関する意識が高くない、重要性を理解していない
👇マッキンゼー:生成AIがもたらす潜在的な経済効果より引用
👇BCG:デジタル/生成AI時代に求められる人材育成のあり方より引用
適切なDX推進が出来ない原因
独自性の高い仕事のやり方によって、下記の問題が発生しているため、適切なDX推進が出来ない。
①業務変革が困難
経営側は成功体験を持っており、現場側はプライドを持っていることから、現在のやり方を変えたくない。そのため、業務変革を困難にさせており、現状のやり方を維持したままで、その業務効率化にIT予算が使われている(AI導入目的も日米で異なる)。
👇独立行政法人情報処理推進機構(IPA):DX白書2023より引用
②新ビジネス創出が困難
新ビジネス創出にはデータ活用が重要だが、日本企業の多くはデータが整備されていない。一部の中小企業ではFAX文化が残っているように、そもそもデータを蓄積する習慣が無い。データ品質が原因で、デジタル技術を導入しても、期待通りの成果にならないことが多い。
③柔軟な企業間連携が困難
日本企業では複数企業と業務連携はしているが、長期かつ固定的な関係性で、いつも同じ人とだけやっている。これからの変化の激しい環境において、現状連携している企業以外とデータ連携する必要は出てくるが、その連携が難しい。
👇独立行政法人情報処理推進機構(IPA):DX白書2023より引用
どうすればいいか
レガシーシステムの刷新を急がせる
これ自体が目的ではないが、DXを円滑に推進するために、まずはこの状況を解消する。独自性の高い仕事のやり方を変え、できるかぎり標準的なやり方に変えていく。
業務プロセスとデータ横断的管理組織を作る
システムの話ではないが、ビジネスプロセスマネジメントとデータマネジメントに特化して管理する専門組織を立ち上げ、全社横断的に管理していく。
システムに関するノウハウを蓄積する仕組みを作る
これからの環境変化に臨機応変に対応していくために、社内ノウハウを蓄積する(属人化しない)仕組みを作り、ローコード・ノーコード導入などで、社内でメンテナンスできる体制を構築する。
おわりに
現在の独自性の高い仕事のやり方をそのままkintoneやPower Appsに落とし込むことはできるけど、それではダメってことですね。自分のやり方を標準的なものに合わせられないか?何をするためにどのデータを蓄積するべきなのか?まずはきちんと整理が必要。