はじめに
本シリーズでは、Keithley 2401 sourcemeter を PC で制御することで、代表的な電気化学測定であるサイクリックボルタンメトリー(CV)を行う。
(1) ではプログラムを書く前の事前準備について述べる。
※本文書は研究室内の新人向けのチュートリアルとして作成したものです。
目的
CV のプログラムを自分の手でいじり、測定を行うことで
・三極法など、測定における原理を理解する
・プログラミングにより実験機器を制御するための基礎的な方法を習得する
それにより、理解力および実行力の両面において、自立して研究を進められる能力を身に着けてもらうことを目的とする。
また、本記事では「原理とかはよくわからないけれど、とりあえずPCでPythonのプログラムを動かせる状態になる」ことを目的とする。
事前学習
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/245698
京大のプログラミング入門講義の資料。「コンピュータとは?」みたいな話から記述されており、初学者に定評あり。プログラミング未履修の人は、5章まで読むことをお勧めします。
事前準備
https://oxon.hatenablog.com/entry/2020/06/09/175343
に倣って、以下の手順により、Pythonで書いたコードでソースメータを動かすための準備を行う。
Anaconda のインストール
Anaconda: Pythonプログラミングを細かい準備抜きで行うためのソフトみたいなもの。
https://www.anaconda.com/
よりインストール。特に問題なければデフォルトのやつを選択し続ければ良し。
Microsoft Visual Studio Code のインストール
Anaconda をインストールしたことでソースコードを書けるようになった。しかしソースコードを書くときにメモ帳を使うのは目が疲れる・・・。そこでテキストエディタ(ソースコードを見やすく表示するもの)をインストールする。
https://azure.microsoft.com/ja-jp/products/visual-studio-code/ からダウンロード
テキストエディタで同じソースコードを表示した際の比較。(左)メモ帳(右)visual studio code.右の方が見やすい。
GPIB to USB ドライバおよび VISA のインストール
ソースメータとPCをつなぐためにGPIB to USBケーブルというものを使う。PCがソースメータ(= GPIB to USBケーブルでPCと接続された機器)を認識するためには、ケーブルのドライバがPCにインストールされている必要がある。
GPIBについて
ダウンロード
ドライバ
以下の URL からドライバ(IEEE488.2)をダウンロードする。余談だが、NI(National Instruments)はGPIB to USBケーブルを販売している会社。
https://www.ni.com/ja-jp/support/downloads/drivers/download.ni-488-2.html#345631
VISA
加えて、以下の URL から VISA をダウンロードする。
https://www.ni.com/ja-jp/support/downloads/drivers/download.ni-visa.html#346210
余談だが、WindowsだとなぜかVISAを入れなくても動く。
pymeasure のインストール
sourcemeterを動かすためのモジュール(関数の集合体みたいなやつ)をインストールするためにpymeasure をPCにインストールしておく必要がある。
手順
・Anaconda prompt (Macの場合はターミナル)を開く
・pip install pymeasure と入力し(画像)、エンターキーを押す
→pymeasureのインストールが始まる。やってみればわかる。
・インストール完了!
pyvisa のインストール
・pymeasure と同様に、Anaconda prompt上で pip install pyvisa と入力する
・インストール完了!
おわりに
準備はここまで。(2)では実際のソースコードについて述べる。
補足
Keithley 2401 sourcemeter を Python で動かす際に参考になる資料。
Keithley 2400 説明書(日本語)
Keithley 2400 説明書(英語)
Keithley 2400 データシート
URL内「データシート」から、データシート(仕様書)をDLできる。
https://www.tek.com/ja/products/keithley/source-measure-units/2400-standard-series-sourcemeter
ケースレー製品による電気化学テストとアプリケーション
p2 「サイクリック・ボルタンメトリ」の図2を参考に、2400を用いてCV測定を行った。
https://jp.tek.com/-/media/files/jp-documents/5-1_echem-testmethods-application-1kz-60158-0.pdf
pymesure Keithley 2400 SourceMeter
pymeasure で 2401 を動かす際に用いるモジュール。
https://pymeasure.readthedocs.io/en/latest/api/instruments/keithley/keithley2400.html