人事・経理・労務の仕事が全部できる本
本書は、人事・経理・労務の仕事をひとりで担当しているような小さな会社のために、どのような書類をどの役所にいつまでに
人事・経理・労務の管理部門の仕事は華やかな脚光を浴びることはないが、会社にとってなくてはならない存在である。
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人事のお仕事
- 従業員の採用~退職まで、保険の手続きや給与計算を通じて従業員が安心して働き続けられる環境作り
- 健康管理や生活に困ったときのサポート
(従業員の健康診断の調整・把握・保管、労働時間のチェック、冠婚葬祭などさまざまな変化が起こったときの社会保険や労災保険、雇用保険のサポート) - ハラスメントなどのトラブル対応
(相談窓口の設置、教育研修の企画管理、従業員が快適に働き続けられるようにするサポート)
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経理
- 会社に入ってくるお金と出ていくお金の記録をつけること
(複式簿記でお金の動きを記録、税金の申告) - 現場や営業の社員が働きやすいようにバックヤードから支える
(経営に役立つ資料作り、各部門間の連絡役となり会社のリスク管理を行う)
- 会社に入ってくるお金と出ていくお金の記録をつけること
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労務
- 就業規則を作成し整え、トラブルを防止する
- 労災、労務トラブル、労務基準監督署の対応
(給与について)
給与計算
給与計算の流れ
- 【給与締日の前日まで】前月からの変更事項のチェック、給与ソフトへの反映
- 【支払日の7営業日前まで】勤怠データのチェック
- 【支払日の5営業日前まで】勤怠の入力
- 【市針日の4営業日前まで】給与名詞亞のチェック、確定
- 【支払日の3営業日前まで】給与の支払い
- 【翌月10日まで】税金・社会保険の支払い
給料の基本
給料の構造は以下の3つからできている
- 勤怠(給料の基礎となる情報)
- 支給項目(基本給や手当などの金額)
- 控除項目(社会保険料・税金・その他)
勤怠のルール
- 労働時間:1日8時間、1週40時間
- 休日:1週1日もしくは4週4日
- 休憩:6時間超→45分、8時間超→60分
- 時間外:法定労働時間を超えたら割増賃金の支払い
- 深夜:22時~5時
支給のルール
- 最低賃金:都道府県ごと
- 手当の種類:家族手当、通勤手当、住居手当など
- 課税・非課税:通勤交通費は一定額まで非課税
控除のルール
- 法廷控除:社会保険料、所得税、住民税など
- 独自の控除:労使協定が必要
税金の控除
流れ
- 課税される金額を確認する
- 非課税の手当てを確認する
- 社会保険料の金額を確認する
- 源泉徴収税額表の「月額表」を用意する
- 扶養控除申告書で扶養の人数を確認する
- 住民税の特別徴収決定通知書を確認する
所得税の控除
額面金額から給与所得控除の金額をマイナスした金額に税率を掛けて計算する。
配偶者や扶養家族がいたり、障がいがある場合、さらに一定の金額を控除できる。
(給料の額面金額 - 給与所得控除の金額 - 所得控除の金額)× 所得税率 = 源泉所得税
【源泉所得税の具体的な計算ステップ】
- 給与所得の源泉徴収税額表の月額表を見る
- 給料の合計から天引きした社会保険料をマイナスする
- 「社会保険料控除後の給与等の金額」欄を見て、「扶養親族等の数」欄と交わる箇所を確認する
- そこに記載されている金額が天引きすべき所得税になる
給与所得控除:無条件に年収から差し引かれる控除(給与収入の金額に応じて経費に相当する金額が自動的に決まる)
所得控除:ある一定条件を満たした上で、申告した人が差し引かれる控除(生命保険控除や扶養控除、地震保険料控除など)
源泉所得税:企業が従業員や報酬を受け取る方の源泉から徴収し、ご本人に代わって納める所得税
住民税の控除
本人が住んでている地方自治体から送られてくる明細どおりの金額を天引きする。
特別徴収
会社が住民税を天引きし、従業員に代わって納税する方式を「特別徴収」という。
毎年、5月ごろに各従業員が住む地方自治体から送られてくる「特別徴収決定通知」の金額を使う。
年の途中で引っ越した場合も、5月までは1月1日現在の住民票所在地の市区町村に納付する。
社会保険料の控除
社会保険料の計算
給与の額を標準報酬月額表と照らしあわせ「標準報酬月額」を確認する。
そのうち折半額(会社負担と本人負担を分けたもの)が控除額となる
40歳以上になると介護保険が控除される。
「40歳の誕生日の前日の月」から控除される。
社会保険料の納付は翌月末なので、それにあわせて前月分を控除する。
そのため社会人一年目は社会保険料が引かれない。
雇用保険の控除
雇用保険の計算
毎月の給料に保険料率(従業員負担分)を掛けて計算する。
控除のタイミングは社会保険料と違って入社月の分から控除する。
給料から控除した税金の支払い
- 所得税の納付書を作成する
- 住民税の納付書を用意する
- 金融機関の窓口などで支払う
明細書の発行
給与の計算が終わったら、その計算根拠を一覧表にまとめて保管し、各人にそれぞれの明細書を交付する。
作成する書類としては以下の3つ
- 給与明細書
給与明細書は紙に印刷して渡すのが原則だが、従業員の同意があれば電子情報で交付することも可能。 賃金台帳
①氏名
②性別
③給与の計算期間
④労働日数
⑤労働時間数
⑥時間外・休日・深夜労働時間数
⑦基本給・時間外手当その他支給項目の種類とその金額
⑧給料の一部を控除した場合は、その内容と金額
の8つの事項を記載した賃金台帳を各人ごとに作成し、出勤簿およびタイムカードと一緒に3年間保管する。月別給料一覧表
賞与計算
流れ
- 賞与の額を確定する
- 社会保険料を控除する
- 雇用保険料を控除する
- 税金を控除する
- 賞与明細を作成し、賞与を支払う
- 賞与支払い届を届け出る
- 保険料の納付
このように給与計算とほとんど同じ流れである。
賞与支払い届
賞与支払い届は賞与の支給がなくても届け出が必要。
5日以内に「健康保険・厚生年金被保険者賞与支給届」「健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届総括表」を年金事務所に提出する。
退職月に賞与を支払う場合は、月末退職の場合を除き社会保険料はかからない。