スクラムガイドの⽬的
世界中の⼈たちがスクラムを理解できるように執筆。
スクラムの定義が含まれている。フレームワークの各要素には特定の⽬的があり、スクラムで実現される全体的な価値や結果に⽋かせないものとなっている。スクラムのルールに従うように実施する。
スクラムの理論
スクラムとは、複雑な問題に対応する適応型のソリューションを通じて、⼈々、チーム、組織が価値を⽣み出すための軽量級フレームワーク。
リーン開発
目的
「リーン」(Lean)とは、「(余分な脂肪などない)引き締まった、ぜい肉の少ない」「(組織が)効率的な、スリム化した」という意味。
必要最小限の経営資源で徹底的にムダを省き、コストを抑えながら顧客価値を最大限に導きだすのが「リーン開発」の目的。ROI
特徴
リーン開発は、必要最低限の機能を備えたプロトタイプの作成によりコストを抑え、顧客の声を聴いて何度も改善を重ねる、リーンの考え方を用いた開発手法。「構築→計測→学習」という3段階のサイクルをできる限り短い時間で回します。
まずは「こんな製品が必要ではないか」という仮説を立て、プロダクトを構築し、「最小限の製品(MVP:Minimum Viable Product)」を制作。MVPは実際にユーザーに使用してもって反応を計測するための製品なので、すべての機能を実装する必要はありません。完全な製品を目指さず、実用最低限の製品で市場に投入し、実際のユーザーの反応・フィードバックを得て改良を重ねながら製品化へと導く仕組みです。
「小規模かつ短期間で事業をスタート」することで、ユーザーの反応を確かめながら製品・サービスを生み出せるので、顧客のニーズから大きく外れることがなく失敗確率の少ない開発手法です。
スクラムでは、予測可能性を最適化してリスクを制御するために、イテレーティブ(反復的)
でインクリメンタル(漸進的)なアプローチを採⽤している
スプリントで様々なことを経験し、次のスプリントで改善していく。
ベロシティとかふりかえりでのPとかのイメージ。
- 透明性
- プロセスや作業などすべて見える必要がある
- 上記によりいいことやわるいことが見えるようになる
- 検査
- 物事に変わったところや異状がないか注意深く調べて、その可否、適不適などを確認すること
- 各イベント
- スプリント、プランニング、デイリースクラム、レビュー、レトロ
- 潜在的に望ましくない変化や問題を検知する
- 上記によって適応が可能になる。適応のない検査は意味がないとされる。スクラムのイベントは、変化を引き起こすように設計されている。現状維持は衰退の始まりか
- 適応
- その場の状態・条件などによくあてはまること
- プロセスのいずれかの側⾯が許容範囲を逸脱していたり、成果となるプロダクトが受け⼊れられなかったりしたときは、適⽤しているプロセスや製造している構成要素を調整する必要がある
- 関係者に権限が与えられていないときや、⾃⼰管理されていないときは、適応が難しくなる
- スクラムチームは検査によって新しいことを学んだ瞬間に適応することが期待されている。
- 変化に強くなる。変化を歓迎する
スクラムの価値基準
スクラムが成功するかどうかは、次の 5 つの価値基準を実践できるかどうかにかかっている
- 確約(Commitment
- スクラムチームは、ゴールを達成し、お互いにサポートすることを確約する
- SMは自己組織化を促す
- 集中(Focus
- スクラムチームは、ゴールに向けて可能な限り進捗できるように、スプリントの作業に集中する
- SMは障害物を排除する
- 公開(Opennness
- スクラムチームとステークホルダーは、作業や課題を公開する
- 透明性
- 尊敬(Respect
- スクラムチームのメンバーは、お互いに能⼒のある独⽴した個⼈として尊敬し、⼀緒に働く⼈たちからも同じように尊敬される
- チームビルディング
- 勇気(Courage
- スクラムチームのメンバーは、正しいことをする勇気や困難な問題に取り組む勇気を持つ
- 自己組織化
これらの価値基準がスクラムチームや⼀緒に働く⼈たちによって具現化されるとき、経験主義のスクラムの
三本柱「透明性」「検査」「適応」に息が吹き込まれ、信頼が構築される。
スクラムチーム
- スクラムチームは機能横断型で、各スプリントで価値を⽣み出すために必要なすべてのスキルを備えている。また、⾃⼰管理型であり、誰が何を、いつ、どのように⾏うかをスクラムチーム内で決定する。
- スクラムチームは、敏捷性を維持するための⼗分な⼩ささと、スプリント内で重要な作業を完了するための⼗分な⼤きさがあり、通常は 10 ⼈以下である。
- スクラムチームは、ステークホルダーとのコラボレーション、検証、保守、運⽤、実験、研究
開発など、プロダクトに関して必要となり得るすべての活動に責任を持つ。 - スクラムチームは、⾃分たちで作業を管理できるように組織によって構成され、その権限が与えられている。持続
可能なペースでスプリントの作業を⾏うことにより、スクラムチームの集中と⼀貫性が向上する。 - スクラムチーム全体が、スプリントごとに価値のある有⽤なインクリメントを作成する責任を持つ。スクラムはスクラムチームにおいて、開発者、プロダクトオーナー、スクラムマスターという 3 つの明確な責任を定義する。
開発者
開発者はスクラムチームの⼀員である。各スプリントにおいて、利⽤可能なインクリメントのあらゆる側⾯を作成することを確約する。
責任
- スプリントの計画(スプリントバックログ)を作成する。
- 完成の定義を忠実に守ることにより品質を作り込む。
- スプリントゴールに向けて毎⽇計画を適応させる。
- 専⾨家としてお互いに責任を持つ。
プロダクトオーナー
プロダクトオーナーは、スクラムチームから⽣み出されるプロダクトの価値を最⼤化することの結果に責任を持つ
- プロダクトゴールを策定し、明⽰的に伝える。
- プロダクトバックログアイテムを作成し、明確に伝える。
- プロダクトバックログアイテムを並び替える。
- プロダクトバックログに透明性があり、⾒える化され、理解されるようにする。
スクラムマスター
スクラムガイドで定義されたスクラムを確⽴させることの結果に責任を持つ
スクラムマスターは、スクラムチームと組織において、スクラムの理論とプラクティス
を全員に理解してもらえるよう⽀援することで、その責任を果たす。
スクラムイベント
スプリントは他のすべてのイベントの⼊れ物である。スクラムにおけるそれぞれのイベントは、スクラムの作成物の検査と適応をするための公式の機会である。これらのイベントは必要な透明性を実現するために明確に設計されている。
スプリント
スプリントはスクラムにおける⼼臓の⿎動であり、スプリントにおいてアイデアが価値に変わる。
- スプリントゴールの達成を危険にさらすような変更はしない。
- 品質を低下させない。
- プロダクトバックログを必要に応じてリファインメントする。
- 学習が進むにつれてスコープが明確化され、プロダクトオーナーとの再交渉が必要になる場合がある。
スプリントによって、プロダクトゴールに対する進捗の検査と適応が少なくとも 1 か⽉ごとに確実になり、予測可能性が⾼まる。
スプリントゴールがもはや役に⽴たなくなった場合、スプリントは中⽌されることになるだろ
う。プロダクトオーナーだけがスプリントを中⽌する権限を持つ。
スプリントプランニング
スプリントプランニングはスプリントの起点であり、ここではスプリントで実⾏する作業の計画を⽴てる。結果としてできる計画は、スクラムチーム全体の共同作業によって作成される。
- プロダクトオーナーは参加者に対して、最も重要なプロダクトバックログアイテムと、それらとプロダクトゴールとの関連性について話し合う準備ができているかを確認する
- スクラムチームは、アドバイスをもらうためにチーム以外の⼈をスプリントプランニングに招待してもよい
トピック 1:このスプリントはなぜ価値があるのか?
プロダクトオーナーは、プロダクトの価値と有⽤性を今回のスプリントでどのように⾼めることができるかを提案する。次に、スクラムチーム全体が協⼒して、そのスプリントになぜ価値があるかをステークホルダーに伝えるスプリントゴールを定義する。スプリントゴールは、スプリントプランニングの終了までに確定する必要がある。
トピック 2:このスプリントで何ができるのか?
開発者は、プロダクトオーナーとの話し合いを通じて、プロダクトバックログからアイテムを選択し、今回のスプリントに含める。スクラムチームは、このプロセスの中でプロダクトバックログアイテムのリファインメントをする場合がある。それによって、チームの理解と⾃信が⾼まる。開発者が過去の⾃分たちのパフォーマンス、今回のキャパシティ、および完成の定義の理解を深めていけば、スプリントの予測に⾃信が持てるようになる。
トピック 3:選択した作業をどのように成し遂げるのか?
開発者は、選択したプロダクトバックログアイテムごとに、完成の定義を満たすインクリメントを作成するために必要な作業を計画する。
デイリースクラム
デイリースクラムの⽬的は、計画された今後の作業を調整しながら、スプリントゴールに対する進捗を検査し、必要に応じてスプリントバックログを適応させることである。
- 開発者は、デイリースクラムがスプリントゴールの進捗に焦点をあて、これからの 1 ⽇の作業の実⾏可能な計画を作成する限り、必要な構造とやり⽅を選択できる。これは集中を⽣み出し、⾃⼰管理を促進する。
- デイリースクラムは、コミュニケーションを改善し、障害物を特定し、迅速な意思決定を促進する。その結果、他の会議を不要にする。
スプリントレビュー
スプリントレビューの⽬的は、スプリントの成果を検査し、今後の適応を決定することである。
スクラムチームは、主要なステークホルダーに作業の結果を提⽰し、プロダクトゴールに対する進捗について話し合う。
スプリントレトロスペクティブ
スプリントレトロスペクティブの⽬的は、品質と効果を⾼める⽅法を計画することである。
- スクラムチームは、個⼈、相互作⽤、プロセス、ツール、完成の定義に関して、今回のスプリントがどのように進んだかを検査する。
- スクラムチームは、⾃分たちの効果を改善するために最も役⽴つ変更を特定する。最も影響の⼤きな改善は、できるだけ早く対処する。次のスプリントのスプリントバックログに追加することもできる。
スクラムの作成物
スクラムの作成物は、作業や価値を表している。これらは重要な情報の透明性を最⼤化できるように設計されている。作成物を検査する⼈が、適応するときと同じ基準を持っている。
各作成物には、透明性と集中を⾼める情報を提供する「確約(コミットメント)」が含まれている。これにより進捗を測定できる。
- プロダクトバックログのためのプロダクトゴール
- スプリントバックログのためのスプリントゴール
- インクリメントのための完成の定義
これらの確約は、スクラムチームとステークホルダーの経験主義とスクラムの価値基準を強化するために存在する。
プロダクトバックログ
プロダクトバックログは、創発的かつ順番に並べられた、プロダクトの改善に必要なものの⼀覧である。これは、スクラムチームが⾏う作業の唯⼀の情報源である。
1 スプリント内でスクラムチームが完成できるプロダクトバックログアイテムは、スプリントプランニングのときには選択の準備ができている。スクラムチームは通常、リファインメントの活動を通じて、選択に必要な透明性を獲得する。プロダクトバックログアイテムがより⼩さく詳細になるように、分割および定義をする活動である。これは、説明・並び順・サイズなどの詳細を追加するための継続的な活動である。多くの場合、属性は作業領域によって異なる。
作業を⾏う開発者は、その作業規模の評価に責任を持つ。開発者がトレードオフを理解して選択できるように、プロダクトオーナーが開発者を⽀援することもできる。
確約(コミットメント):プロダクトゴール
プロダクトゴールは、プロダクトの将来の状態を表している。それがスクラムチームの計画のターゲットになる。
プロダクトゴールは、スクラムチームの⻑期的な⽬標である。次の⽬標に移る前に、スクラムチームはひとつの⽬標を達成(または放棄)しなければならない。
スプリントバックログ
スプリントバックログは、スプリントゴール(なぜ)、スプリント向けに選択されたいくつかのプロダクトバックログアイテム(何を)、およびインクリメントを届けるための実⾏可能な計画(どのように)で構成される。
スプリントバックログはデイリースクラムで進捗を検査できる程度の詳細さが必要である。
確約(コミットメント):スプリントゴール
スプリントゴールはスプリントの唯⼀の⽬的である。スプリントゴールは開発者が確約するものだが、スプリントゴールを達成するために必要となる作業に対しては柔軟性をもたらす。
スプリントゴールは、スプリントプランニングで作成され、スプリントバックログに追加される。開発者がスプリントで作業するときには、スプリントゴールを念頭に置く。作業が予想と異なることが判明した場合は、スプリントゴールに影響を与えることがないように、プロダクトオーナーと交渉してスプリントバックログのスコープを調整する。
インクリメント
インクリメントは、プロダクトゴールに向けた具体的な踏み⽯である。インクリメントはこれまでのすべてのインクリメントに追加する。すべてのインクリメントが連携して機能することを保証するために、徹底的に検証する必要がある。価値を提供するには、インクリメントを利⽤可能にしなければならない。
完成の定義を満たさない限り、作業をインクリメントの⼀部と⾒なすことはできない。
確約(コミットメント):完成の定義
完成の定義とは、プロダクトの品質基準を満たすインクリメントの状態を⽰した正式な記述である。
プロダクトバックログアイテムが完成の定義を満たしたときにインクリメントが誕⽣する。
完成の定義により、作業が完了してインクリメントの⼀部となったことが全員の共通認識となり、透明性が⽣み出される。