目次
- Cursorとは
- インストールと初期設定
- 基本的な使い方
- AI機能の最大活用
- 効率的なコーディング手法
- キーボードショートカット
- チーム開発での活用
- パフォーマンス最適化
- セキュリティ対策
- トラブルシューティング
- 拡張機能と連携
- アップデートと将来展望
Cursorとは
Cursorは、AIを統合したモダンなコードエディタで、開発者の生産性を大幅に向上させるツールです。VSCodeをベースにしており、その使い慣れたインターフェースに加えて、OpenAIのGPT-4などの大規模言語モデル(LLM)を活用した機能を提供しています。
主な特徴
- AIによるコード生成: 自然言語での指示からコードを生成
- コードの理解と説明: 複雑なコードの説明や要約
- インテリジェントな編集支援: リファクタリング、バグ修正、最適化の提案
- チャット機能: プロジェクトのコンテキストを理解したAIとの対話
- GitHub Copilot互換: 既存のCopilotユーザーも違和感なく使用可能
Cursorは特に、大規模なコードベースの理解、新機能の素早い実装、デバッグの効率化などを得意としています。
インストールと初期設定
システム要件
- OS: Windows 10/11、macOS 10.14以降、Linux (Debian/Ubuntu系)
- RAM: 最低8GB (16GB以上推奨)
- ストレージ: 最低2GB の空き容量
- インターネット接続: 常時接続推奨(AI機能に必要)
インストール手順
- Cursor公式サイトからインストーラーをダウンロード
- インストーラーを実行し、画面の指示に従う
- 初回起動時にサインイン画面が表示される
- OpenAIアカウントでログインするか、メールアドレスで新規登録
初期設定のポイント
API接続設定
API接続は初期設定の重要なステップです:
- Cursorを起動し、左下の歯車アイコンをクリック
- 「Settings」を選択
- 「API Providers」セクションを開く
- APIプロバイダーを選択(OpenAI、自前のAPI、または他のプロバイダー)
- API Keyを入力(OpenAIの場合はこちらから取得)
テーマとフォント
作業環境を自分好みにカスタマイズしましょう:
- 「Settings」→「Theme」でテーマを選択
- 「Settings」→「Text Editor」→「Font」でフォントとサイズを調整
- 「Color Customizations」で細かい色調整も可能
言語設定
日本語環境で使用する場合:
- 「Settings」→「Application」→「Language」を開く
- ドロップダウンメニューから「Japanese」を選択
- Cursorを再起動して変更を適用
キーバインディング
VSCodeからの移行を考慮したキーバインディング:
- 「Settings」→「Keyboard Shortcuts」を開く
- 「Keymaps」タブで「Visual Studio Code」を選択
- 必要に応じて個別のキーバインドをカスタマイズ
基本的な使い方
プロジェクトの開始
- 「File」→「Open Folder」でプロジェクトフォルダを開く
- 「File」→「New File」で新規ファイルを作成
- 「File」→「Save As」でファイルを保存
エディタの基本機能
- ファイル操作: 左側のエクスプローラーでファイル管理
-
検索:
Ctrl+F
(Windows/Linux)またはCmd+F
(Mac)で検索 -
置換:
Ctrl+H
(Windows/Linux)またはCmd+H
(Mac)で置換 -
複数選択:
Alt
+クリックで複数カーソル配置 -
行移動:
Alt+↑/↓
で行を上下に移動
ターミナルの使用
-
Ctrl+`
(Windows/Linux)またはCmd+`
(Mac)でターミナルを開く -
+
アイコンで新しいターミナルを追加 - ドロップダウンメニューでターミナルタイプを切り替え(bash、PowerShell、cmdなど)
Git操作
- 左側のSourceControlアイコンをクリック
- 変更ファイルをステージング(
+
ボタン) - コミットメッセージを入力してコミット
- プッシュ、プル、ブランチ作成などの操作も可能
AI機能の最大活用
AIチャットの使い方
-
Ctrl+L
(Windows/Linux)またはCmd+L
(Mac)でAIチャットを開く - 質問や指示を自然言語で入力
- プロジェクトのコンテキストを認識した回答が得られる
効果的なプロンプトの例
- 「このプロジェクトの構造を説明して」
- 「app.jsファイルの主な機能は何?」
- 「このエラーの原因と解決策を教えて」
- 「このコードをTypeScriptに変換して」
コード生成
- 新しいファイルを開くか、既存ファイルに挿入したい場所にカーソルを置く
-
Ctrl+K
(Windows/Linux)またはCmd+K
(Mac)を押す - 生成したいコードの説明を自然言語で入力
- 生成されたコードを確認し、必要に応じて調整
コード生成のベストプラクティス
- 具体的に指示する: 「ユーザー認証機能を実装して」より「JWTを使ったRESTful APIのユーザー認証機能をExpressで実装して」の方が良い結果になります
- コンテキストを提供する: 既存のコードベースやアーキテクチャについての情報を提供する
- 制約条件を明記する: パフォーマンス要件、互換性、使用すべきライブラリなどを指定する
- 段階的に生成する: 複雑な機能は一度に生成せず、段階的に指示を出す
コード説明と理解
- 理解したいコードを選択
-
Ctrl+Shift+L
(Windows/Linux)またはCmd+Shift+L
(Mac)を押す - 「Explain this code」を選択
コード理解の活用シーン
- レガシーコードの把握
- 他人が書いたコードの理解
- 複雑なアルゴリズムの解説
- コードレビュー時の支援
リファクタリング
- リファクタリングしたいコードを選択
-
Ctrl+Shift+L
(Windows/Linux)またはCmd+Shift+L
(Mac)を押す - 「Refactor this code」を選択、または具体的なリファクタリング指示を入力
効果的なリファクタリング指示例
- 「このコードをより読みやすく整理して」
- 「このクラスを単一責任の原則に従って分割して」
- 「このコードのパフォーマンスを改善して」
- 「このコードを関数型プログラミングスタイルに変換して」
デバッグ支援
- エラーが発生しているコードを選択
-
Ctrl+Shift+L
(Windows/Linux)またはCmd+Shift+L
(Mac)を押す - 「Debug this code」または「Fix this error」を選択
デバッグ効率化のコツ
- エラーメッセージをコピーしてAIに示す
- 期待する動作と実際の動作の違いを説明する
- 再現手順を詳細に記述する
- ログ出力や変数の状態も共有する
効率的なコーディング手法
スニペットの活用
- よく使うコードパターンを選択
-
Ctrl+Shift+L
(Windows/Linux)またはCmd+Shift+L
(Mac)を押す - 「Save as snippet」を選択
- 名前とトリガーワードを設定
テンプレート生成
-
Ctrl+L
(Windows/Linux)またはCmd+L
(Mac)でAIチャットを開く - 「〇〇のテンプレートを作成して」と指示
- 例:「React Componentのテンプレートを作成して」
- 例:「APIエンドポイントのテンプレートを作成して」
コード最適化
- 最適化したいコードを選択
-
Ctrl+Shift+L
(Windows/Linux)またはCmd+Shift+L
(Mac)を押す - 「Optimize this code」を選択
- 最適化の方向性(速度、メモリ使用量、読みやすさなど)を指定
ドキュメント生成
- ドキュメントを生成したい関数やクラスを選択
-
Ctrl+Shift+L
(Windows/Linux)またはCmd+Shift+L
(Mac)を押す - 「Document this code」を選択
- ドキュメントスタイル(JSDoc、TypeDoc、PythonDocなど)を指定
テスト生成
- テストを作成したいコードを選択
-
Ctrl+Shift+L
(Windows/Linux)またはCmd+Shift+L
(Mac)を押す - 「Generate tests」を選択
- テストフレームワーク(Jest、Mocha、pytestなど)を指定
キーボードショートカット
基本操作
操作 | Windows/Linux | Mac |
---|---|---|
ファイル保存 | Ctrl+S |
Cmd+S |
すべて保存 | Ctrl+Shift+S |
Cmd+Shift+S |
ファイルを開く | Ctrl+O |
Cmd+O |
検索 | Ctrl+F |
Cmd+F |
置換 | Ctrl+H |
Cmd+H |
全ファイル検索 | Ctrl+Shift+F |
Cmd+Shift+F |
コマンドパレット | Ctrl+Shift+P |
Cmd+Shift+P |
エディタ操作
操作 | Windows/Linux | Mac |
---|---|---|
行の複製 | Shift+Alt+↓ |
Shift+Option+↓ |
行の削除 | Ctrl+Shift+K |
Cmd+Shift+K |
行のコメントアウト | Ctrl+/ |
Cmd+/ |
インデント増加 | Tab |
Tab |
インデント減少 | Shift+Tab |
Shift+Tab |
複数カーソル | Alt+クリック |
Option+クリック |
単語選択 | Ctrl+D |
Cmd+D |
AI機能
操作 | Windows/Linux | Mac | 説明 |
---|---|---|---|
AIチャット開始 | Ctrl+L |
Cmd+L |
AIとの対話を開始 |
コード生成 | Ctrl+K |
Cmd+K |
指示からコードを生成 |
選択コードの編集 | Ctrl+Shift+L |
Cmd+Shift+L |
選択したコードに対するAI操作 |
インラインAI提案 | Alt+\ |
Option+\ |
コード入力中にAI提案を表示 |
AIチャットの履歴 | Ctrl+Shift+H |
Cmd+Shift+H |
過去のAI対話を表示 |
カスタムショートカットの設定
- 「Settings」→「Keyboard Shortcuts」を開く
- 検索ボックスに設定したい機能名を入力
- 項目をクリックして新しいキーの組み合わせを入力
- 競合がある場合は解消するか別のキーを選択
チーム開発での活用
共有設定の構築
プロジェクト全体で一貫したCursor体験を提供するために:
- プロジェクトルートに
.cursor
ディレクトリを作成 - 以下のファイルを配置:
-
settings.json
: エディタ設定 -
extensions.json
: 推奨拡張機能 -
keybindings.json
: キーボードショートカット -
snippets/
: カスタムスニペット
-
// .cursor/settings.json の例
{
"editor.formatOnSave": true,
"editor.tabSize": 2,
"files.insertFinalNewline": true,
"cursor.ai.provider": "openai",
"cursor.ai.modelName": "gpt-4"
}
コードレビュー支援
- レビュー対象のPRやコミットをチェックアウト
-
Ctrl+L
(Windows/Linux)またはCmd+L
(Mac)でAIチャットを開く - 「このPRの主な変更点を要約して」「セキュリティ問題がないかチェックして」などと指示
ナレッジ共有
- 複雑なコードや機能の説明をAIに生成させる
- チームのドキュメントやWikiに追加
- 新メンバーのオンボーディングに活用
ペアプログラミング
- Live Share拡張機能をインストール
- 「View」→「Command Palette」→「Live Share: Start Collaboration Session」
- 生成されたリンクをチームメンバーと共有
- 共同で編集しながらAI機能も活用
パフォーマンス最適化
メモリ使用量の管理
- 「Settings」→「Application」→「Performance」を開く
- 「Memory Limit」を適切に設定(通常はシステムRAMの半分程度)
- 不要なタブやウィンドウを閉じる
- 大規模プロジェクトでは「Workspace Trust」を有効にする
キャッシュ管理
- 「Help」→「Toggle Developer Tools」を開く
- 「Application」タブ→「Storage」→「Clear site data」
- 定期的にキャッシュをクリア(月1回程度)
高速化テクニック
- 「Settings」→「Text Editor」→「Suggestions」で不要な提案を無効化
- 「Settings」→「Extensions」→「Auto Update」を「none」に設定
- 大きなプロジェクトでは「Settings」→「Search」→「Follow Symlinks」を無効化
- ファイル監視除外設定を追加(node_modules、.gitなど)
// settings.jsonに追加
"files.watcherExclude": {
"**/.git/**": true,
"**/node_modules/**": true,
"**/dist/**": true,
"**/build/**": true
}
セキュリティ対策
APIキーの保護
- API鍵は環境変数または安全な資格情報ストアに保存
-
.gitignore
に機密情報ファイルを追加 - プロジェクト内の
.env
ファイルを適切に管理
データ送信の制御
- 「Settings」→「AI」→「Privacy」を開く
- 「Data Sharing」オプションを確認
- 「Exclude Patterns」に機密情報を含むファイルパターンを追加
// settings.jsonに追加
"cursor.ai.excludePatterns": [
"**/*.env",
"**/*.pem",
"**/credentials/**",
"**/personal/**"
]
安全なAI操作
- クレデンシャルやAPIキーを含むコードブロックはAIに送信しない
- データベース接続情報など機密情報を含むファイルはAI分析対象から除外
- 本番環境のコードを操作する際は特に注意
コンプライアンス考慮事項
- 所属組織のAIツール使用ポリシーを確認
- 業界固有の規制(GDPR、HIPAA、PCI DSSなど)に準拠
- オフラインモードやエアギャップ環境での代替手段を検討
トラブルシューティング
一般的な問題と解決策
問題 | 解決策 |
---|---|
起動しない | 1. タスクマネージャーで既存プロセスを終了 2. 設定ファイルをリセット 3. 再インストール |
動作が遅い | 1. 不要な拡張機能を無効化 2. メモリ制限を調整 3. キャッシュをクリア |
クラッシュする | 1. ログを確認(Help→Open Logs Folder) 2. セーフモードで起動(--safe-mode引数を追加) 3. 設定を初期化 |
AI機能が動作しない | 1. インターネット接続を確認 2. APIキーを再設定 3. モデル選択を変更 4. プロキシ設定を確認 |
ログの確認方法
- 「Help」→「Open Logs Folder」を選択
- 最新のログファイルを開く
- エラーメッセージを確認
- 必要に応じてCursorサポートチームに共有
設定リセット
- Cursorを完全に終了
- 以下のディレクトリを削除または名前変更:
- Windows:
%APPDATA%\Cursor
- macOS:
~/Library/Application Support/Cursor
- Linux:
~/.config/Cursor
- Windows:
- Cursorを再起動
拡張機能と連携
おすすめ拡張機能
拡張機能 | 説明 |
---|---|
ESLint | JavaScript/TypeScriptコード品質チェック |
Prettier | コードフォーマッタ |
GitLens | Git履歴と差分の可視化 |
Docker | コンテナ管理と開発 |
Live Share | リアルタイム共同編集 |
REST Client | APIテスト用クライアント |
Code Spell Checker | スペルチェック |
拡張機能管理
- 左側のExtensionsアイコンをクリック
- 検索ボックスで拡張機能を検索
- インストール、無効化、アンインストールボタンで管理
- 設定アイコンから拡張機能ごとの詳細設定にアクセス
外部ツールとの連携
ターミナルとの統合
-
Ctrl+`
(Windows/Linux)またはCmd+`
(Mac)でターミナルパネルを開く - ドロップダウンメニューから使用するシェルを選択
- ターミナルでの操作をAIチャットで質問可能
デバッガーとの連携
- 「Run」→「Add Configuration」でデバッグ設定を追加
-
launch.json
を編集して環境に合わせたデバッグ設定 - ブレークポイントを設定し「Run」→「Start Debugging」で開始
- 変数情報やコールスタックをAIに説明させることも可能
Docker連携
- Docker拡張機能をインストール
- 左側のDockerアイコンからコンテナ/イメージを管理
-
Dockerfile
やdocker-compose.yml
を右クリックして操作
アップデートと将来展望
アップデート管理
- 「Help」→「Check for Updates」で最新版を確認
- 自動更新設定は「Settings」→「Application」→「Update」で調整
- リリースノートはCursor公式ブログで確認
最新機能の追跡
- Cursor Discordに参加
- Cursor GitHubをフォロー
- Cursor Twitterをフォロー
ロードマップ
Cursorは活発に開発が進められており、以下の機能が計画されています:
- より高度なAIモデルとの統合
- コラボレーション機能の強化
- 言語特化型の補助機能
- パフォーマンス最適化
- モバイル対応
最新の開発状況は公式サイトで確認してください。
結論
Cursorは従来のコードエディタの利便性と最新のAI技術を組み合わせた革新的なツールです。本ガイドで紹介したベストプラクティスを活用することで、開発効率を大幅に向上させることができます。
AIの支援を受けながらも、最終的な判断は開発者自身が行うことが重要です。AIは強力なツールですが、コードの品質、セキュリティ、倫理的配慮は常に人間の責任であることを忘れないでください。
Cursorを使いこなし、より生産的で創造的な開発体験を実現しましょう。