最近、AI利用した開発に挑戦してみたいと考え、AIとやり取りしながら開発できる「cline」を試してみました。さらにその経験を活かして、大きなタスクを自動で細分化してくれるAI ToDoリストも作成しました。この記事では、その過程で得た知見やポイントをまとめます。
1. cline を試してみた
1-1. なぜ cline?
- AI利用開発を手軽に体験したかった
最近はLLM(大規模言語モデル)を活用したシステム開発が注目を集めています。ChatGPTなどのWebインターフェースも便利ですが、開発環境内で直接AIと対話できる方法を探していました。そこで、お気軽に開発できると噂の「cline」を利用することにしました。
1-2. 導入は驚くほど簡単
- VS Code に拡張機能をインストール
- APIキーを設定
詳しくはこちらの記事を参照しました。
https://qiita.com/minorun365/items/b2990a7228e8cc4ed025
これだけでセットアップは完了します。複雑な環境構築や設定が不要で、文字通り数分でAI開発環境が整うのは大きな魅力でした。特にプログラミング初心者や、新しい技術を試すのにハードルを感じている方にとって、この手軽さは重要なポイントだと思います。
1-3. 使い心地と意外なデメリット
- 返信にやや時間がかかる
思ったよりも処理待ちが長く感じました。特に複雑な質問や要求をした場合、レスポンスに10分以上かかることもありました。
- マルチタスクになりがち
処理待ち中に別のことをしようとすると、どうしても「マルチタスク」になってしまいます。AIの返答を待つ間に別のタスクに取り掛かり、返答が来たらそちらに注意を戻す、というサイクルが生まれます。
場合によっては集中力が途切れやすいデメリットも感じました。返答を待っている間に別の思考に深く入り込むと、AIからの返答に気づいても文脈の切り替えに時間がかかります。待ち時間をうまく活用できる人にとってはメリットかもしれませんが、タスクを同時並行で行うのが苦手な人にとってはストレスになるかもしれません。
2. AI ToDoリストを作った理由
clineを試す中で、「AIをもっと日常的なタスク管理に活用できないだろうか?」と考え、AI ToDoリストのプロトタイプを作ってみることにしました。
2-1. 課題:大きなタスクは手がつきにくい
例えば「ブログ記事を書く」というタスクだけをToDoリストに書いても、そのタスクの大きさに圧倒されて、どこから着手したらいいか分からなくなり、モチベーションが上がりません。
そこで以下の機能があると効果的だと考えました:
- 大きなタスクを自動的に細分化する
- 前後関係や必要なステップを順序立てて提示する
これにより、大きなタスクも小さな達成可能なステップに分解され、着手しやすくなるのではと考えました。
2-2. タスク細分化のロジック
- タスク名をAIに渡す
- 必要なサブタスクをAIが生成する
例えば「ブログを書く」と入力すると、AIは以下のように細分化します:
- テーマを決める
- 構成を考える
- 下書きを書く
- 推敲する
- 公開する
このように具体的で明確なステップに分けることで、「どこまで終わったか」「次に何をすればいいか」が見えやすくなり、モチベーション維持に役立ちます。また、大きなタスクを細分化することで、小さな成功体験を積み重ねられるため、達成感も得やすくなります。
3. 開発コストと子育てとの両立
3-1. 開発にかかった費用
- 約15ドル(約2,200円程度)
AI APIの利用料金のみです。Claude-3.7などの高性能モデルを使用しても、プロトタイプレベルであればこの程度の費用で収まります。試験的に作る程度でこの金額なら、個人開発としてはまずまず許容範囲ではないかと思います。
3-2. 作業時間
- 開発自体は約4時間
ただし、その間は子供と遊んでいる時間も、お風呂に入っている時間も、お酒を飲んでいる時間もclineは休まず仕事してくれていましたので、実質的に開発に集中したのはもっと短かったと思います。
- マルチタスクの難しさ
clineの応答を待っている間に子供と遊んだり別の作業をしたりと、一見効率よく見えますが、気持ちの切り替えが難しい場面もありました。「AIの応答待ち」→「子供との遊び」→「改良点を伝える」→「またAIの作業」という切り替えは、思考の連続性を保つのが難しく、集中が途切れやすいのは要注意ポイントです。
4. まとめと今後の展望
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clineは導入が簡単だが、処理待ち時間があるので注意が必要
AIとの対話は強力ですが、即時性を求める場面では向かない場合もあります。 -
AI ToDoリストは、大きいタスクを細分化してモチベーションを保つのに有効
特に先延ばしにしがちな複雑なタスクに対して効果的です。 -
開発費用は約15ドル、短時間で子育てしながらでも作れるが、集中力の管理が課題
AIツールを活用すれば少ない時間でも成果を出せますが、作業の分断には注意が必要です。
他のAIツールとの連携も試して、「AIと対話しながら自動でタスクを進める」というワークフローを目指していきたいと思います。例えば、カレンダーアプリと連携して空き時間にあったタスク提案をしたり、メールやチャットから自動的にタスクを抽出したりする機能が実現できれば、より便利になるでしょう。
以上が、今回のcline体験とAI ToDoリストの開発プロセスです。実際に試してみると意外な発見や課題が見つかるので、興味がある人はぜひチャレンジしてみてください。AIツールは日々進化しており、少しの工夫で私たちの生産性や創造性を大きく高めてくれると感じました。