45
31

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 5 years have passed since last update.

機械学習に必要な高校数学やり直しアドベントカレンダーAdvent Calendar 2016

Day 3

機械学習でよく出てくる「e」について

Last updated at Posted at 2016-12-02

機械学習に必要な高校数学やり直しアドベントカレンダー Advent Calendar 2016の3日目の記事です。

2日目の記事を書いて下さったseri_kさんが紹介されたチャート式の参考書、懐かしいですね。「大学への数学」と並んで、高校の頃使っていた教材です。

で、そんな高校数学の参考書に出てくるもので、機械学習の分野でも頻出するのが $e$ という記号。シグモイド関数やソフトマックス関数などで使われますし、誤差関数でよく出てくる交差エントロピー誤差にも自然対数という形で出てきます。この $e$、高校数学で習うものですが、今回の高校数学やり直しアドベントカレンダーを機に復習してみます。

#eの定義を見てみると...
教科書や参考書を見ると出てくる$e$の定義は以下の通りです。
$$e = \lim_{t \to 0}(1+t)^{\frac{1}{t}}$$

値としては $e=2.71828182845904・・・・・・・・・$ となるわけですが、いまいちピンときません。

そこで、ちょっと別の考え方で $e$ を見てみます。

#指数関数
その前に、まず指数関数を復習します。$f(x)=2^x$をグラフに書くと、以下のようになります。
指数関数のグラフ

この関数における任意の $x$ の位置における傾きを求めてみます。例えば $x=1$ におけるこのグラフの傾き、つまり以下のグラフの赤線で示した接線の傾きですが、数値微分の考え方を用いて近似値を求めてみます。
無題.png

$x=1$から±0.01の範囲の値と、その$f(x)$の値を見てみると、
  $x=0.99$のとき、$f(x)=2^{0.99}=1.986185...$
  $x=1.01$のとき、$f(x)=2^{1.01}=2.013911...$
です。ここから、接線の傾きの近似値は$$\frac{2.013911 - 1.986185}{1.01-0.99} = 1.386305$$となります。
ここで、$x=1$のときの$f(x)$の値を求めると、
$$f(1)=2^1=2$$ですね。なので、接線の傾きとの差は、$$2-1.386305=0.613695$$です。

では、$f(x)=3^x$の時の$x=1$における接線の傾きはどうでしょうか?
先ほどと同様に、±0.01の範囲での近似値を求めてみると、
  $x=0.99$のとき、$f(x)=3^{0.99}=2.967222...$
  $x=1.01$のとき、$f(x)=3^{1.01}=3.033140...$
ですので、接線の傾きの近似値は$$\frac{3.033140 - 2.967222 }{1.01-0.99} = 3.295903$$となります。
ここで、$x=1$のときの$f(x)$の値を求めると、$$f(1)=3^1=3$$ですね。なので、接線の傾きとの差は、$$3-3.295903=-0.295903$$です。

同様に$f(x)=2.5^x$の接線の傾きの近似値は、$2.290759$。$f(1)$との差は、$0.209241$です。

$f(x)=2^x$のとき、$x=1$の接線の近似値は1.386305。$f(1)$の値と接線の近似値の差は0.613695。
$f(x)=2.5^x$のとき、$x=1$の接線の近似値は2.290759。$f(1)$の値と接線の近似値の差は0.209241。
$f(x)=3^x$のとき、$x=1$の接線の近似値は3.295903。$f(1)$の値と接線の近似値の差は-0.295903。
上記3つの指数関数の値と、その点における接線の傾きとの差は、それほど大きくありません。

この調子で探っていくと、$f(1)$の値と接線の傾きの差が0、つまり$$f(1)="x=1のときの接線の傾きの値"$$となる$f(x)$が見つかるのではないでしょうか?

これこそが、$e=2.71828182845904・・・・・・・・・$なのです。
上記と同様の計算を、この$e$の数値でやってみましょう。ちょっと桁数が多いので、$e=2.71828$で計算してみます。

$f(x)=2.71828^x$のとき、
  $x=0.99$のとき、$f(x)=2.71828^{0.99}=2.691233...$
  $x=1.01$のとき、$f(x)=2.71828^{1.01}=2.745599...$
ですので、接線の傾きの近似値は$$\frac{2.745599 - 2.691233}{1.01-0.99} = 2.718323476$$となります。$f(1)=2.718128$に非常に近い値が算出されています。eの数値の小数以下の桁数を増やして精度を上げれば、より近い値になります。
つまり、先ほど書いた$f(1)="x=1の時の接線の傾きの値"$となるわけですが、この関係は$x=1$のときだけに成り立つものではありません。$f(x)=e^x$では、$x$がどんな値の時にでもこの関係式は成り立ちます。上記の計算を、$x$の値を2や3など色々変えて試して見てください。どの値にしても、$f(x)$の値が接線の傾きの値と同じになると思います。

ここで思い出して欲しいのが微分です。微分は、グラフ上では関数の接線の傾きを表します。その接線の傾きが、$f(x)=e^x$のときには、$f(x)$の値と同じになるのです。

ですので、$f(x)=e^x$のときには、その微分は$f'(x)=e^x$になります。

この$e=2.71828182845904・・・・・・・・・$ですが、他にもいろいろ面白い性質を持つ不思議な数のようです。そのため、このような本まで出版されています。ご興味があれば是非。
不思議な数eの物語
対数eの不思議―無理数eの発見からプログラミングまで

機械学習に必要な高校数学やり直しアドベントカレンダー Advent Calendar 2016の4日目は、kazutarosuさんです。

45
31
1

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
45
31

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?