１．大量データを効率よく表示したい

あまり望ましくないですが、大量データを表示するUIが必要なケースもあると思います
数100行程度なら良いですが、数千、数万行となったらメモリ効率を考えたいです

Blazorの <Virtualize> タグを試したところ、劇的に改善 したので共有します

２．前提条件

２．１環境

Visual studio 2022 Version 17.12.2
.Net 8
UI：Blazor Web App
Blazor rendermode：InteractiveServerRenderMode

２．２テストデータ

Weatherテーブル：50,000行 を全行表示
（列は No, 日付, 気温℃, 概要）

３．Virtualizeの有無による決定的な違い

３．１ Virtualizeなしの場合

当然すべての行を取得している
（50,000行のデータが、サーバー側とブラウザ上に展開される）
ブラウザのタブで3GB近くメモリを消費してしまう

対象データ量に比例してメモリ消費が増える。

３．２ Virtualizeありの場合

表示範囲＋α行しか取得しない
ブラウザのタブで20MB未満しか消費しない

3GB -> 20MB へ大幅に改善

スクロールすると取得しているエレメントの開始行がNo=1から変わる
（ブラウザで表示できる範囲＋αしか取得していない）
スクロールすると、データを取得するSignalR上のバイナリデータ通信が確認できる

４．評価パターン

No	パターン	サーバーメモリ	ブラウザメモリ	応答時間
(1)	Virtualize なし	460MB	2997MB	7178ms
(2)	Virtualize 初期ロード	69MB	23MB	1264ms
(3)	Virtualize 必要ページロード	3MB	19MB	11ms

圧倒的にVirtualize（特に必要ページをロード）が効率的なことがわかる

４．１ Virtualizeの種類

種類	Virtualize 初期ロード	Virtualize 必要ページロード
データ	すべてのデータを事前にロード	必要な範囲のデータを動的に取得
指定方法	Items 指定	ItemsProvider 指定
メモリ	全データがメモリに常駐	表示範囲 + バッファのデータのみメモリに保持

４．２評価実行結果

（１）Virtualize なし

(82MB → 542MB) = 460MB

（２）Virtualize 初期ロード

(82MB → 151MB) = 69MB

（３）Virtualize 必要ページロード

(82MB → 85MB) = 3MB

５．ソース

（１）Virtualize なし

OnInitializedAsyncで全データ取得
描画は普通のforeach

<tbody>
    @foreach (var weather in weathers)
    {
        <tr>
            <td>@weather.No</td>
            <td>@weather.Date.ToShortDateString()</td>
            <td>@weather.TemperatureC</td>
            <td>@weather.Summary</td>
        </tr>
    }
</tbody>

@code {
    private List<Weather> weathers = new List<Weather>();

    protected override async Task OnInitializedAsync()
    {
        weathers = await WeatherService.GetAllWeathers();
    }
}

呼び出しているデータ取得

public async Task<List<Weather>> GetAllWeathers()
{
    var weathers = await _context.Weathers.ToListAsync();
    return weathers;
}

（２）Virtualize 初期ロード

OnInitializedAsyncで全データ取得
描画には <Virtualize> タグを利用
Items="@weathers" にて全データを受け取る

<tbody>
    <Virtualize Context="weather" Items="@weathers" OverscanCount="5" SpacerElement="tr">
        <tr>
            <td>@weather.No</td>
            <td>@weather.Date.ToShortDateString()</td>
            <td>@weather.TemperatureC</td>
            <td>@weather.Summary</td>
        </tr>
    </Virtualize>
</tbody>

@code {
    private List<Weather> weathers = new List<Weather>();

    protected override async Task OnInitializedAsync()
    {
        weathers = await WeatherService.GetAllWeathers();
    }
}

（３）Virtualize 必要ページロード

描画には <Virtualize> タグを利用
描画用にデータが必要になった時、必要なデータだけを取得
（必要な件数のみ取得）
ItemsProvider="LoadWeathers" にてデータが必要になった時に呼び出すイベントを指定

<tbody>
    <Virtualize Context="weather" ItemsProvider="LoadWeathers" OverscanCount="5" SpacerElement="tr">
        <tr>
            <td>@weather.No</td>
            <td>@weather.Date.ToShortDateString()</td>
            <td>@weather.TemperatureC</td>
            <td>@weather.Summary</td>
        </tr>
    </Virtualize>
</tbody>

@code {
    private async ValueTask<ItemsProviderResult<Weather>> LoadWeathers(ItemsProviderRequest request)
    {
        var weathers = await WeatherService.GetRangeWeathers(request.StartIndex, request.Count);
        return new ItemsProviderResult<Weather>(weathers, totalCount);
    }
}

呼び出しているデータ取得

public async Task<List<Weather>> GetRangeWeathers(int startIndex, int Count)
{
    var weathers = await _context.Weathers
        .Skip(startIndex)
        .Take(Count)
        .OrderBy(x => x.No)
        .ToListAsync()
        ;

    return weathers;
}

６．おすすめの戦略

データ量が少なく、シンプルさを求める場合
　　→ （２）Virtualize 初期ロードを利用

データ量が多く、効率的に取得したい場合
　　→ （３）Virtualize 必要ページロードを利用

（２）Virtualize 初期ロードが適しているケース

データ量が少ない場合（例: 数百件程度）
データがすでにメモリ上に存在しており、頻繁に変更されない場合
初期ロードのパフォーマンスを優先したい場合

（３）Virtualize 必要ページロードが適しているケース

データ量が多い場合（例: 数千〜数百万件）
データを逐次取得することで、効率的にメモリとネットワークを活用したい場合
リアルタイム更新や段階的なデータ取得が必要な場合

７．全ソース

８．参考