#はじめに
最近は国内でのアプリのヒットが難しく、海外展開をするプロダクトも増えていると思います。
このアプリ、海外で出したいからQAよろしく、と言われた人の参考になるように、
私の経験した海外向けQAについてまとめていきます。
#1.海外向けのQAの種類
海外向けのQAは大きく分けて二つあります
種類 | テスト内容 | 補足 |
---|---|---|
LQA | 翻訳/言語回り | 外部の専門会社に委託 |
機能QA | 海外差分機能(課金、タイムゾーン等) | テストチームで実施 |
今回はこの機能QAの詳細について記載していきたいと思います。
#2.海外向け機能QAの観点
上に記載しましたが、大きくは、課金、時間とそれ以外です。
それぞれについて細かく説明します。
##2.1 課金テスト
観点としてはざっくりと以下になります。
1.未成年/成年の判定と未成年上限有無
2.通貨表示の正常性
3.海外アカウントでの課金正常性
###1.未成年/成年の判定と未成年上限有無
国内のアプリにおいて年齢取得/未成年上限を導入していても、
海外では法律の差異などにより、年齢を取得しないケースが多いです。
その場合に、きちんとフローが変更されているか。また、未成年の場合の課金上限が外れているかを検証します。
###2.通貨表示の正常性
配信国に応じて、各国の通貨が適切に表示されるかを確認する必要があります。
$、£、€等の一般的な通貨だけでなく、฿、đなどの特殊表示の例もあります。
フォントなどの兼ね合いで上記が表示されないケースがあるので、各国のアカウントを作成し、
配信国すべての通貨表示をチェックしておく必要があります。
また、円などに比べて**ベトナムドン(đ)**は、桁数が多く、桁あふれを起こすこともあります。
どの通貨、どの金額でもきちんと価格が表示されているかをチェックしておくようにしましょう。
※海外のアカウントの作成方法については別日に記載します
###3.海外アカウントでの課金正常性
海外アカウントを用いて、適切に課金フローが完結されるかを確認します。
フロント側の正常挙動確認ももちろん大切ですが、海外通貨の場合にきちんと集計などが行われるか等、
バックエンド側のチェックも行う必要があり、サーバの担当者などとの連携が大切です。
また、リリース前後の最終チェックとして、
現地で海外アカウントを使った課金テストを要望されるケースもあります。
その場合は
・現地の海外スタジオを持っているベンダに依頼して対応してもらう
・VPNサービスを契約して、自分たちで作成した海外アカウントを使い担保する
の大きく2つの方法があります。
前者については依頼するだけなので省略します。
後者については海外アカウント作成方法の日に併せて記載します。
##2.2 時間に関するテスト
こちらは、実装の仕様により検証の内容が異なります。
ポイントとしては
・ログインボーナス、ミッション等の時間が国内外で異なるかどうか
・イベント、ガチャ等の開始時間が国内外で異なるかどうか
このあたりの仕様がどうなっているかを確認することが非常に大切です。
ログインボーナス、ミッション、イベント関連については、
どのタイムゾーンで何時と設定されているか
その場合、お知らせ等での表示上はどうなるのか、
(UTC0:00~のように書かれるか、ローカルタイムなのか、別のタイムゾーンか)
上記次第でテストの期待値が変わります。
複数地域でリリースする場合、地域ごとに時間の仕様が異なるケースもあるので、
ここの仕様確認/検証は入念に行いましょう。
※サマータイムに対応しているタイムゾーンの場合はその検証も必要
##2.3 その他のテスト
上記以外のテストの内容について以下に記載します
###1.規約関連
国内と海外では法律が異なります。それどころか、国ごとに差があります。
そのため、規約はすべて国ごとに異なります。
国ごとに異なる規約を表示するために、
・国選択の機能を入れる
・国ごとの規約すべてに飛べるようにする
・あえて国を確定させない
等、方針により仕様は様々ですが、日本の規約がそのまま表示されている、
ようなことがないように確認が漏れないようにしましょう。
###2.URL関連の変更
規約についても同様ですが、国内でリリース済みの場合の注意点として
国内版のURLがそのまま設定されていることが結構多いです。
具体的には、規約、SNS、HP、お問い合わせ等の導線
そして、アプリをアップデートする際のストアURLが非常に漏れやすいです。
海外のアプリのアップデート導線の飛び先が、国内版のURLになっている事例が良くあります。
地域ごとにアプリのダウンロードページが異なる場合はそれぞれ必要となりますので、
事前にきちんと設定を確認しておくようにしましょう。
###3.海外特有の仕様変更
一部機能を外す、海外の法律に合わせて表現を変える。露出過多のキャラクターを修正する、等
海外特有の仕様変更はゲーム内機能としても発生するケースが多いです。
きちんと仕様確認を行い、変更点に関する検証を行うようにしましょう。
#3.まとめ
これらはあくまで代表的な例で、アプリの実装によって更なる検証が必要になる可能性もあります。
ただ、課金、時間のテストについてはほぼ必ず発生するものです。
他にレイアウトの崩れや日本語が出ていないかの確認なども含まれる場合もありますが、
そのあたりはLQAチームとの住み分け次第となります。
プロダクト、QA、翻訳、LQA、それぞれが連携しながら検証を行うことが、
海外のリリースにおいては必須となります。
また、国内とは異なり、SNSで反応を見たり不具合を検知するのも簡単ではありません。
そういった情報収集の方法など含めて、運用体制の構築についても、
QAから積極的に提案をしていけるようにすれば、海外リリースの成功につながると思います。
##最後に
海外リリースをいくつか経験して思ったこと。
ログボやミッションやイベントの開始時間を、
国ごとでずらすと運用が非常に大変になるだけでなく、
QAコストにも結構影響が出てきます。
仕様決定時に口を挟めるのなら、すべての国で同じ時間にすることを勧めましょう。
海外関連のアカウントの作り方やVPNを使った具体的な課金テストの仕方は、
また別のタイミングで書きますのでよろしくお願いします。
最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。