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ゲームQAへの転職について

Last updated at Posted at 2020-12-22

はじめに

私は元々システム系のテスト担当の仕事をしていましたが、2012年の6月にグリーのQAチームに転職しました。
その際に感じた違いや苦労、転職してよかったことなどを書いてみたいと思います。
別業界のQAをしていて、ゲーム業界への転職を考えている人の参考になれば幸いです。

1.前職と現職の比較

前職は派遣のエンジニアで、主に某大手通信関連の開発会社に派遣されてテストをしていました。
具体的にどういう業務だったか、現職と比較してみたいと思います。

項目    前職             現職    
雇用形態 業務委託 正社員
チーム名 試験チーム QAチーム
体制 最大10名程度
オフサイトは使用しない
オンサイト20名程度
オフサイト最大50名規模
コミュニケーションツール 主にメールと電話 チャット、Zoom
開発フロー V字モデル アジャイル
業務領域 結合以降のテスト全般
本番障害は範囲外
システムテスト全般
本番障害の対応も含む
業務内容 テスト設計やテスト実行、検証の統制
ログの解析等も行う
テスト実行はベンダーに依頼
テスト計画、レビュー、報告、改善が中心
仕様書 絶対に存在する
テストはすべて仕様書に従う
仕様の抽象度が高い、一部ドキュメント化されないことがある
リリース頻度 年に数回 週に複数回
同日に複数案件をリリースすることも
テスト期間 全体で見ると1か月以上 長くて2-3週間、短ければ1日

2.転職活動で気を付けたこと

二十代後半で業務委託での経験(と給与)に限界を感じたこともあり、転職活動を開始しました。
そもそも初めての転職活動で何をしたらよいかわからず転職エージェントに相談したところ、自身の経験がQAエンジニアと呼ばれる職業と合致することを初めて認識し、転職活動をスタートしました。

初めは前職の経験だけを武器に、ゲーム関連含むいくつかのQAの募集に応募しましたが、
全て書類や一次面接で落ちてしまいます。あくまでシステムの狭い業界のQA経験しかなく、しかも業務委託という立場だったため、スキルや経験が足りておらず、自信をもって臨むことができなかったのが一因でした。

そこで、まず足りない経験を補うべく以下のような本を読んで勉強しました。

実践アジャイルテスト
ソフトウェアテストの教科書

他にもQA関連書籍をいくつかと、アプリの開発やゲーム業界に関する本などを読んで勉強して自身の経験不足を補うと同時に、会社のことやQA組織の状況、リリースしているアプリ等さまざまなことを調べて自分が会社でやりたいことを明確化たうえでグリーの採用面接に臨みました。

面接のときに大切だと感じたことは
ただ定型的な自己紹介やアピールをするだけでなく、会社のことやリリースしているサービス、QAチームの状況などをきちんと調べ、その感想や意見を伝え
・組織のために自分は何ができるか
・将来どうなっていきたいか
・そのためにどんなことを勉強しているか

をきちんと説明することでした。
(例えば、当時はグリーがQAを立ち上げて間もない状況だったので、自身の経験を活かして組織を発展させたい旨を強く伝えた覚えがあります)

結果として、一次面接できちんと自分の言いたいことを伝えることができ、
二次と最終面接も突破してグリーに入社することができました。

3.入ってからの苦労

何とか入社はできましたが今までと全く違う業種で会社の文化も違うため、様々な苦労がありました。特に当時のWebゲーム業界は非常に慌ただしい状況でした。当時の苦労の一部を以下にご紹介します。

3.1.仕様書がバラバラ

前職では仕様書が絶対であり、それを元にしてテスト設計やレビューをしていましたが、当時のWebゲーム業界は仕様書の形式などが統一されておらず、散乱していたり、メモ程度だったり、緊急時はチャットでの説明だけ、というときもありました。
まず設計に必要な情報を集めるところからスタート、というのは今でこそ当たり前ですが入社当時はとても苦労しました。

3.2.スケジュールがタイト

前職ではひと月以上の準備期間をもって各種調整、準備を行った上でのテストでした。
現職でも新規リリースの際は数か月の十分な検証期間を確保できるのですが、運用フェイズにおいては依頼からリリースまで数日、下手すると当日の依頼というケースもありました。
上記に合わせて、テストケースを作るかどうか、バグ報告はどのように行うか、結果はどのような形で報告するか、等、スケジュールに合わせてその場ですり合わせて決めていく柔軟性が必要でした。

3.3.何を言っているかわからない

現職に入って初めに一番苦労したのは用語のわからなさでした。
社内的な用語だけでなく、アプリ、ゲーム開発の独自用語も多く、特に打ち合わせ等で言われたことがとっさに理解できないことが多数ありました。

3.4.チャット文化への戸惑い

メールと違い、文章を考える余裕がなく、即レスポンスを返すことが求められ、丁寧さよりもわかりやすさと速さが大切です。
そして、アプリゲームは深夜休日関係なくサービスを提供し続けており、ユーザに影響があるトラブルは、どんな時でも即座に対応する必要があります。
特に2012年当時は体制も不十分であり、業務時間内外関係なく飛んでくるチャットで大変なこともありました。このあたりはユーザの皆さんのために少しでも早く不具合を直して、ゲームを楽しんでもらいたい、という気持ちがモチベーションに繋がり何とか乗り越えることができました。現在においてはQAを含むプロダクトの体制も安定化しており、このような状況は滅多にありません。

4.入ってよかったこと

前述のような苦労もありましたが、八年半務めている現在に至って、良かったなと思うこともたくさんありました。その一部を紹介します。

4.1.開発、運営しているサービスが身近

前職では業務システムの開発だったため、日常全く触れることがありませんでしたが、現職では運営しているゲームにすぐに自分で触れることができ、ユーザの皆さんの声もSNS等で簡単に見つけることができます。
もちろん好意的なものばかりではありませんが、それも含めてやりがいに感じられます。

4.2.常に新しいことに挑戦できる

前職は毎回ほぼ同じフローで業務を行っていたので新しい経験もなかなかできませんでしたが、現職は新しい技術もどんどん入り、会社自体が様々な挑戦を続けているので、必然的に新しいことをやる機会が多くなり、良い経験を積むことができています。
また、自分でやりたいことがあればどんどん任せてもらえる環境でもあるので、前向きに成長したいという気持ちを持つ人にはとても良い環境です。

4.3.優秀で前向きな人がとても多い

現職においてはとても積極的で優秀な人がたくさんいるため、ともに仕事をしていて大きな刺激を受け、日々勉強になっています。

4.4.リモートなどで柔軟に業務ができる

3.でチャットやプライベート対応に言及しましたが、逆にチャットメインで随時対応が求められるがゆえに、遠隔業務の準備も整っており、リモート業務もスムーズに行うことができています。
例えば家族の体調不良時に看病しつつ自宅で業務を行う、どうしても外せない所用があっても簡単な対応は遠隔で可能、など、業務形態には非常に柔軟性があります

4.5.オタクにはとても居心地が良い

ゲーム会社なので、皆当たり前にゲーム、アニメ、漫画などのコンテンツに触れており、有名なコンテンツは社内で雑談チャットが作られているほどです。
現場のメンバーだけでなく、部長や本部長が朝会でゲームの話を熱弁することもしばしばあり、オタク趣味を持つ人間には素晴らしい環境だと思います。

5.まとめ

ゲーム業界は辛いことも楽しいことも色々ありますが、システム系に比べるとそのふり幅が非常に大きいと感じます。
システム系のような安定を求めるのであればあまりお勧めはできませんが、ゲームが好きで関わりたい、と強く思える方、そして新しいことにどんどん挑戦したいという方にはとても良い環境だと思います。

そして現在、管理職となり面接をする立場になって改めて思うことは、ゲームが好きで、積極性、前向きさを持っている人と一緒に働きたいと強く感じます。
コンテンツに対する熱意と、挑戦に対する前向きさを持っているかどうか、というのは資質として大変重要です。
転職を考えている方はぜひそこをアピールできるよう、受ける会社の出しているゲームを遊び、業界について勉強をするなどきちんと準備をしておくようにしましょう。

最後に、この業界はとても狭いです。
もしこの記事を読んでゲーム会社へ転職した人がいたならば、きっとお会いすることもあるでしょう。その時が来ることを、楽しみにしています。

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