はじめに
QAマネージャーの皆さんは、一緒に働くメンバーの育成に当たり、日々様々な苦労をされているかと思います。
そんな中、最近私のチームでは、メンバーの成長を感じる機会が何度もありました。
今回は、具体的にどういう取り組みが成長に繋がったか、実例をご紹介したいと思います。
育成に悩む皆さんの、参考になれば幸いです。
1.前提
正社員/契約社員メンバーを対象とする
基本的にゲームタイトルのQA管理者として単独で動けるレベルのメンバーを対象とする
2.実際の取り組み例
取り組み | 詳細 | 具体例 | |
---|---|---|---|
1 | やりたいことを聞く | 将来のビジョンやQAとしてやりたいことを聞き、可能な範囲で目標に取り入れる | ・自動化に挑戦したい ・新規案件を担当したい ・マネジメントをしたい |
2 | 責任ある立場にアサイン | 何らかの責任者、リード、管理者へアサインする | 担当タイトルのQA責任者としてアサインする |
3 | 上位レイヤとの連携強化 | 部長やシニアマネージャー等に報告、共有する機会を作る | 月次の障害状況を部長へ直接報告しFBをもらう |
4 | 期待していることを伝える | 組織として担ってほしいか役割を背景含めて伝える | 将来の役割を目標年、年単位の計画を立てる |
5 | 育成に携わってもらう | 自身の経験や技術を指導する機会を設ける | アルバイトメンバーの育成担当としてアサインする |
6 | QA技術の積極的な活用 | 各種ソフトウェアテスト技法等、技術知見を実務に応用する | ケースレビューの際、意識的に技術的なFBを行う |
7 | 事業/業界の興味を促す | 自社の事業や、業界の情報を積極的に取り入れる機会を設ける | 業界に関するセミナー、TGC等への参加を推進する |
3.取り組みの結果
1.なりたい姿とやりたいことを聞いたら
将来に向け必要なこと、やりたいことを自発的に相談/提案/推進してくれるようになった
例) 品質課題のあるプロダクトに対して、自動化の提案とその推進を自発的に進めた
2.責任ある立場を担当してもらったら
テストにおける課題や障害発生の際、防止策の検討や提案が積極的に行えるようになった
例) 担当プロダクトの実装遅延に対するアラートやその対策を自発的に行えるようになった
3.マネージャー以上の職位との連携機会を持ってもらったら
部長の意図や必要な情報を認識でき、アウトプットの質が上がった
例) 組織的な視点で障害の情報整理や分析ができ、障害レポートの品質が向上した
4.期待していることを伝えたら
組織の中の役割やその意図を明確にすることで、目標や日々の業務の解像度が上がった
例) チーム全体の障害管理を担い、他プロダクトの状況も把握し視野が広がった
5.育成に携わってもらったら
人員管理や育成の視点で、一段高い視座からチームを見ることができるようになった
例) アルバイトの育成でモチベーション管理の実績を自身にも応用できるようになった
6.QA技術の業務での積極活用を促したら
実務で使うことにより、より技術知見が高まり、他メンバーへの教育にも繋がった
例) テスト技法を前提としたレビューのFBを行うことで、設計者の知見向上に繋がった
7.会社/事業/業界への興味を促したら
チーム内での業界情報の共有が活発になり、最新状況の業務活用を意識できた
例) TGSへの参加で業界のコンソールシフトを認識。意識的に学んでいく動きが取れた
4.まとめ
・メンバーとコミュニケーションを取り、聞くこと、話すこと、伝えること、が大切
・マネージャーの仕事は責任を取り、やりたいことや目標に応じた割り振りを行うこと
・マネージャー自身も会社や業界に興味を持ち、先頭に立って共有や発信をする姿勢が大切
最後に
いかがでしたでしょうか。
もちろん、マネジメントの方針はチームやメンバーの状況に応じて様々に変わります。
ただ、最終的に大切なことは、メンバーが前向きに業務に取り組める状況を作ることだと思っています。
そのための手段として、今回は実際に私のチームでの例を紹介しました。
やり方は様々だと思うので、ぜひチームやメンバーにあったやり方を模索してみてください。