トランスポート・プロトコル、データ・リンク・プロトコルの環境の違い
トランスポート・プロトコルはデータ・リンク・プロトコルといくつかの類似点がある。両者ともフロー制御などの問題がある。
両者の大きな違いは、図6-7に示すようなプロトコルの動作する環境の相違によるものである。データ・リンク層においては、2つのルーターが
有線でも無線でも物理チャネルを介して
直接的に通信するが、トランスポート層においては、物理的チャネルではなくネットワーク全体を介して
通信することになる。この違いは、プロトコルに関して多くの重要で暗黙的な意味を持つ
ホスト同士の接続も手間がいる
銅線や光ファイバのようなポイント・ツー・ポイントのリンク上では、
通常はあるルーターがどのルーターに繋ぎたいのかを指定する必要がない
。物理的な線によって繋がるルーターが一意に決まる。一方、トランスポート層においては明示的な宛先のアドレッシングが要求
される
コネクション確立も複雑
もう一方にはデータ・リンク層では図6-7(a)の
有線上におけるコネクション確立の手順が単純
である。相手はクラッシュしていない限り、常に同じ場所に存在し、コネクション確立ですべき作業はほとんどない。無線リンクであっても処理内容はあまり変わらない
。
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トランスポート層のコネクション確立手順は複雑
である。
トランスポート層のコネクション数は多い
両者ともバッファリングとフロー制御を必要
とするが、トランスポート層のコネクションの数は非常に多くまた大きく変動
する。さらに、お互いに競合するコネクションによって帯域が変化するので、データ・リンク層とは異なるアプローチが必要となる。
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各回線に固定数のバッファを割り当てることにより、フレームの到着時に常に利用可能なバッファがあるように保証するが、トランスポート層においては、管理しなければならないコネクションが非常に多く、受信する可能性のある各コネクションの帯域の変化も多い
ので、多くのバッファを一つのコネクションに割り当てるという方法が使えない。