無線ネットワーク層では、輻輳とは関係なくパケットロスが生じる点にある。無線ネットワークは有線ネットワークほど信頼性は高くないからである。
無線、有線でフレームのロス率が違う
高速TCPコネクションは、パケットのロス率が例えば1%などのように小さい時に達成できることを意味する。1%は有線ネットワークでは中程度のロス率である。もしロス率が10%に達すると、ネットワークが実質的に停止する。
一方で、802.11LANなどの無線ネットワークでは、10%のフレーム・ロス率は、一般的である。このことにより、パケット・ロスを輻輳シグナルとする輻輳制御プロトコルは、無線リンクを含むコネクションのレートを非常に低く絞って通信を行うことになるのである。
フレームロスの原因で区別して効率を改善させる
効率を改善するためには、輻輳制御アルゴリズムは、帯域不足のためパケット・ロスだけをパケット・ロスとし、伝送誤りによるパケット・ロスはそうでないとすべきである。この一つの方法は、無線リンクでの再送を利用して無線パケット・ロスを区別するマスキング戦略という
経路で無線か有線どちらのリンクを通っているかわからない。
インターネットの経路は不均質であり、送信側は経路がどのようなリンクで構成されているのかの情報を知る手立てがない。これが輻輳制御の問題を複雑にしており、一つのプロトコルで、無線リンクと有線リンクの両方を最適に制御することは簡単ではない。
輻輳か伝送誤りの制御が2つ同時に動くとフレームの再送と送信レートの低下で遅くなる
パケットロスによって駆動される2つのメカニズムを示している。つまり、データ・リンク層でのフレーム再送とトランスポート層での輻輳制御である。謎とは2つのメカニズムが混乱しないようにいかに混在できるのか、ということである。なぜなら、その原因は、伝造誤りか輻輳かのいずれであるからである。もし、両者が同時に動作すると(フレームの再送と送信レートの低下)、無線リンクを含む場合には必要以上に遅くなってしまう。すなわち、トランスポート層の最初の問題に戻る。
マスキング戦略は最適な策ではない 往復が遅い場合があるから
マスキング戦略は、たいていのトランスポート層プロトコルをほとんどの無線リンクでうまく動作させる。しかし、それは必ずしも最適な解決策ではない。衛生などの一部の無線リンクの往復は非常に長い。この場合は、例えば、FECなどの他の方法を用いるか、あるいは、パケット・ロスではない別の輻輳制御シグナルを使わなければならない。
無線は容量が時間と共に変動する
無線リンクの容量は時間ともに変動する。時には、ノードの移動に伴って急激に変動する。またチャネルの状況によって、信号対雑音比が変動する。このことは、容量が固定の有瀬とは全く異なる。したがって、トランスポート層プロトコルは、無線リンクの容量変化に対応しなければならない。そうでなければ、ネットワークの輻輳か、利用可能な容量を無駄にするかのいずれかの結果を招く。
解決策はフレームロスを気にしないことにする
この問題の一つの解決策は、単純に、気にしないことである。この戦略は、現実的である。
なぜならば輻輳制御アルゴリズムは、ユーザーが新たにネットワークに加入したり、存在するユーザーの送信レートの変動に対処可能なように既に構成されているからである。
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無線リンクを含む場合であっても単にTCPを動作させてそれなりに性能を達成することもできる。