拡張ヘッダーは追加情報
IPv6ではオプションとして、拡張ヘッダーという概念が導入されている。
追加の情報が必要な場合に利用され、それぞれ効率良く符号化されている。
拡張ヘッダーの挿入位置
図5-58に示す6種類の拡張ヘッダーが定義されている。それぞれの拡張ヘッダーはオプションであるが複数の拡張ヘッダーを用いる場合には、
必ず固定ヘッダーの直後に挿入
する必要があるほか、この図の順番通りに並べる
ことが望ましい。
拡張ヘッダーの項目は符号化されている
拡張ヘッダーの中には、固定フォーマットを持つものもあれば、可変長のオプションを含み、その
数も可変であるようなものも存在する。これらの項目は(type、lengh、value)の組で符号化
される
- 可変な項目は(type、lengh、value)の組で符号化されるのか
Type
Typeは1バイトのフィールドであり、
そのオプションが何であるか
を表す。Typeの値の上位2ビットでそのオプションの処理方法を知らないルーターに対して、何をすれば良いかを伝えられるようになっている。処理方法の選択肢は、オプションを呼び飛ばす
、パケットを破棄する
、パケットを放棄してICMPパケットを返送する
、パケットを放棄するが、マルチキャスト・アドレスへはICMPパケットを送信しない
。の4通りである。
length
1バイトのフィールドであり、
オプションの値の長さ
(0〜255バイト)を表す。
Value
必要とされる何らかの情報
を最大255バイトで指定する。
拡張ヘッダー:ホップ・バイ・ホップ・オプションヘッダー
経路上の全ルーターが確認すべき情報が格納される。現在のところ定義されているのは、64kBを超えるデータグラムに対応するためのオプションーつだけである。
固定ヘッダー内のペイロード長フィールドを0にする
このヘッダーを利用する場合には、固定ヘッダー内のペイロード長フィールドを0に設定する。
ホップ・バイ・ホップ・オプションヘッダーの構成
次に来るヘッダーの種類を示す
ホップ・バイ・ホップ・ヘッダーも、他の拡張ヘッダーと同様、
次に来るヘッダーの種類を示す1バイト
から始まる。また、
拡張ヘッダーの長さ
その次に続く1バイトで、その
ヘッダーの長さをバイト単位
で表す。ただし、必須である上位8バイトは、このバイト数には含めない。すべての拡張ヘッダーはこの形で始まる
データグラムの大きさを定義
次の2バイトは、このオプションが
データグラムの大きさを定義
していることと、その大きさが4バイトの数字で表してる。
データグラムの大きさ
最後の4バイトは、データグラムの大きさを表している。65,536バイトより小さいサイズは認められていないため、
サイズがこの値を下回る場合には、最初のルーターがそのパケットを破棄し、ICMP誤りメッセージを返送
する。この拡張へッダーを利用したデータグラムをジャンボグラム
と呼ぶ。
まだ使われない、あて先オプション・ヘッダー
あて先ホストでのみ解釈されれば良いフィールドに対して用いられる。IPv6の初期バージョンでは、8バイトの倍数になるようにこのヘッダーを
パディング
するためのnullオプションが定義されているのみで、未使用であった。このヘッダーは将来的にあて先オプションが必要になった場合に、新しいルーティングやホストのソフトウェアが確実にそれらのオプションを扱える
ようにするために設けられている。
- あて先ホストでのみ解釈されれば良いフィールドとは?
パディングとは?
詰め物をすること、芯(しん)を入れること、芯、詰め物、(新聞・雑誌などの)埋めくさ、不必要な挿入句
ルーティングヘッダー
あて先にたどり着くまでに経由すべきルーターのリストを保持
する。これは、IPv4のルーズ送信元ルーティングとよく似ており、リストに列挙されたルーターは必ずこの順序で訪問する必要があるが、この間にリストにない他のルーターを経由することも
ある。ルーティング・ヘッダーのフォーマットを図5-60に示す。
ルーティングタイプ・フィールド
ヘッダーの残りの部分のフォーマットを表す。タイプ0の場合には、最初の語の後に32ビットの予約語が続き、さらにその後にIPv6のアドレスが続く。
- ルーズ送信元ルーティングとは?
- 予約語とは?
送信元ホストでフラグメントを行う フラグメント・ヘッダー
IPv4と同様の方法でフラグメント化を行う。ヘッダーは、データグラム識別子、グラグメント番号、その後にさらなるフラグメントが続くかどうかを表すビットの3つの情報を保持する。IPv6ではIPv4とは異なり、
送信元ホストでのみパケットのフラグメント化を行い、経路上のルーターでは行わない
。この変更は、もともとのIPの思想には大きく反するが、現在のIPv4の実情によく合致している。また、ルーターの処理を単純にし、ルーティングの高速化することが可能
になる。
特定の受信者だけ読める 認証ヘッダー
そのパケットを誰が送信したかを受信者が確認するために用いれている。暗号化セキュリティ・ペイロードを用いていることで、
パケットの内容を暗号化し、想定された受信者のみが読める
ようにすることができる。