はじめに
転職に向けたポートフォリオ作成にあたって、ローカルマシンにDockerの開発環境を構築した際の手順を記事にしました。
今回はローカル環境(development)についての内容ですが、本番環境(production)へのデプロイ方法も別の記事で投稿する予定です。
なお、先に申し上げておくのですが、私の環境ですと当記事の内容だけでは以下の問題にぶつかりました。
- CSSファイルを編集するたびにページの表示がめちゃくちゃ遅い(webpackerを別コンテナで実行することで解決)
- システムスペックが実行できない(chromeを別コンテナで実行することで解決)
最終的に、Rails6 + MariaDB + webpacker + chrome という4つコンテナを実行する開発環境となりました。
対策はこちら
【Rails6】Docker環境でWebpackerのコンパイルが遅い【対策】
【Rails6】Docker環境でRSpecのシステムスペックを実行する
開発環境
- MacOS Catalina 10.15.7
- docker 19.03.13
- docker-compose 1.27.4
- Ruby 2.7.1
- Rails 6.0.3.4
- MariaDB 10.4
作業ディレクトリの作成
最初に、アプリを新規作成するディレクトリを準備します。当記事ではアプリの名前を「sample_app」として進めていきます。構築される環境にあわせて適宜読み替えてください。
mkdir sample_app
cd sample_app
Dockerファイルの作成
FROM ruby:2.7.1
RUN set -ex && \
apt-get update -qq && \
apt-get install -y && \
curl -sL https://deb.nodesource.com/setup_14.x | bash - && \
apt-get update -qq && \
apt-get install -y nodejs && \
curl -sS https://dl.yarnpkg.com/debian/pubkey.gpg | apt-key add - && \
echo "deb https://dl.yarnpkg.com/debian/ stable main" | tee /etc/apt/sources.list.d/yarn.list && \
apt-get update -qq && \
apt-get install -y yarn
ENV APP_ROOT /sample_app
RUN mkdir $APP_ROOT
WORKDIR $APP_ROOT
COPY Gemfile $APP_ROOT
COPY Gemfile.lock $APP_ROOT
RUN bundle install
COPY . $APP_ROOT
# Add a script to be executed every time the container starts.
COPY entrypoint.sh /usr/bin/
RUN chmod +x /usr/bin/entrypoint.sh
ENTRYPOINT ["entrypoint.sh"]
EXPOSE 3000
# Start the main process.
CMD ["rails", "server", "-b", "0.0.0.0"]
解説
FROM
Rubyイメージのバージョンを指定しています。
RUN set -ex ~
ここではまっさらなRubyイメージに、アプリ開発に必要なものをインストールしています。
冒頭のset -ex
は、ビルド状況を画面に出力するためのオプションです。
ENV ~ WORKDIR
-
ENV
アプリケーションのルートディレクトリの定義をしています。 -
RUN
イメージ内にディレクトリを作成しています。 -
WORKDIR
作業ディレクトリの定義をしています。(ここでは/sample_app
になります)
別のアプリを作成する際、Dockerファイルを使いまわせるように、ENV APP_ROOT /sample_app
のパスを書き換えるだけでいいようにしてあります。(これ以降の行の$APP_ROOT
は/sample_app
に置き換わります。)
COPY
ローカル(PC)の作業ディレクトリにあるGemfile
とGemfile.lock
をイメージ内にコピーしています。(Gemfile
は別途作成します)
RUN bundle install
Railsでアプリ開発を行ったことがある方にはお馴染みのやつです。コピーしたGemfile
を元に実行されます。
COPY . $APP_ROOT
ローカル(PC)のカレントディレクトリ(今いる場所、sample_app
ディレクトリを想定)にあるファイルを、イメージ内にコピーしています。
COPY ~ ENTRYPOINT
-
COPY
ローカルのentrypoint.sh
をイメージ内にコピーしています。(entrypoint.sh
は別途作成します) -
RUN
イメージ内のentrypoint.sh
に実行する権限(+x)を与えています。 -
ENTRYPOINT
コンテナ実行時に必ず実行されるコマンドの指定です。
EXPOSE
外部に公開するポートの指定です。Railsのアプリはポート番号3000でアクセス出来ますね!
CMD
Rails Server を実行して、サーバを起動しています。
"-b", "0.0.0.0"
の部分ですが、Rails Server は実はデフォルトでは自分自身(localhost)しかアクセス出来ません。そこでこのオプションを付けることで、別のPCからもアクセスが可能になります。0.0.0.0は「すべて」みたいな意味があります。
Gemfileの作成
source 'https://rubygems.org'
gem 'rails', '~> 6.0.3', '>= 6.0.3.4'
Gemfile.lock の作成
touch Gemfile.lock
touchコマンドは空のファイルを作成出来るコマンドです。(他にもファイルのタイムスタンプを更新するみたいな使い方も)
entrypoint.sh の作成
#!/bin/bash
set -e
# Remove a potentially pre-existing server.pid for Rails.
rm -f /sample_app/tmp/pids/server.pid
# Then exec the container's main process (what's set as CMD in the Dockerfile).
exec "$@"
Railsサーバが起動されると、server.pid
が自動生成され、停止時に自動削除されます。しかし、Railsサーバが異常終了などによって、server.pid
が削除されなかった場合、このファイルがある状態ではサーバを起動出来ないので削除しています。
docker-compose.yml の作成
docker-composeは複数のコンテナを一度に起動したり停止したり出ます。ここでは、RubyとMariaDBのコンテナを起動する設定を行います。
version: '3'
services:
db:
image: mariadb:10.4
environment:
MYSQL_ROOT_PASSWORD: password
ports:
- '3306:3306'
command: --default-authentication-plugin=mysql_native_password
volumes:
- mysql-data:/var/lib/mysql
app:
build: .
command: bash -c "rm -f tmp/pids/server.pid && bundle exec rails s -p 3000 -b '0.0.0.0'"
volumes:
- .:/sample_app
ports:
- "3000:3000"
depends_on:
- db
stdin_open: true
tty: true
command: bundle exec rails server -b 0.0.0.0
volumes:
mysql-data:
解説
db:
で始まるセクションが MariaDB、app:
で始まるセクションが Rubyについての記述です。
docker-compose.yml
については素晴らしい記事があります!
docker-compose.ymlの書き方について解説してみた
Gemの永続化(任意)
はじめは上記のdocker-compose.yml
で開発を進めていたのですが、新たにGemをインストールしたのに有効にならない状態に悩まされました。調べるとGemを新たにインストールした場合、再度イメージのビルド(後ほど実行します)が必要とのこと。それはめんどくさいなーと思ってさらに調べていくと解決方法がありました!
結論だけ言いますが、Gemのインストールをガンガンやりたい人は、下記①②を追記してGemの永続化をオススメします!(①②は書かないでくださいね。笑)
app:
〜中略〜
volumes:
- .:/sample_app
- gem-data:/usr/local/bundle ①
〜中略〜
volumes:
mysql-data:
gem-data: ②
参考にさせていただいた記事(詳しくはこちら)
【Docker】Rails開発で知っておきたい!gemの永続化による作業効率アップの話
Dockerイメージ作成
docker-compose run app rails new . --force --no-deps --database=mysql --skip-test --webpacker
項目 | 解説 |
---|---|
docker-compose run app | Rubyのイメージを実行します |
rails new . | 新規アプリケーションを作成します。現在のディレクトリ(作業ディレクトリ)にファイルが作成されます。 |
--force | ファイルを上書きします |
--no-deps | リンクした他のサービスを起動しないようにします |
--database=mysql | DBにMySQLを指定します |
--skip-test | RailsのデフォルトテストツールMinitestを生成しないようにします |
--webpacker | Webpackerに対応したアプリケーションを生成します |
イメージのビルド
docker-compose build
ビルドってなんぞやって方はこちら
docker-compose up とか build とか start とかの違いを理解できていなかったのでまとめてみた
データベースの設定
database.yml
default: &default
adapter: mysql2
encoding: utf8
pool: <%= ENV.fetch("RAILS_MAX_THREADS") { 5 } %>
username: <%= ENV.fetch("MYSQL_USERNAME", "root") %>
password: <%= ENV.fetch("MYSQL_PASSWORD", "password") %>
host: <%= ENV.fetch("MYSQL_HOST", "db") %>
development:
<<: *default
database: sample_app_development
test:
<<: *default
database: sample_app_test
production:
<<: *default
database: sample_app_production
production環境をRDSとかで考えている方はこの時点で設定しちゃってもよいです。(接続情報はcredentialsで隠蔽してくださいね!)
テーブル作成とマイグレーション
docker-compose run app rails db:create
docker-compose run app rails db:migrate
後ろの方見たことあるやつ。
コンテナの起動
docker-compose up -d
-d
はバックグラウンドで実行するオプションです。
このオプションがない場合、ざっくり言うとターミナルが操作不可になるので、つけることをオススメします。
アクセス
Yay!
Docker環境でコマンドを実行する場合
たとえば railsのコンソールを開きたい場合は下記のように実行します。
docker-compose run app rails c
app
の部分はdocker-compose.yml
に記述したapp:
という部分に対応しています。
docker-compose run app
という詠唱によってruby
のコンテナを指定しているわけですね。
この名前は任意なので、docker-compose.yml
にruby:
と書いて、docker-compose run ruby
にすることもできます。
その他参考にさせていただいたサイト・記事
ありがとうございます!