書籍
全体を通した内容
- 他人の意見や気持ちを、論理で無理やり変えることはできない。
その人自らが選ぶよう仕向ける必要がある。 - そのために、他人を自分のことのように考え、相手の真の望みに気づく必要がある。
- そして相手にかける言葉は、誠実で本心からの言葉である必要がある。
これらを実践するための、具体的な方法や行ったときの実例が詳しく書かれている。
特に印象深いポイント
人を動かす原則①批判も非難もしない
なるほど、この手紙を出せば、私の気持ちは収まるかもしれない。
だがミードは、どうするだろうか?
自分を正当化して、逆にこちらを恨むだろう。
論理的には、自分が正しいと思えることでも、相手を批判することで得られるものは何か?
真っ向から批判をしても、起こしてほしいアクションを起こしてはくれない。
人を動かす原則③強い欲求を起こさせる
この問題について、私は自分の要求を一言も口にしなかったことにご注意願いたい。
終始、相手の要求について語り、どうすればその要求が満たせるかを話したのである。
自分の要求を相手がしたい、と思わせることで、自分の要求を叶えることができる。
相手の欲求を理解し、その欲求が満たされるように、自分の要求について話す。
引用部分では、ホテルの大広間の使用料を値上げされた時に、どうやって値下げ要求を受け入れてもらったかのエピソードが書かれている。
人に好かれる原則②笑顔で接する
彼はこう言うーーー
「まるでどんちゃん騒ぎでもしているような具合に仕事を楽しみ、それによって成功した人間を何人か知っているが、そういう人間が真剣に仕事と取っ組みはじめると、もう駄目だ。だんだん仕事に興味を失い、ついには失敗してしまう」
この部分、私にとっては腑に落ちたし、素敵だ。
楽しんで仕事をしている人ほど、仕事の質が高くて、成果が出ている気がする。
それに、仕事を楽しんでやっている人が近くにいると、周りまで何だか楽しくて仕事を頑張ってしまうような気がする。
自分も楽しくて、それでいて成功するなら、私もどんちゃん騒ぎくらいの楽しみ方で働きたい!
有能で真面目で、他人の役に立つ人物になることを心がけ、それを常に忘れないでいる。
すると、日のたつに従って、そのような人物になっていく。
・・・・・・・・心の働きは絶妙なものである。
正しい精神状態、すなわち勇気、率直、明朗さを常に持ち続けること。
正しい精神状態は優れた創造力を備えている。
全ての物事は願望から生まれ、心からの願いは全てかなえられる。
人間は心がけたとおりになるものである。
行動することが、自分自身を創り出す。
いかにも幸福そうな自分でいることで、本当に幸せになれてしまうなら、幸福そうな私でいよう。
人に好かれる原則⑥心からほめる
他人を喜ばせたり、ほめたりしたからには、何か報酬をもらわねば気が済まぬというようなけちな考えを持った連中は、当然、失敗するだろう。
本書の全体を通して、これが言える。
「人を動かす」方法について書かれているが、決して小手先のテクニックが書かれた本ではない。
ただのお世辞ではなく、心から誠意を込めた賞賛だからこそ、「人を動かす」ことができる。
人を説得する原則①議論に勝つ唯一の方法として議論を避ける。
その結果、議論に勝つ方法は、この世にただ一つしかないという結論に達した。
その方法とはーーー議論を避けることだった。
議論に勝つことは不可能だ。
もし負ければ負けたのだし、たとえ勝ったにしても、やはり負けているのだ。
なぜかと言えばーーー仮に相手を徹底的にやっつけたとして、その結果はどうなる?ーーー
やっつけたほうは大いに気をよくするだろうが、やっつけられたほうは劣等感を持ち、自尊心を傷つけられ、憤慨するだろう。
ーーー「議論に負けても、その人の意見は変わらない」
議論ではなく、まずは相手の言葉に耳を傾けるべきだ。
相手のほうが正しいのではないか?少なくとも正しい部分があるのではないか?
という視点で相手の主張を聞き、よく考えてみることから始めるのが良い。
相手の行動や考えには、それ相応の理由がある。
その理由を探し出し、本当に相手の身になってみる。
人を変える原則②遠回しに注意を与える。
人を批判する際、まずほめておいて、次に"しかし"をいう言葉をはさんで、批判的なことを言いはじめる人が多い。
(中略)
ところが、"しかし"という言葉を聞いたとたん、今のほめ言葉が果たして本心だったのかどうか疑いたくなる。
結局は批判するための前置きにすぎなかったように思えてくる。
(中略)
この失敗は"しかし"という言葉を、"そして"に変えると、すぐに成功に転じる。
他人を批判するときに、最初から言うのは気がひけるので、良い言葉を言ったあとに「しかし」と続けがちだ。
これを「そして」にするだけで、相手が素直に耳を傾けられるようになる。
人を変える原則④命令をせず、意見を求める。
彼の部下が書いた手紙に目を通して
「ここのところはこういう言い方をすれば、もっとよくなるかもしれないが、どうだろう?」
と言うこともよくあった。彼はいつも自主的に仕事をやらせる機会を与えたのだ。
決して命令はせず、自主的にやらせる。
そして、失敗によって学ばせた。
言う方も、言われる方も、こんな言い方なら仕事をしやすいだろうな、と感じる。
こんな風に言われたら、仕事の責任範囲はあくまで自分で、上司ではないと思えるし、
自分自身がコントロールできるもの、と認識できるようになる。
幸福な家庭をつくる原則⑥礼儀を守る。
本書では、付録として、家庭についても言及している。
著者の男女観が反映されていて、まるっと同意できる内容ではないが、参考にするべき部分は多い。
彼はどんな不愉快な気分におちいっても、決してそれを家族に見せなかった。
不愉快な気分は自分だけでたくさんだ
ーーー他の者まで不愉快になられては、たまったものでないというわけだ。
友人関係や、職場では、不愉快な気分でも、それを周りに当たり散らさなくても、家だとそれを当たり散らしてしまうことがある。
それを心のままに当たり散らして、家庭内の空気が悪くなるよりも、家族が笑顔でいるほうが、よほど家庭での居心地は良いだろう。
自分ひとりに溜め込みすぎて、不機嫌になるのも、それはまた家庭内の雰囲気は悪くなるだろう。
他人と同様に、家族にも礼儀を守ることが大事である。