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ロボットにカレシ・カノジョはできるのか?

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僕の、常識的なつまらない結論から、先に述べることにしましょう。

ロボットに、カレシ・カノジョはできるのかですって? 出来る出来ない以前に、ロボットには、カレシもカノジョも必要ないと思います。そもそも設問が愚問です。

つまんなそうな顔をしましたね。ところで、あなたは何故、彼氏・彼女を欲しがっているのでしょう? もちろん、それをうまく語れないとしても、そのことは、実際に、あなたが恋することの障害にはなりません。ただ、「恋するロボット」を作るためには、その「感情」をキチンと説明できないといけません。

頑張れば、恋愛の「要件定義」出来るかもしれないって? さすがAI好きのエンジニア。シンギュラリティ信じているんですね。シンギュラリティ越えるのに、ロボットに「恋愛」を教える必要ないと思うんだけど。 

じゃ、こんなロボット作ってみてください。

「あばたもエクボ機能を組み込んだ、恋は盲目ロボット」: 恋に目がくらみ、みなが、眉をひそめるのに、愚行を繰り返す、ロボット。
それがすんだら、「可愛さあまって憎さ百倍能力内蔵ロボット」: オセロのように、愛する人を手にかけることも厭わない、嫉妬に狂うロボット。

そんなロボット、嫌だって? それは、君の思い描く「恋愛モデル」が狭いだけだと思います。思い込みや幻想も、激情や嫉妬も、高揚感と幻滅と悔悟も、恋愛の不可欠のピースです。

現在のロボットは感情を持ちません。未来のロボットに、恋愛感情に限らず感情を導入することに意味があるかについては、僕は懐疑的です。「知的なロボット」は可能かもしれないし、役に立ちそうですが、「感情的なロボット」は、作るのが難しい上、試作品ができたとしても、その能力は、あまり魅力的なものになるとは思えません。

ただ、我々人間にとっては、感情は、我々個々人の多様性の源であると同時に、我々が相互にわかり合う「共感」を可能とする基礎でもあります。ですから、感情は、どんなに複雑で、時には支離滅裂で、矛盾に満ちていたとしても、我々人間には、なくてはならないものです。喜びや悲しみは、そして怒りでさえ、我々を豊かにします。それが奪われた時、その状態のもっともふさわしい形容は、「ロボットのような人間」だと思います。

そもそも、ロボットが、「カレシ・カノジョ」のような「性」を持つ必要があるのでしょうか? 

多くの動物は、「雌雄」の性の区別の上で、新しい個体の再生産として「生殖」を行います。もしも、未来のロボットが「生殖能力」を獲得するとしたら、そこでは、「雌雄」の性が必要になるでしょうか? 多分、それは、必要ありません。ロボットが、自己複製の能力を持てばいいだけです。

生物の進化では、真核生物が登場して、核の中で減数分裂ができるようになったことが「性の起源」だと言われているようです。そこに行くまで、生命誕生から20億年くらいかかっています。その上で、はっきりした「有性生殖」が登場するまで、さらに10億年近い時間が必要でした。最近生まれたばかりのロボットが、有性生殖をする必要はありません。

有性生殖では、成熟したオスとメスが出会う必要があるのですが、それは、出会った半数とは交配できないことを意味します。全ての個体がメスである無性生殖と比べて、有性生殖では、繁殖効率は、半分になります。有性生殖は、コスト・パフォーマンスが悪いのです。それは、「性のコストの問題」と言われて、性をめぐる生物学的問題の一つの「謎」だそうです。もっとはっきり「オスのコストの問題」と言われることもあります。「オトコ必要なくない?」という疑問に、きちんと答えられていないということかもしれません。

ロボットが、自己複製能力を持ったとしたら、その進化したロボットは、生物学的なアナロジーでは、「女性」と呼んでいいはずです。オトコのロボット、必要ありません。

「ロボットにカレシ・カノジョはできるのか?」という問題に対する、「ロボットにカレシ・カノジョはできないし、その必要もない。」という僕の考えは、以上なのですが、もう一つ問題があるような気がします。

それは、「人間は、ロボットをカレシ・カノジョにできるのか?」という問題です。

有性生殖を行うほとんど全ての生物では、「生殖行為」と「性行為」は、一体のものです。生殖行為と区別して性行為を行う稀有な例外的な生物は、霊長類の一部、我ら人類とボノボだけだと言われています。ボノボの性行動については、ナショナルジオグラフィックの記事の「まとめ」である次の記事をご覧ください。「性の問題を力で解決するチンパンジーと力に関わる問題をセックスで解決するボノボ」http://bbs.jinruisi.net/blog/2013/06/1147.html 

この記事は、ボノボの社会的なコミュニケーションとしての性活動について肯定的に紹介しています。「私たちはどちらの系統に連なるのでしょう。平和を愛し、セックス好きで、雌が主導権をとる類人猿でしょうか、それとも好戦的で赤ん坊殺しも辞さない、雄優位の集団を作る類人猿でしょうか。」 Love & Peace ですね。それも、一つの見方です。

性行為の対象としてのロボットなりVRのシステムは、広がって行くと思います。

あっ、僕の話、今までつまんなそうに聞いていたのに、急に、興味出てきたみたいですね。

カレシ・カノジョできないエンジニアが沢山いるのなら、その一部は、そういう形で、ロボットをカレシ・カノジョにして行く可能性があります。その方が、現実的で手っ取り早く面倒も少ないと思う人が、増えて行くかもしれません。ただ、そうした傾向が何世代かに渡って続くなら、人類という種の存続にとっては、静かだが確実な脅威になりえます。

僕自身は、こうした「シンギュラリティ」は起きないだろうと感じています。だって、恋人は、ロボットより人間の方がいいに決まっていますから。

今年のクリスマス、カレシ・カノジョいなかったエンジニアの皆さん、来年こそは、カレシ・カノジョと過ごせるように頑張ってくださいね。

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