はじめに
これからの品質はユーザーストーリーということで、QAチームのメンバーと勉強した結果を業務以外…プライベートで恋愛ゲームを攻略する際に活用してみました。
そのことについて、ノリと勢いで書いていこうと思います。
ユーザーストーリーおさらい
ユーザー目線でシステムを使ったとき、どう役に立つかを表したものです。
こんな形でまとめることが多いと思います。
-
ユーザー
として目的
をしたい、なぜなら価値
があるからだ -
ユーザー
としてニーズ
のために目的
を達成したい
作成したストーリーを行動順や優先度に沿ってマッピングして管理します。(ユーザーストーリーマッピング)
こうすることで視覚的に捉えやすくなるほか、抜け漏れがないかなどの確認がしやすくなります。
恋愛ゲーム攻略とは
恋愛ゲームの概要
ゲーム内のキャラクターと疑似恋愛をするというジャンルのゲームです。
男性向け、女性向けなど、恋愛ゲームの中にもさまざま種類がありますが、
今回は女性向け、学園でときめく思い出を作る作品という前提で話を進めます。
ゲームの目的
いろんな楽しみ方があるので、この記事では一番王道なものをゴールとします。
特定の攻略キャラとハッピーエンディングを迎えること
ハッピーエンドのためには、攻略キャラの好感度を上げる必要があります。
好感度は、相手が喜ぶことをする…好みを理解した振る舞いをすると向上する仕組みです。
面白さ
挙げたらきりがないので、今回の話に関わるところだけ。
- 複数人いる攻略キャラがとにかく濃い
- 現実の恋愛さながら思い通りにならないこそばゆさ
- 結ばれるまでの絶妙な期間の駆け引き
難しさ
裏を返すと、一人ひとりキャラが立っているので、全員に同じような対応をしているとハッピーエンドにたどり着けません。
ユーザーごとに求める価値が違うというわけです。
好感度を上げて、ハッピーエンドに到達したい…!
だけど、自分の思うがままに振舞ってしまうとうまくいかない。
私ならこうする、ではなく、この人は何に喜ぶのか?を考えて行動したい!
相手の価値観ってどうすれば理解できるのか…!
価値を整理するって仕事でやったな…
ということで、ユーザーストーリーの出番です。
情報を整理する
目的
- 攻略キャラの言動や背景を整理して、相手が求める行動をとれるようになりたい
- 自分の頭の中で情報まとめようとすると、思い込みで判断を誤る可能性が高いので、フォーマットに落とし込む形で整理したい
- ユーザーストーリーに慣れたい
やったこと
以下の2点を軸に情報を整理して、確実にハッピーエンドを迎えられるように備えてみました。
- 時系列にまとめる
- 人物像をまとめる
時系列でまとめてみる
好みのキャラと出会えるかどうかはゲーム上確率による部分も大きいので、キャラごとの行動はまとめられません。
そこで今回は発生するイベントでまとめることにしました。
体育祭→期末試験→文化祭→クリスマスパーティ→元旦→バレンタイン→期末テスト…etc
これらのイベントの発生時期を把握しておくことで、
体育祭の前に体力を養っておこうとか、試験前に知力を身に着けようといった、自分磨きの段取りが組めます。
より素敵な状態でアピールができるというわけですね。
また、季節イベントに向けておしゃれしたりプレゼントを買ったりしやすくなるので、イベントを制しやすくなります。
戦略を練りやすくなるといった点で有効な手段でしたが、並べ替えといったマッピング要素はなかったため、整理できれば形式は何でもよさそうです。
相手の情報をまとめる
ユーザーストーリーに必要な情報がほぼないところからスタートなので、最初は会話を中心に情報収集します。
性格、部活、バイト先、得意と苦手、将来の夢、境遇…
直接的には得られない情報もあるので、頭の中で補完・想像することも重要です。
少しずつ情報が見えてきたら、ユーザーストーリーの形で書き出してみます。
例
- 後輩
- バイト先が同じ
- 頼りにされると喜ぶ
- 誰かを守れる人になるという夢がある
頼りになる人
として自分の成長を実感する
ために主人公から頼りにされ
たい
活用方法
属性や行動理由が見えてきたら、「だからどうする」に活用します。
相手がどうしてほしいのかを踏まえて、自分がどう振舞うかを決めていきます。
例として挙げたものであれば、
困りことがあったときに後輩を頼ってみる、頼もしいと伝えてみる、など。
逆に普段は人から頼られることが多くて疲れているといったキャラであれば、何かあれば支えになると伝えたり、実際にサポートするといった行動をとったりします。
完璧に理解しきることは難しいので、実際行動した後に相手のリアクションを見て適切な行動ができたかを判断します。
良ければ継続、良くなかったら次回以降のアクションを改善し、より好感度の高い状態を目指していきます。
恋愛ゲームでもPDCAサイクルを回すことがハッピーエンドの近道になるんですね。
書き出しての感想
恋愛ゲームでは攻略キャラの言動から最適解を考察をする必要があるので、
人物、行動、理由が整理できるユーザーストーリーの形は個人的に使いやすかったです。
なんとなくプレイするよりも理解が深まり、より世界観にどっぷり浸かれる分楽しさもマシマシでした。
マッピングについては、時系列で並べるほかに攻略キャラの心情について追記すると、よりユーザーストーリーマッピングのように活用できる気がします。
その場合、事前に推測して相手のことを理解する使い方ではなく、
相手の態度の変化を受けて記録していくことになるので、どちらかというと「だからこの時、相手の態度が変わったのか!」という答え合わせでの活用になりそうです。
今回は「価値や目的」に当たる部分が不明瞭で、人物像や行動から価値/目的を逆算するというやり方でやってみましたが、
優先されるべき価値を誤認する可能性が高くなる=適切なアクションをとれないことが増える、といったリスクがあるため、
実際の業務では、提供したい価値はなんぞやが明らかな状態からまとめていく方がよさそうです。
恋愛ゲームをやりこめばユーザーストーリーをマスターできる、という結果にならず残念ですが、
背景から理由を推察する練習になったこと、
ユーザーストーリーは整理する手段であって作成を目的にしないこと(その後のアクションが大事)
という学びを得られたので、初心を忘れないためにも今後のプレイ時も続けていこうと思います。