null, undefined, NaNの違い #JavaScript

TypeScript には「値がない」という状態の表現として null と undefinedのふたつが存在します。
さらに、返す数値が存在しない表現として NaN があります。
これらの違いについてのまとめです。

null とは

TypeScript のプリミティブ¹のひとつ
- ただし typeof では object を返す²
```
console.log(typeof(null)); // "object"
```
値がないという状況
プリミティブなので null という型も存在する
```
 const x:null = null;
```

undefined とは

TypeScript のプリミティブのひとつ

console.log(typeof(undefined)); // "undefined"

値が未定義という状況
プリミティブなので undefined という型も存在する
```
 const x:undefined = undefined;
```

NaN とは

NaN は Number 型に存在する特殊な値
```
console.log(typeof(NaN)); // "number"
```
数値が必要な場面で数値が得られなかった場合に出現
数値を表すものではない

NaN を含んだ等価演算式、比較演算子では必ず false を返す

const x = NaN;
console.log(x === 100); // false
console.log(x > 100); // false
console.log(x < 100); // false
// === で NaN を判定することもできない
console.log(x === NaN); // false

NaN の判定するには Number.isNaN() を使用する

const x = NaN;
console.log(Number.isNaN(x)); // true

TypeScript では null と undefined のどちらを使うべきなのか？

TypeScript のコーディング・ガイドラインでは undefined の使用を推奨しています。

Use undefined. Do not use null.
https://github.com/Microsoft/TypeScript/wiki/Coding-guidelines#null-and-undefined

参考

プリミティブとは、TypeScript における基本的な値で、string, number, boolean, bigint, null, undefined, symbol がある ↩
JavaScript の初期からの実装に基づく ↩