前回はエンブレムは正十二角形をひし形で敷き詰めることでできているという事がわかりました。今回は前回に引き続いて、では正十二角形をどのようにひし形を敷き詰めるのかを考えていきましょう。
#そもそもひし形とは
ひし形は次の二つの性質を持っています。
・四つの辺の長さが等しい(定義)
・向かい合う辺が平行
何を今更という感じではありますが、これからの複雑な話を理解する際に大事なのでしっかり確認しておきましょう。
#充填に必要なひし形の条件
ひし形の特徴を復習したところで、充填するひし形はどのような制約を受けるのか考えてみましょう。
まずは辺の長さから考えてみると、辺の長さは充填される正十二角形の一辺の長さをk等分した長さであればいいということは直感的にわかるかと思います。ひし形の辺の長さは全て同じなわけですから、この条件を満たさないと少なくとも正十二角形の辺の部分でひし形がはみ出してしまいます。
次に角度について考えてみましょう。角度についてはなかなか難しそうですね。ひし形の性質を思い出してみると向かい合う辺が平行と言うものがあります。そこでひし形の2辺の間の角度ではなく、各辺の傾きについて考えてみましょう。
辺の傾きに注目して改めて充填された図形を眺めると、平行な辺が連なっていることに気づくと思います。
当然と言えば当然のことですね。隣り合うひし形は一つの辺を共有しています。隣り合うひし形は一つの辺を共有します。そして各ひし形の共有する辺の対辺は共有する辺と平行です。それはつまり1組の隣り合うひし形の両端の辺と共有する辺は平行と言うことです。
図のように平行な辺が連なっているよう見えたのはこの連鎖だったと言うわけです。
このままでは辺の連なりがわかりにくいので、辺の中点どうしを結び、端の辺を残したユニットを帯と呼ぶことにします。また帯の両端の辺を始辺、終辺と呼ぶことにします。
図より明らかなように、この始辺と終辺にあたる辺は正十二角形の辺と重なります。ということはこの帯に属する辺は全て正十二角形のいづれかの辺と平行と言うことになります。
ここで充填するひし形の辺の内、どの帯にも属さない辺はあるのでしょうか?答えはノーです。ひし形は必ずその四辺を他のひし形か正十二角形の辺と共有することになります。仮にどの帯にも属さない辺があったとして、その辺は隣り合うひし形と重なるので、どの帯にも属さない傾きの辺の連なりができることになります。しかしこの連なりは正十二角形の辺と重ならない限り途切れることはありません。そして途切れるとき、その最後の辺は正十二角形の辺と重ならなければなりません。重なるのであればそれは帯に属していると言うことなので帯に属さないと言うことに矛盾します。よってすべてのひし形の辺はいずれかの帯に属すと言うわけです。
各ひし形は2通りの傾きの辺からなっています。つまり各ひし形は2つの帯に属し、その帯が分ればひし形の形状を決定できるということです。
#帯について
ここで図のように番号と角度を決めて、帯を
角度_番号の帯
と呼ぶことにします。
帯の始辺と終辺は正十二角形の対辺という関係があります。帯が正十二角形に収まっていることを考えれば、一つの帯は始辺の角度が違う全ての帯と交わります。その交点にできるひし形は、先ほど説明した通り2つの帯の傾きによって決まります。
#ひし形の配置について
今までの説明で個々のひし形については理解できたと思います。しかしひし形を敷き詰めるにはどこにどのひし形を配置するかがわからなければなりません。
が、これはもうほとんど答えは出ています。先ほどから出ている帯というのはひし形の形だけでなく、どのようにひし形が連なっているか、つまりどのようにひし形を配置するかを示すものでもあります。ただ注意しなければならないのは帯によって決まるのはひし形の座標ではなく、ひし形同士の関係、つまりどのひし形がどのひし形の隣に来て…といった部分のみということです。
実際に敷き詰めるには順番通りにひし形の辺をくっつけてあげる必要があります。
(詳しくは次回説明します)
#まとめ
今までのことをまとめると
1.ひし形の帯を決めて
2.帯の交点に交わる帯に応じてひし形を描いて
3.ひし形をうまくくっつき合わせる
と正十二角形をひし形で敷き詰めることができます。
ひし形充填のやり方がわかったところで今回はここまで!次回はさらに発展して色々なひし形の敷き詰め方を作る&grasshopperで書くための伏線を張ります!