はじめに
私は現役のフロントエンドエンジニアです。正社員として働く傍ら、約2年間副業を続けてきました。副業で3社経験をして、最長契約期間は1年3ヶ月です。政府も副業を推奨しているし、副業を推しているエンジニアもたくさんいます。そして副業がやりたくて探しているエンジニアもいると思います。
そんな「副業最高!」の空気の中、私は先日副業を辞めました。
何故私は副業を辞めたのか、そして副業経験を積んで得た学んだことをこちらの記事では書き記していこうと思います.....
※ あくまで私の価値観です。副業最高!と思えるような副業をしている人もいます。1人の人間が感じたこととしてご覧ください。。
目次
- 副業をすることのメリット/デメリット
- 副業を辞めた理由
- 価値のある副業について考える
- 最後に
- 副業での苦いエピソード(おまけ)
副業をすることのメリット/デメリット
メリット
1. 実績とスキルが身に付く
2. 収入が増える
3. 日常でコードを書く癖が付く
4. 新しい人脈が生まれる
以上が副業をすることのメリット一覧です。1つずつ詳細を記載していきます。
1. 実績とスキルが身に付く
これが最大のメリットだと思っています。副業を始めた当時はNuxtとTypeScriptの経験はありませんでしたが、副業先で導入されていたので経験を積むことが出来ました。そして職務経歴書にも実績として記載する事が出来るので、本業の経験と同時進行で実績が増えていきます。
実際私が転職した際は副業での経験も評価してもらいました。
更に副業先に有能なエンジニアがいると、コードの書き方が非常に参考になり、コードを真似るだけでもスキルは上昇します。そしてそこで身につけたスキルを本業でしれっと披露すると、本業に貢献も出来て自分の評価上がるいう理想的なサイクルが出来上がります。
2. 収入が増える
シンプルにこれは嬉しいです。時給契約の場合、働けば働くほど目に見えて収入が増えていきます。例えば時給3000円だった場合、10分働いただけでも500円の収入です。時給2000円だとしても15分働けば500円です。これだけでランチ代が浮いたと考えると、働くモチベーションも上がります。
買い物に行く時間や料理をする時間を考えたら、その時間を副業に回してデリバリーした方が良いな… とか考えてた時もあります。調子に乗り過ぎですね。
暇な時間にお金を稼ぐことが出来るので、やることがなければ副業すればよいのも良かったです。副業にのめり込んでた時は本業と同じ月収を得ていたこともあり、給料日が月に2回、収入も2倍の無敵状態でした。
今後人生でお金が急激に必要になったら、いざとなれば自分にはお金を稼ぐ手段があると知れたのもよかったです。
3. 日常でコードを書く癖が付く
副業を始める前は業務外でコードをいじることは全く無い意識低い系のエンジニアだったのですが、副業をしていると嫌でも本業の業務終了後にコードをいじることになります。隙があればコードを書くのが当たり前になるので、日常でコードを書くのが苦でなくなります。
コードを書くのは趣味とは言わずともさらにその先の生活の一部になるので、趣味より上の存在になった感覚があります。
4. 新しい人脈が生まれる
これは思いもよらぬ副産物でした。副業先の人間関係には興味無いな。と一線を引いていたのですが、1年以上毎週打ち合わせをしたり仕様合わせをして顔を合わせていると、さすがに雑談の機会もあり人となりも分かります。そして同じように副業という立場であれば、同じ様な不満や問題共有で盛り上がります笑 最も付き合いの長い人は、会社の同僚くらいの関係性を築く事が出来ました。
副業先で知り合った人に誘ってもらった別の副業に参加して、より高待遇な副業に移る経験もしました。スキル感を把握されてるので、よりマッチした環境に身を置くことが出来ました。
他にも正社員の募集をしているので話を聞いてみないかという誘いも受けたりして、副業の縁をきっかけにしたイベントも発生しました。
以上がメリット一覧になります。これらのメリットを望んで副業を始める人もたくさんいると思いますし、事実体験してみてメリットはありました。
ではデメリット一覧を紹介しようと思います。
デメリット
1. 時間とスキルの切り売りになる
2. 副業が生活の中心になる
3. 本業の価値が薄れて見える
4. 長く続けていると責任という重圧が増え続けて死ぬ
以上が副業をすることのデメリット一覧です。これについても1つずつ詳細を記載していきます。
1. 時間とスキルの切り売りになる
副業始めたての頃にはあまり感じなかった感覚ですが、長く続けるにつれてこの思いが強くなっていきました。
メリットの1つで挙げたように、本業で扱っていない技術に触れた際は確かにスキルアップ出来ます。ですが長く副業を経験した結果、副業では基本的に今持っているスキルを提供して報酬を貰う場所だと今では感じています。これはもしかしたらフリーランスでも同様かもしれません。
正社員と違って教育環境があるわけではなく、与えられたタスクをなんとかして対応する必要があります。結果として今の自分に出来る範囲のタスクをこなすことになります。そしてスキル的には実装可能で、実装までに時間がかかる大きめのタスクが与えられるようになると、時間だけを浪費している感覚に陥りました。
この時間はインプットでもなければアウトプットでもありません。 常にコードを書いているので実装スピードは上がったとは思いますが、スキルの停滞感は否めませんでした。
2. 副業が生活の中心になる
最初は週に8時間程度副業の時間に充てていました。しかし時間と共にスキルが向上すると共に、副業でも難しいタスクを渡されるようになってきました。そのようなタスクは週8時間の対応では足りず、週に10時間、15時間、時には20時間以上と段々と副業の時間が増えていきました。
そのような生活が続くと本業の仕事が終われば副業に取り掛かり、土日のどちらかは一日中副業に取り掛かる生活になります。こうなると生活の中心が副業になり、趣味や休みの時間が少なくなっていきます。
久しぶりに会った友達に最近何しているか聞かれた時に、ここ数ヶ月副業しかしてないなと気付くことになります。
「ここ最近はずっと副業してるかな〜」と答えて話が盛り上がった試しがありません。
3. 本業の価値が薄れて見える
副業でまとまったお金が手に入るようになると、副業だけで生活出来るのではないかと思い始めます。本業で使っている時間も副業の時間に回したとすれば今よりも収入が増えるので、最悪職を失っても大丈夫だな、と自惚れるようになります。
そうなると本業の仕事に身が入らず、早く本業の仕事を終わらせて副業がしたい、という意味不明な考え方になっていました。
ですがあくまで軸は本業にあるべきですし、業務委託に集中したいのであればフリーランスになりましょう。中途半端な状態は双方にとって良くないと思います。
4. 長く続けていると責任という重圧が増え続けて死ぬ
私が最も長く続けていた副業は1年ちょっとやっていました。1年を超えると副業メンバーの中でも古参の部類にあたり、リリース管理やメンバーの進捗管理、緊急対応も担当するようになっていました。そうなると責任も重くなり、単価を上回るであろう業務内容になってきました。
本業のリリースに追われ、副業のリリースにも追われる。本業と副業の忙しいタイミングが重なった時、本業でも副業でも何故か自分1人だけ大炎上している状態に陥ります
「自ら履いた二足のわらじ。こんな苦しい思いするとは思っていなかった…」 薄れいく意識の中そう思いました。ですが意識を失うわけにはいきません。本業のタスクをこなした後に副業のタスクも終わらせる必要があるので今日は眠れません。
副業を辞めた理由
上記のデメリットがメリットを上回ったので辞めました。
特に時間を浪費している感覚も大きくなり、インプットの時間もアウトプットの時間も取れていないのでエンジニアとして歩みが止まっていたと思います。
止まっていたは言い過ぎですけど、長く続けるにつれ副業始めたての頃よりも確実に成長速度は遅くなっていました。
これからしばらくはインプットとアウトプットの時間を作り、目先の稼ぎよりも将来的に単価が上がるような行動を取ろうと思います。
価値のある副業について考える
もし今後私が副業を再開するのであれば、転職活動の一貫の副業もしくは自己学習で身につけたスキルで実務経験を積むための副業をすると思います。
転職活動の一環の副業
正社員として働きたい企業にまずは副業として参画して、内部に潜り込んで働く環境を知ってから正社員化を狙うことです。実際私も最後に参画していた副業は、もしかしたら正社員になるかもな、と考えながら参画しました。しかしそこで働く正社員の過重労働ぶりを見てやっていけないと事前に知ることが出来ました。
そこでは働きぶりを見て、「正社員にならないか」と声をかけてもらってました。もしこれがこちらとしても入社したい企業であれば入社すれば良いですし、企業側としても職務経歴書を見て面接をするよりもどんな人材か分かるのでミスマッチは防げる転職方法だと思います。
自己学習で身につけたスキルで実務経験を積むための副業
例えば本業ではフロントエンドのみの業務経験しかない場合、バックエンドの業務につくのはハードルが高いと思います。なので自己学習で簡単な業務ならこなせるレベルまで習得して、副業で職務経歴書に書ける実務経験を積む。これなら価値のある副業になると思います。
最後に
私が副業を通して感じたのは、副業であろうと仕事には等しく責任があるということです。副業先にとって私が副業で仕事にあたっていることはお構いなく、私に与えた仕事は終わらせてくれないと困ってしまいます。お金が発生している以上「副業なので出来ません」は通用しません。
そして本業の企業にとっても副業をやっていることはお構いなしです。「副業で忙しいので出来ません」はもっと通用しません。
キャパオーバーせず人間らしい生活が出来る範囲で、自分の人生にとって価値のある副業をしましょう。
副業での苦いエピソード(おまけ)
ここからは副業で体験した苦い思い出を書き記していきます。これは副業をやっている人全員に起こる話では無いので、そんなこともあるんだな、という笑い話として見ていってください。
冒頭で副業を3社経験したと書きましたが、実はそれに加えて2社副業として参画したことがあります。そこで経験したエピソードを紹介します。
ep1.突然の契約解除
ひとつはフリーランスの知人の紹介で参画した企業です。ベンチャー企業でサービスをいくつか展開している企業で、副業の条件も良く、業務委託のエンジニアも高スキルの人達が集まっていたので、非常に刺激のある魅力的な環境でした。
私が参画して1ヶ月が経った頃、突然CTOから個人チャットが届き、通話がしたいので電話番号を教えて欲しいと言われました。「チャットではなく何故電話…?」という疑問が浮かびましたが教えました。すると数分後に電話がかかって来て、驚きのセリフを伝えられました。
「会社の方針が変わって業務委託メンバーは利用しないことになりました。本日限りで契約終了とさせてください。」
こうして電話一本で副業が終了してしまったのです。。
業務委託契約している人間は全員契約終了したので、当然フリーランスとして活動していた私の知人も契約終了しました。知人はその企業をメインの稼ぎ場としていたので、途端に稼ぎ場を失ってしまったのです
フリーランスってこええ… 私はそう思い、いつかはフリーランスになろうかなと小さく抱いていた夢はそこで夢では無くなりました。私にはそんなリスクある人生選択は出来ないな、と思ってしまったからです。
ep2.「とにかくダサい」事件
これは初めて副業をした時の話です。まだエンジニア歴数ヶ月のスキルも未熟だった頃に、前職の同僚からコーディングの案件があるので一緒にやらないかと誘われました。当時のスキル的には到底もらえるはずのない破格の条件だったので、喜んで承諾しました。
そして依頼主との顔合わせもなく、チャットで依頼内容を受けデザインを貰いコーディング業務を開始しました。
そして2ヶ月間かけてデザインの反映が完了した後、納品に合わせて初めて依頼主との顔合わせも行いました。その時初めて知ったのですが、依頼主はITとは無縁の人材系の会社の営業マネージャーで、外部依頼も初めてだったとのことです。
ITについては全くわからないが、上からの指示でLPを一本用意する必要があったとのことでした。
そしてデザインチェックがその場で始まりました。今思うと何故事前に確認していなかったのかはわかりません。そして衝撃の一言を言い渡されます。
「よく分からないけど、とにかくダサい。」
いやそんなこと言われましても… コーディング自体はデザイン通りに行なっていましたし、よくあるLPが出来ていたと思います。
「どの辺を修正したら良いでしょうか?」と尋ねたところ、「ITについては何も分からないので何が悪いとは私には分からない。でもとにかくダサい。」 と言われてしまいました。
そして打ち合わせは終了して、別の依頼主に頼むので契約終了と伝えられました。衝撃的な出来事でしたが、まあお金は貰えるしいいか…全て忘れて焼肉に行こう。と思いその日はやけ食いをして豪遊しました。
そして後日労働分の請求書を送ったところ、「仕事が出来ていないのにお金を払うことが出来ない」 というまさかのお返事を頂きました。
そんなことって許されるんだっけ!?私はそう思いましたが、そこで過ちに気付きます。
この契約には契約書が存在しなかったのです。
正社員という安定した世界で生きていた私は自分の無知さを呪いました。労働するのであれば、口約束ではなく必ず契約書を用意してもらいましょう。そして契約書が無い労働は自分の身を守るためにもやめましょう。
初めての副業で得た報酬は、そのような教訓と失敗だったという苦い思い出でした。
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