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院試体験記+FoPM申請書の書き方

Last updated at Posted at 2023-09-20

院試体験記

後輩の参考になる事を願って体験を記します。
受験したのは東京大学大学院理学系研究科物理学専攻です。内部生ですが、内部生に有利になる制度はないので外部の方にも参考になると思います。

結果

の前に物理学専攻の志望方法はやや特殊なのでそれから解説します。
物理学専攻は9つのサブコース(分野)にわかれています。このうちの最大2つまでを第一、第二希望サブコースとして選択でき、そのサブコース内で第一から第四希望まで最大4人の希望指導教員を選んで(つまり2つのサブコースをまたいで最大8名の名前を書ける)願書を提出します。
🦉の場合は物性以外に興味を持てなかったので第一希望にA3(物性理論)、第二希望にA4(物性実験)を選びました。
結果は第一希望サブコースの第一希望じゃない研究室でした。失敗とも成功とも言えない絶妙な結果。

勉強方法

授業の成績

普通の人は半年以上前の授業の内容は使わなければほとんど覚えていないし、合否に学部時代の授業の成績が関係することはまずないと思うので、成績が悪いからと言って心配したり他の人に差を付けられていると思うことは無いです。ただし一度理解して忘れたものを思い出すのと新たに学ぶのでは労力が違うので、授業内容の理解不足によって成績が悪い場合は他の人よりも早めに(冬休みや春休みくらいから?)院試対策を始めた方がいいかもしれません。

演習の授業

先輩たちの体験記を見ると大抵「演習の授業をちゃんと受けるように」とアドバイスがあります。
物理学科には演習の授業が5つあります。その場で配られてその場で初見で解く「その場問題」と、1週間猶予が与えられる「持ち帰り問題」の2種類の問題を解く授業で、そのどれにも単位取得に最低1回の問題(種類問わず)の発表が課されています。
🦉は後半(B3以降)の3つについて初回にその場問題を誰よりも早く解いて発表し、次回以降は欠席するムーブをしていたのでよくわかりませんが、その結果がこれなのでちゃんと出た方がいいかもしれないです。
ただ持ち帰り問題を流し見した感じ、ここ最近の院試の問題よりかなり難しめに作られていてこれを用いて勉強することが本当に良い院試対策方法なのかは甚だ疑問です。

参考書等

個人の意見としては必要ないと思っています。過去問を解く前に問題集(有名な黄色いやつとか)で勉強する人もいますが、🦉は過去問を解きながら勉強しました。また今年もそうだったように本番の問題が過去問に類似するということもあるので、過去問の過学習は院試対策にかなり良い手段です。ただ当然過学習には副作用もあるのでそれを和らげるために息抜き程度に演習の問題を解いたりするのが良かったのかな、と今では思っています。

筆記試験までの流れ

4月以前

過去問が公開されているHPにアクセスしたこともない。

4月

理論演習でA研に配属され、機械学習に関する内容を勧められ、面白いかも!となる。
ちなみにそのA研のメインの研究テーマは量子光学なので全く関係がない。
件のHPにアクセスするにはした。

5月

機械学習の勉強を進める。
HPの各年度のリンクを開いてなんとなく問題構成を確認した。解いてはいない。

6月

志望研究室を決める必要がある(願書の期限)のでA3はとりあえずそのA研つながりの研究室と機械学習が強い研究室を選ぶ。A4は滑り止めだったので"その人の授業を受けたことがある"というあんまりな理由で3人を選ぶ。
ようやく過去問を古い方から解き始める。6月中にやったのはH8,13,14の3年分だけだがどれも撃沈。かなり基礎的なことも抜けていたので、その3年分を完璧に解けるようになるようにこの1か月は費やした。

7月

4Sで取っていた量子光学のテスト対策をするうちに量子光学めっちゃ面白いじゃん!!となる。
期末試験諸々が忙しく、過去問はH15,16の2年分しかできなかった。

8月第1週~第2週

レポートも終わり院試に本腰を入れる。昔(10年以上前)と最近とで問題の難易度や毛色が違うと聞き、H17~H26とH27~R5の2つに分断しその2グループから1つずつ選んで1日2年分解く。8/2から始めて8/11には公開されている全ての問題を解き終わってしまったので、(先輩や同じく一通り解いた学科同期からアドバイスを受けて)過去問2周目を始める。

8月第3週

理物には長年色んな人が好きなように好きな問題の過去問解答を作り継ぎ足された「秘伝のタレ」的な過去問解答があります。そいうえばこんなポストをしたことを思い出す。

H21までは系統だってTeX打ちされた解答があるものの、H22以降は無法地帯。結構な確率で間違った答えがある。

そこで、秘伝のタレが気に食わないなら自分で新たにタレを作ればいいのか!となる(おおよそ正常な判断ではない)。
H22からR5までの13年分の物理の問題についてiPadに一度解く→TeX打ちするの手順で8/12から始めて8/19に作り終え、試験までの残された数日は数学についても同じことをした。
大体こんな感じ(プレビュー的なのを表示できない.......)。

筆記試験+口述試験

筆記試験

午前の英語はノーコメント。
午後の専門科目(物理+数学)は大問1の第1問で「ハミルトンの正準方程式を解いて」という文言があり軽くパニックになる(解析力学はそもそもほとんど出ないし、もし出ても例年大問3にあるので、作問傾向に大幅な変更が起きた??となる)。
その問題の趣旨は$H=\dfrac{1}{2}(p^2-q^2)$について$p-q$の時間発展を求めよで、もちろん


 \dot{q}=\frac{\partial\,H}{\partial\,p}=p,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\dot{p}=-\frac{\partial\,H}{\partial\,q}=q

なので時間と共に$e^{-t}$で減衰する、というB2でも解ける問題。これを間違える。
ちなみにその後正準量子化をして量子力学にするので作問傾向が変わったわけでも何でもなかったが、この問題だけでこれを含めて相当なミスをする。体感50点(途中にまた別のミスに気付いて修正した箇所もあるので、最初に書いた答案だと20点くらいだったと思う)。

大問2(統計力学)はR2と似たような問題で、Langmuirの等温吸着式も学部の授業でやったことがあったので特に問題なく解いた.......はずが1か所グランドポテンシャルで$-\ln \Xi$を$1/\beta$し忘れる。体感85点。

大問3(電磁気)はH24に一部類似してた。最後の記述が怪しいが他は完答したはず。体感90点↑。

大問4(数学)の前半は完答。後半は$z+z^{-1}$が実数であるような複素数$z$を図示する高校生でも解ける問題を間違える。それに関連してもう1つ間違えた。体感80点。

開示

をしたところ、大問1と4は予想より10点くらい高かったけどあとは概ね予想通りだったので、好意的な(途中の間違えた結果を使って後の問題を連鎖的に間違えてもあまり減点されないし、部分点もある)採点でした。
ほぼ答えしか書いてない同期の得点が各大問10の倍数で、🦉のそれは結構端数があったので途中過程は書けば書くほど見てくれると思います。

口述試験

口述試験の際に配られる注意事項には次のような記述があります。

口述試験の内容について口外してはいけません

なのでこれからここに書くことは全て僕の口述試験に関係がありません。Qiitaって文字色を白くすることもできるらしいですね。環境に寄りますが Ctrl+A などをするといいかもしれません。

A0:
球対称井戸型ポテンシャルについて自由に解く(波動方程式の解、束縛状態が存在する井戸の深さの条件、Phase shift、etc...)
A1:
相対論や場の量子論に関する問題をその場で解く。わざわざ問題が書かれたプリントを用意してくる。
A2:
相対論に関する問題を訊かれることもある。篤実でA2関連を取っているとそれについても訊かれる。
A3:
調和振動子/Landau 準位/Ising モデル/Debye 周波数/BZ/BEC/電子と正孔/臨界現象/Zeeman分裂/不確定性関係/角運動量の合成/電磁場のエネルギー/ゼロ点振動/熱力学第二法則/シングレット状態/SSB/超電導/バンド理論/平均場(分子場)近似/鏡像法
などからランダムに選ばれた1つについて黒板を使った説明を求められてもいいように、また説明に対して教授陣から追加の質問が来てもいいように対策したが訊かれなかった。
A4:
特筆することが無い。
A5:
・Chandrasekhar限界
・黒体輻射のスペクトル
・水素の電離エネルギー
・重力波の放射
・一般相対論に関すること
などを適宜誘導されつつその場で導出させられたりする。
A6:
調書に書いた内容を元に話が進む。かなり詳しく訊かれるらしい。物理の問題を解かされるとかはない。
A7:
その場で問題を解かされるとかはないらしい。
A8:
物理の問題を解かされることはないが、(特別実験でA8関連をやっていた場合は)その内容について詳しく訊かれる。

アドバイス

Driveの解答は鵜呑みにしない(内部生向け)

前述したようにこれまでDriveにあった過去問の解答は部分的に欠けているし、クオリティも決して高いとは言い難いものでした。
この代は解答作成意欲が高く、R5年度まで物理学専攻を🦉が、物理工学専攻を学科同期のMくんが作りました。また京都についてもTくんが作成中のようです。
ただしそれにも恐らく誤りはあります。誤りを見抜けず誤答を鵜呑みにしてしまう程度の実力なら落ちると言ったらそれまでなのですが、中には謙虚に自分の解答が間違っているかも......と思ってしまう人もいるかもしれません。
しかし、全くその必要はないです。自分の解答こそ正しい、Driveの解答の粗を見つけてやろう、くらいの意気込みで対峙してください。

(可能なら)併願する

物理学専攻は筆記試験から結果発表まで1か月かかる他に類を見ない長期間の日程をしています。日程の問題で併願不可な年もあるらしいですが、可能であれば(例えば駒場や物工)と併願をして心の余裕を持った方がいいです。特に🦉のように試験失敗したなぁという場合に専願だとまぁまぁキツい1か月になります。一発勝負の試験なのでそういうこともあるよね、と受け入れるメンタルの強さが無い場合には併願がオススメ。
ただし、併願する場合は併願先の過去問を解く必要があるので8月から本腰を入れるのでは間に合わないかもしれません。

過去問は過学習する

前述したように、過去問を過学習して隅から隅まで理解することが一番手っ取り早く点数を上げる方法だと思います。🦉の場合だとHPにある25年分は2週間もせずに解き終えられたので、例えば冬休みに1周し、4S中にもう1周、8月の夏休みに入ってからさらに1周とかは全然可能だと思います。
とは言っても完全初見の問題に立ち向かう実戦経験も大事なので、数年分は直前まで残しておくのは悪くないかもしれません(実際結構な数の学科同期が本番1週間前に集まってR5を初見で解いていました)。

他の人と一緒に問題を解く機会を作る

家の方が集中できる🦉みたいなタイプだと1人家に籠って問題を解きがちですが、当然本番は周りに人がいる環境に置かれます。それも当日パフォーマンスを発揮できない原因になるので身体を慣らしておくのが吉。特に内部生ならゼミが立つのでそれに参加すると良いと思います。

常日頃から次元を気にする

ミスを減らすにはこれが一番いいと思っています。たとえば🦉の2番の$1/\beta$をつけ忘れるミスはグランドポテンシャル(エネルギーの次元)に対して$-\ln\Xi$が無次元($\ln$はTaylor展開から常に無次元)で破綻している、と少し考えれば気付きます。
従来から問題を解くときには次元にかなり気を付けていたつもりでしたが、それでも本番できなかったので普段からしつこいくらいにこれでもかと次元は気にするといいです。

慢心しない

あたりまえ、だけど超重要。最近の問題は比較的簡単なので内部生の理論を志望するような人なら直前期には専門科目は9割は固い、ミスが無ければ満点も狙えるという自信が付くと思います。ただそこで慢心すると今年の🦉のように初手で面食らってペースを崩す原因になる(実際大問1だけじゃなくて大問2~4もふわふわした状態で問題を解いていた)ので謙虚にいましょう。
🦉の場合はそもそも英語が絶望的(学部入試の英語-リスニング=30点)なのと大問1が響いて399/500でした。他の人の開示を見る限り、今年度の本郷のA3研究室の合格のボーダーはおそらくこの399点です、参考にしてください。

理論系は意外とシビア

上に関連して、理論系は実験系と比較すると厳しい競争下にあります。今年に限って言えばA1(素粒子理論)の筆記落ちやA3に口述までは行ったけど落ちたという学科同期を複数人見ました。
$\mathbb{X}$で「私内部生ですけど?落ちるんですか??」という趣旨の他学部の人の(冗談交じりの)ポストを試験数日前に見ましたが、物理学専攻の理論系なら普通に落ちます。
🦉がここまで失敗してA3に拾われたのはかなりラッキーです。なので、理論を志望するならそれなりの覚悟を持ちましょう。

(おまけ)博士に行く意志を見せよう

口述で博士課程に行く気はあるか訊かれることがあります。ここで「行かない」答えた同期が筆記の点を大幅に(20点ほど)逆転されて某研を落ちていたので、嘘を言うデメリットもないし「D進します」と答えた方がいいかもしれません。

さいごに

詰め込み過ぎずに、でも着実に院試勉強頑張ってください。

FoPM申請書の書き方

新しく記事にするほどのことでもなかったので院試体験記に追記することにしました。

はじめに

大学を卒業し学士(理学)になりました!次は修士!

東大には「国際卓越大学院教育プログラム」、通称WINGSという制度があります。
これを端的に説明すると、事前に大学院修士課程で抜けずに博士課程まで行くことを誓い、いくつかのdutyをこなす代わりに大学から助成金をもらえるという制度です。
ただし希望者全員が採用されるわけではなく、選考があります。
自分の行く理学系研究科物理学専攻だとWINGSの中でも「FoPM」というプログラムに応募する人が多いです。

このFoPMの合格発表が3月初旬にあり、自分はありがたいことに採用されたのですが、選考のための書類作りにそれなりに苦労したので後輩のために書き残します。
実際は分野や配属研究室にもよるので研究室のFoPMに採用されている先輩に訊くのが一番です。そういう頼れる人がいない場合に役に立ったらいいなと思ってます。(また、FoPM以外のWINGSには恐らく役立たないです。)

2023年度にあった募集を元に書いているので、来年度以降で申請書の大幅な改訂があった場合などはごめんなさい。

大前提

FoPMの採用の可否は院試の点申請書によって判断されます(募集要項に明記されている)。
なので、高いクオリティの申請書を出したとしても院試の点が低ければ多分落ちます。
逆に、院試の点が抜群に良い(9割以上とか?もっと欲しいかも)なら申請書はその体裁を保っていればどんなに手抜きでも通る、というのも言われています。
なので、FoPMを確実に通りたい、こんな申請書に煩わされたくないという場合は院試で無双しましょう。

自分は院試の点がお世辞にも高いとは言えない、むしろFoPMに出すならディスアドがあるくらいには低かった(詳細は上の通り)ので、申請書で勝負するしかないと思いそれなりに対策しました。

申請書の構成

申請書は主に4枚で構成されます。

  1. これまでの学習状況
  2. 志望理由、博士課程終了後のキャリア構想
  3. 大学院での研究計画
  4. これまでの研究成果(あれば)

申請書はWordファイルで渡されますが、各ページ向こうが既に占有しているスペースを含めて1ページ以内に収めなければいけません。また文字サイズも10 pt以上という指定があるのでいたずらに文字を小さくして内容を詰め込むということもできず要約する必要があります。

ここで使える裏ワザを1つ。

向こうが指定してるのは文字サイズの下限だけで、行間隔を狭くすることは禁止されていない。

実際、申請書を拝見した先輩の中でかなり露骨にデフォルトの行間から狭くしている方がいましたが、問題なく採用されていました。
これ以上削れないというときの最後の手段としてこれを頭に入れておくと楽に文章量を調整できます。

以下では上の4つについてそれぞれ注意点などを記していきます。

1.これまでの学習状況

指示は以下の通りです。
今までの学習状況や取り組んだ研究、その他の活動に関する記述。卒業研究やそれに準ずるもの(特別実験、理論演習など)を含めても構わない。志願者の能力や自主性、積極性などを示すために強調したい事項などを具体的に記述すること。1ページ以内。日本語と英語どちらで記入しても構わないが、英語を推奨する。

上を読めばわかるように、ここでは卒業研究(内部生なら特別実験、理論演習)でどのようなことを学んだかを書くことを要求されます。また、授業外で取り組んだ活動などがあればそれを書くのもありです(内部生ならPhysics Lab.など)。

ここで最も大事なのは次です。

「日本語と英語どちらで記入しても構わないが、英語を推奨する。」は「英語で記入しなさい。」という指示である。

これは「2.志望理由」でも全く同じです。過去に採用された方の申請書をいくつか($n>5$)拝見した中でこの1,2を日本語で書いているものはありませんでした。恐らく英作文の能力も測られているので、めんどくさがらずに英語で書きましょう。

内容については、審査のために申請書を読む先生は物理学専攻だけでなく地惑や数理もいる(らしい)ということを心に留めて、そのような人にもわかるように事前知識のレベルを低くすることなどは意識するといいかもです。
またこの1.に限らず

説明のための図や表を入れる(できれば各ページ1つ以上ずつ)

ことも意識した方がいいです。全て文字で埋まった申請書は良いとはされません。

2.志望理由、博士課程終了後のキャリア構想

指示は以下の通りです。
本プログラムを志望する理由及び博士課程修了後のキャリア(産、学、官など)の構想について記述すること。本プログラムの中でいかに新しい価値創造の試みに挑戦しながら、他分野や異文化との積極的な対話と協働を進めるかということと、将来のキャリアの中でその知見をどのように主体的に社会にフィードバックしたいと考えているのかということについても言及すること。1ページ以内。日本語と英語どちらで記入しても構わないが、英語を推奨する。

上でも述べましたがここも英語で記入です。
このページではいわゆる「作文能力」が問われています。プログラムを通しての新しい価値創造や将来のキャリアで経験をどう社会に還元するかなど、大学を卒業するかしないかの人間に書かせてもその通りに達成されることはまずないし、それがわからないほど申請者、採用者共にナイーブではないでしょう。そのため、4つの中で群を抜けて書きづらいページになっていると思います。
なので逆に、理性がこんなの実現不可能だと言っていても、とにかく理想論を書くのがいいです。自我や矜持は捨てましょう。

あまりこういう標語的なのは好きではないのですが

書く内容に困ったらSDGsに繋げる

は良い方針だと思います。過去に採用された方の申請書を見てもこのワードは何回か遭遇しました。

3.大学院での研究計画

指示は以下の通りです。
入学後の研究目的、研究内容、研究方法について記述すること。どのような計画で、何をどこまで明らかにしようとするのか、指導予定教員と相談し、具体的に書くこと。1ページ以内。日本語と英語どちらで記入しても構わない。

この欄では前2つにあった「英語を推奨する。」という記載がありません。より使い慣れている方の言語で書きましょう。申請書を見せていただいた先輩方は全員日本人だったので、ここは日本語でした。

ここで最も大事なことは指示をちゃんと読むということです。具体的には

研究目的、研究内容、研究方法の3つについて書く

ことです。3つの段落分けするのが書きやすいと思います。

また「指導予定教官と相談し」とあるように、ちゃんと指導教官に申請書を見せましょう。後で書きますが、指導教官の添削が一番採用の確率を高めると思います。
また、先ほど書いた「院試の点と申請書で判断される」というのは厳密には嘘で、そこにさらに「指導予定教官からの推薦書」が加わります。
もちろん良いことを書いてくれるとは思いますが、この推薦書には「推薦する学生はこれまで指導した学生のうち上位何割か」「(同じ研究室から複数人申請する場合)その中での順位は?」などの中々エグい内容が含まれています(フォーマットは誰でも見られる場所に置いてあります)。
このような点からも指導教官とは頻繁に連絡を取り合いましょう。

さらに、どこまでが本当かは分かりませんが、申請書で1番見られるのはこのページらしいです(たしかに英語と日本語ページがあったら後者の方が読む気が起きるのは妥当な気もする)。英作文に煩わされることがない分、気合を入れて書きましょう。

4.これまでの研究成果

ここではさらに3つに細分化され、学会発表経験、論文発表経験、受賞歴を訊かれます。
自分は不勉強なので学会での発表経験、ましてや論文の執筆経験などはありません。というか多くの人はここに書けることはないと思います。
3つ目の受賞歴についても受賞歴がなければ本来何も書けないのですが、書くとしたらここしか無いものがあります。

大学時代の成績はここに書く

院試の合否に学部時代の成績は直接関係してきません。また、FoPMについてもそれは同じです。
ただそれだと良い成績を頑張って獲ってきた場合に報われないですよね?ということで、ここでアピールしましょう。
先輩から見せてもらったものだと、優と優上合わせて全体の単位の何割であるかなどを書いていました。9割越えを複数見て戦慄しました.......((((;゚Д゚))))
成績が悪い場合にわざわざそれを書く必要はないです。良いところだけ書きましょう(例えば、理論系の研究室に配属予定だけど実験の成績が良い場合はそこだけ抽出して書くなど)。

また、学会で何度も発表している、論文を既に大量に出しているような超人で無ければこのページはスペースが余ります。
逆に前の3つは結構スペースがタイトなので

参考文献はこのページに4ページ分まとめて書く

ことを自分はしました。先輩方のを見ても各ページにちゃんとつけている人と、最後にまとめている人で半々くらいでした。

指導教官にとにかく頼る、また計画的な執筆を

先にも書きましたが、指導教官に申請書を見せて添削を仰ぎましょう。
スケジュール的には11月中に申請書のWordファイルが公開され、1月の初旬に締め切りです。お正月三が日の後に指導教官と連絡を取り合うのはかなり厳しいので、年内には形にすることが求められます。
そのため、遅くとも12月初めには書き始めるのがいいでしょう。自分の場合は初稿を書いて指導教官に送ったのが11/19(11月頭には書き始めていたと思う)、そこから5回の添削を受けて最終稿が完成したのは12/19でした。

指導教官は科研費の獲得のために申請書を書き慣れています。これでもかというくらいに頼りましょう。最終稿で原型を留めているのは図表だけ、というくらいにはたくさんの指導を受けました。

最後に

はじめに、でも書きましたが近い先輩を頼って申請書を見せてもらい、それを真似て書くのが1番書きやすいし、指導教官の添削の際にも意思疎通がスムーズに進むはずです。

そもそも博士に進むという決断をまだほとんど研究をしたことがない段階でしなければいけないことに違和感を覚えないと言ったら嘘になります。なので、熟考の末にFoPMを申請しないというのも十分選択肢に入ると思います。

その上で博士に行く気はあるけど、助成はあった方が助かるなぁ、でもどうやって申請書書けば良いのかわからない.......という人の役に立てたら幸いです。

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