43
25

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 5 years have passed since last update.

赤帽エンジニアAdvent Calendar 2018

Day 15

コンテナの標準仕様について調査してみた件

Last updated at Posted at 2018-12-14

Red Hatでコンサルタントをしている @mamomamo です。この記事は、赤帽エンジニア Advent Calendar 2018 の15日目です。

はじめに

2018/12/3に Kubernetes 1.13 がリリースされました。このニュースリリースにおいて、"Container Storage Interface (CSI) Goes GA" という項目があり、v1.9からベータ版が採用された CSI(Container Storage Interface) がv1.13から正式版になったと発表されています。
CSI(Container Storage Interface)は、Kubernetesなどのコンテナオーケストレーションツールとストレージとの間のインターフェースの標準仕様ですが、他にもコンテナ関連にはいくつかの標準仕様が存在しています。本記事では、いくつかの代表的なコンテナ関連の標準仕様について、その概要を調査した内容を書いてみたいと考えています。

OCI(Open Container Initiative)とは

Open Container Initiative(OCI)とは、コンテナのランタイムとイメージ関連のオープンな業界標準を作成するため、2015年6月にDocker社などの複数の企業により設立された、現在はLinux Foundation傘下のオープンソース団体です。

2018年12月時点のメンバは以下の通りで、Red Hatをはじめほとんどの大手テクノロジー企業が参加しています。
スクリーンショット 2018-12-12 18.08.40.png
※引用: https://www.opencontainers.org/about/members

2017年7月に「OCI v1.0」が策定され、コンテナランタイムの標準仕様である「Runtime Specification」と、コンテナイメージの標準仕様である「Image Format Specification」がリリースされています。
また、2018年4月にはコンテナイメージ配布の標準仕様を策定する、「Distribution Specification」プロジェクトへの着手が発表されています。

※参考: https://www.opencontainers.org/blog/2018/04/09/distribution-spec-is-here

OCI Runtime Specification

コンテナランタイムの標準仕様であり、現在の主要なコンテナランタイムが全て準拠しており、広く普及した標準仕様となっています。また、Linuxコンテナの標準仕様だけでなく、Solaris・Windows・Virtual Machine上のコンテナランタイムの仕様についても決められています。
詳細な仕様はGitHubのSpecificationのページを確認してもらった方が確実ですが、Linuxコンテナの場合には Default Filesystem・Namespace・cgropus などの仕様が決められています。

OCI Image Format Specification

OCI Runtime Specificationと同じタイミングの2017年7月に策定され、こちらも広く普及しているコンテナイメージの標準仕様です。Image Manifest・Image Index・Image Layout・Filesystem Layout・Image Configuration などの仕様が決められています。

OCI Distribution Specification

前述の通り2018年4月に着手開始が発表されたコンテナイメージ配布の標準仕様ですが、OCIのニュースリリースやGitHubのコミット履歴を見る限り、本記事の執筆時点(2018年12月中旬)では仕様の策定が止まっているように見えます。

CRI(Container Runtime Interface)とは

CRI(Container Runtime Interface)とは、2016年12月にKubernetes 1.5からαリリースされた、kubeletとコンテナランタイムが通信するためのインターフェースを規定したものです。

CRIの概要は以下の図の通りです。

Image 2016-12-19 at 17.13.16.png

※引用: https://kubernetes.io/blog/2016/12/container-runtime-interface-cri-in-kubernetes/

CRIが規定される以前は、コンテナランタイム側がkubeletの内部構造を理解しなければならず、新しいコンテナランタイムをKubernetesに組み込むことは非常に障壁の高いことでした。しかし、CRIが規定されることにより、KubernetesはDocker以外のコンテナランタイムを組み込み易くなっています。
このため、Red Hatが提供する OpenShift Container Platform では、Dockerよりも軽量なコンテナランタイムである、CRI-O をv4.0からデフォルトのコンテナランタイムに採用する予定です。

CSI(Container Storage Interface)とは

CSI(Container Storage Interface)とは、Kubernetesなどのコンテナオーケストレーションツールとストレージとの間のインターフェースの標準仕様であり、2018年11月にv1.0に到達しました。
CSIの策定が開始される以前には、外部ストレージを開発するベンダーがコンテナオーケストレーションツール側の内部構造を理解していなければならず、機能追加や修正を行う場合にはコンテナオーケストレーションツール側に手を入れる必要がありました。
これに対応するため、コンテナオーケストレーションツールとストレージのインターフェースの間の標準仕様を策定することにより、コンテナオーケストレーションツール側に依存せず、独立にストレージ側の機能追加や修正を行えることを目指しています。

CSIのアーキテクチャは以下の通りです。
スクリーンショット 2018-12-12 18.15.06.png
※引用: https://medium.com/google-cloud/understanding-the-container-storage-interface-csi-ddbeb966a3b

CSIでは、Kubernetes(コンテナオーケストレーションツール)側が、以下の3つのサイドカーコンテナを提供することになっています。

  • external-attacher: VolumeAttachmentオブジェクトを監視し、CSIエンドポイントに対してボリュームをノードにアタッチする命令を行います
  • external-provisoner: PersistentVolumeClaimオブジェクトを監視し、CSIエンドポイントに対してボリューム作成や削除の命令を行います
  • driver-register: CSI driverをkubeletに登録します

また、ストレージベンダー側は、以下の3つのサービスを実装する必要があります。

  • Identity Service: コンテナオーケストレーションツールがプラグインに対してCapability/Health/その他メタデータなどを問い合わせるために実装します。
  • Controller Service: ボリュームやスナップショットの作成・削除・一覧表示を行う機能を実装します。
  • Node Service: コンテナオーケストレーションツール側からボリュームをマウントする際に呼び出される機能を実装します。

CNI(Container Network Interface)とは

CNI(Container Network Interface)とは、CNCF(Cloud Native Computing Foundation)にホストされたプロジェクトの一つであり、コンテナがネットワークに接続するインターフェースの標準仕様とリファレンスプラグインを提供しています。
CNIは、コンテナが作成された際のネットワークの接続性の確保とコンテナが解放された際のリソースの解放を行っており、KubernetesやOpenShift Container Platformなどの様々なコンテナオーケストレーションツールで採用されており、デファクトになりつつあると考えられます。

※参考: https://kubernetes.io/docs/concepts/extend-kubernetes/compute-storage-net/network-plugins/#cni
※参考: https://docs.openshift.com/container-platform/3.11/architecture/networking/network_plugins.html

また、2018年12月時点ではバージョンが1.0に到達しておらず、今後も仕様変更があると考えられます。

CNIの基本的な動作原理は以下の図の通りです。
JSONフォーマットのネットワーク設定が標準入力として、 CNIの設定が環境変数としてプラグインへ渡され、ブラグインが渡された情報に基づいて命令を実行します。

スクリーンショット 2018-12-12 18.14.15.png

※引用: https://www.slideshare.net/weaveworks/introduction-to-the-container-network-interface-cni

CNIの標準仕様では、以下の4つがサポートすべきオペレーションとして決められています。

  • ADD: コンテナをネットワークへ追加
  • DEL: コンテナをネットワークから削除
  • CHECK: コンテナのネットワークが期待したものかチェック
  • VERSION: バージョンの確認

また、コンテナランタイムからブラグインへ渡されるネットワーク設定には、以下の内容を設定することができます。

  • cniVersion (string): CNI Specificationのバージョン
  • name (string): ネットワーク名
  • type (string): 実行するネットワークプラグインのファイル名
  • args (dictionary, optional): コンテナランタイムより与えられる追加情報
  • ipMasq (boolean, optional): IPマスカレードの設定
  • ipam (dictionary, optional): IPAM設定のための情報
    • type (string): 実行するIPAMプラグインのファイル名
  • dns (dictionary, optional): DNS設定のための情報
    • nameservers (list of strings, optional): DNSネームサーバのリスト
    • domain (string, optional): ローカルドメインの指定
    • search (list of strings, optional): サーチドメインのリスト
    • options (list of strings, optional): リゾルバに渡すオプションのリスト

さいごに

本記事では、コンテナの標準仕様について調査した結果を書いてみました。
全ての標準仕様について調査できたと思っていませんし、GitHubのSpecificationの内容をただ和訳するだけでは面白くないと考えたため、調査した4つの標準仕様について概要をまとめるに留めています。
もっと詳しい仕様を知りたい方は、以下の参考情報にそれぞれのリンクを貼っておきましたので、お時間のある時などにご確認ください。

参考情報

43
25
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
43
25

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?