事業会社でWebデザイナーをやっています、まみやんです。
デザイン系で何の本を読もうかな~とAmazonを巡回していたときに見つけたのがこちら。
“ハーバード・デザインスクール”のキーワードに惹きつけられて思わずポチりました。
タイトルは『デザイン思考の先を行くもの』
こちらの本は、ハーバード・デザインスクールで建築を学んだ著者が欧米と日本とで「デザイン」の捉え方が違うことに着目し、デザインとはなにかを紐解いていく本です。
実際に読んでみて量が少ないのでスラスラ読めてお手軽ですし、斬新なアイディアを生み出すにはこのような手法もあるのか、、驚かされました。読み終わってからTwitter検索しましたが、良書だといった感想がちらほらありますね。
良書。電通のCMプランナーからハーバードの大学院で建築を学ぶという変わった経歴の著者、だからこそ言えるデ...『デザイン思考の先を行くもの』各務 太郎 ☆5 https://t.co/8dbHjehT4Z
— Toshihiro Fukushima (@toshi_fukushima) 2018年12月14日
発想の型の紹介が端的にうまくまとめてある気もして良かったかもです。読み方次第かもだけど割と汎用的に応用が効く分野の話の気もするというか。
— ねこつかわれ (@sunaoh) 2018年12月8日
RT: デザイン思考の先を行くもの https://t.co/cW8WoG703e
今回も同様に読了して学んだポイントを整理していきます(ほぼ自分の脳内整理ですすみません)
デザイン=問題解決力(≠絵心、≠センス、≠クリエイティビティ)
デザインとは、センスに溢れ、見た目に美しい芸術的なものと捉えがちです。だけれども「おしゃれさ」はあくまでも結果論。デザインとは「問題解決」という目的の追求であり、その目的を究極的に突き詰めていくことで、結果的に、無駄が削ぎ落とされた美しいものができてしまうことがある、ということだと説かれていました。
デザインという単語を辞書で引いたときデジタル大辞泉で1,2をイメージするのが日本。3が欧米だそうです。
デザイン(design)
[名](スル)
1 建築・工業製品・服飾・商業美術などの分野で、実用面などを考慮して造形作品を意匠すること。「都市をデザインする」「制服をデザインする」「インテリアデザイン」
2 図案や模様を考案すること。また、そのもの。「家具にデザインを施す」「商標をデザインする」
3 目的をもって具体的に立案・設計すること。「快適な生活をデザインする」
出展:デジタル大辞泉(小学館)
辞書でもこのように分類されていることを初めて知りました。
また以下の記述もまた、ハッとされられました。
- 今日一日過ごして、一度もイライラしなかったとしたら危険信号。「使いづらい」「見づらい」「分かりづらい」この不便の一つ一つに、**「こうすればいいのに」**が必ずあるはず。
- 質の高い課題を発見し解決の糸口を提示することさえでき、簡単なポンチ絵が描ければ十分。美術系大学を出ている必要もイラストをかける必要もなく、センスは関係ない
デザイン思考は改善のためのツール(1→10)
デザイン思考においてPDCAを回すという表現は(プロトタイピングを回す)ことを指します。それは結局「消費者の求めるものを聞いてPDCAを回す」ことです。
iPhoneが2011年に発売されてから2017年のiPhoneXに至るまでアップル社はカスタマーから日々膨大な量のフィードバックを受け、次の新モデルに活かすべく啓発を進めています(もちろんそれ以外にも参考にしているものはあると思いますが) `P(商品開発)→D(発売)→C(カスタマーからのFB)→A(新機能の模索)→P(新商品開発)` 現状のプロダクトより、更に良いものを生み出すために仮説検証を繰り返して開発してく様は、1を10に磨いていくための手法です。「PDCAを回す」ことと、「イノベーションを起こしたい」「0→1を強化したい」は異なるもの。 確かに事業創造をする上でデザイン思考は必要ないのかもしれません。スペキュラティブ・デザインが面白い
終始こちらの本では、“デザインとは問題解決という目的の追求で生まれるものである”ということが強調されていました。さらには現在の問題解決だけではなく、「未来に起こり得るシナリオ」を提示し、私達に何ができるかを考え始めるキッカケを与えることもできる役割をもたせることもできる書かれています。
その一つがスペキュラティブ・デザインです。
スペキュラティブ・デザイン
デザインという視覚に強く訴えかけるツールを使って、今の世界の私たちにはない未来の視点からの問題提起を行うことで直近のアクションを促すための新しいデザイン思想
スペキュラティブ・デザインの一例として、現代アーティストのスプツニ子!さんの『生理マシーン、タカシの場合』が挙げられていましたが、"未来からの逆算的な思想をビジネスに応用するパターン”も紹介されていました。「生存に必要な栄養素が全て含まれ、従来の食事が不要となる」をコンセプトに掲げた完全栄養食を発売する soylentです。
※soylent公式サイトから引用
未来の食事は
- 健康を維持するための必須の食事
- 味を楽しむためのレジャーの食事
の2つに二分されるだろいうという想定のもと、プロダクトが作られ世界中で話題になりました。
その後日本でもCOMPやベースパスタなどが発売されるようになりましたね。
※comp公式サイトから引用
ハーバードデザインスクールが教えてくれた「個人の見立てる力」「未来からの逆算力」
未来の現在の延長と捉えるのではなく自分がどういう未来にしたいかとういう願望を研ぎ澄ます。その未来から逆算したとき、現在、この世界に何が必要になるか。それがデザインすべき答えである。
だとすると他人中心デザインではなく、自己中心デザインでいいのかもしれないですね。
この文章を読んだとき、自分の中でモヤモヤしていたものがストンと落ちたような感覚になりました。
見立てる力のトレーニング
0→1でアイディアを生み出すときの実践方法として以下の4つの手法が紹介されていました。
- ロールプレイング法
- 因数分解法
- ウォーリーをさがせ法
- ルーツトラッキング法
中でも料理のレシピ本を建築のレシピとみなしてみるなど目からウロコの発想方法が乗っており、勉強になりました。
この辺は本を読むと詳しく解説されているのでぜひ。
所感
今回Qiitaで触れなかったですが、この本で紹介されていた“枯れた技術の水平思考”や見立てる力のトレーニングは読んでいてなるほどなぁと感心させられる考え方で、切り口を変えてみるにはとても良い手法だと思いました。また、携帯電話を革新したいというビジョンをもったチームにノートPCの専門家を投入してiPhoneが生まれたという秘話を聞いて、異分野の専門知識をかけ合わせてアイディアを生み出したサービスについてもう少し詳しく調べてみたいです。
Airbnb,Snapchat,Pinterestの創業者がデザインスクール出身なのも、この本を読んで納得しました。起業を志しているのなら、0→1でアイディアを生み出す手法を学べる場所で勉学に励むのが最適なのかもしれません。起業=MBAという自分の概念がいい意味で崩されました(別にMBAが適切ではないというわけでもないと思いますが)
私は事業会社のWebデザイナーとしてサービスの改善点を上げるようにしていますが、デザイン思考のその先のことに関してはActionできていないのではないと気付かされました。この本を読み終えて、デザイン思考とその先の両方を考えられるデザイナーでありたいなぁと思った次第です。