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はじめに

こんにちは、mamiと申します。
エンジニアになって3年目になる今日この頃、リーダーを任せていただいたり、後輩育成にも携わらせていただいたりなど、少しずつエンジニアとして胸を張れるようになってきました。
しかし、エンジニア人生の最初の頃を思い返すと「自分なんかエンジニアに向いてないんだな」と痛感させられる日々でした。絶望感と自己嫌悪感だけがやたら成長していた時期ですね。
そんな私でもあの苦しかった時の経験があるからこそ、今の自分があるとも思っています。辛い経験がないに越したことはありませんが、その経験は間違いなく人を成長させます。

エンジニアは非常に心を蝕みやすい職業です。
もし今エンジニアとしての道やキャリアや、仕事のことで悩んでいる方がいたら、この記事を読んでクスッとでも笑ってくれたら嬉しいなと思いこの記事を書きました。
私のエンジニアになりたてのどん底だった時の話を読みながら、自分自身の悩みと重ねながら読んでいただけると嬉しいです。

※補足
ちなみにこの記事のタイトルは 森岡毅 さんの名著「苦しかったときの話をしようか」のオマージュをしておりますが、書籍の内容とは一切関連がありません。
ただ単純に好きなんですよね。。この本。。

プロローグ

若干話が暗いので、気分転換にchatGPTくんの生成した画像を挿入して紛らわしております。
画像のお陰でこの文章の重さが50%軽減される予定ですが、実際のところ軽減されるかどうかは気分次第です。

エアコンの風が静かに響く、薄暗いオフィスの片隅。
目を閉じれば、まるでホラー映画の冒頭のような雰囲気だが、実際にホラーなのは今のこの現状だ。
私は黙々とキーボードを叩きながら、なんとも言えない焦燥感に包まれていた。外の風景は夕陽が差し込む美しい景色なのに、この部屋だけが冷え切っているような気がする。

「これが、本当に目指していたエンジニアなのだろうか――」

未経験から飛び込んだエンジニアの世界。その最初の一歩は、思い描いていたような夢に満ちたものではなかった。

image.png

未経験からの挑戦

私はある時からエンジニアという職業に憧れていた。
プログラミングという技術を身につけ、自分の力で何かを生み出せる仕事。憧れだけでは食べていけないと分かっていたけれど、それでも挑戦したくて、独学で勉強を始めた。Udemyなどの講座を見ては「ヘー!こういうことね!」と3秒後に忘れる、そんな日々。

ようやく掴んだ現場はSESのプロジェクトだった。しかし期待とは裏腹に、その現場は私にとってあまりにも過酷なものだった。いやもう、ベタだけど“生き馬の目を抜く”ってこういうことなんだなと実感した。

経歴詐称という現実

「よろしくお願いします」

そう挨拶したその場で、私は冷や汗をかいていた。配属されたばかりの現場、緊張感漂う空気。配属時に会社から用意された私の経歴書には堂々とこう書かれていた。

経験:3年

……あぁ、3年ね。はいはい、たしかに3年という文字は見える。問題は、それが現実世界に存在しない架空の3年だということだ。
実際には、独学でやっとこさ個人開発レベルのアプリが作れるようになっただけで、Gitの使い方すら怪しい状態だった。それなのに「3年」とされたこの経歴書が、私を「中堅エンジニア」として現場に放り込んだのだった。

最初の「軽い修正」タスク

「この修正、お願いできるかな?軽い修正だから、すぐ終わると思うよ」
早速と言わんばかりにリーダーが笑顔で差し出したのは、仕様書とタスク内容が書かれたチケットだった。それを手に取った瞬間、頭が真っ白になった。

内容をざっと見たが、何が書いてあるのかさっぱり分からない。むしろ、何がわからないのかすらわからない。
「これが軽い修正なのか?」と内心でつぶやいた。軽いどころか、未知の世界に飛び込んだような感覚だった。

タスクには「既存システムのバグ修正と機能追加」と簡単に書かれていたが、その後に続く専門用語の羅列がもうホラー映画並みに襲いかかってきた。映画だったら一時停止できるけど仕事は一時停止させてくれないからつらい。
仕様書を読み進めるたびに、言葉の意味やその背景にある処理がぼんやりとした霧の中に隠れているように思えた。
「とりあえず既存コードを見てみよう…」と考え、ファイルを開いた瞬間に再び絶望が押し寄せた。
「なんだ…このコード量は…」

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何層にも分かれたディレクトリ構造、びっしりと詰まった関数やコメント。そして、複雑に絡み合った依存関係。噂には聞いていたが、実物は想像を遥かに超えていた。個人開発で書いてきた小さな "コード片" とは次元が違う。

「これ全部を読んで理解した上で、改修箇所を特定して、さらに修正を加えるのか…?」
その思いが胸を締め付け、キーボードに置いた手が止まった。

頭の中では混乱が渦巻いていたが、ただ座っているわけにはいかない。「何かしている」ふりをしないと不自然だ。少しでも周囲に違和感を与えれば、自分が分かっていないことがバレてしまう。そうなってしまったら終わりだ。そこで私は検索エンジンを開き、意味もなくキーワードを打ち込み始めた。

検索をしているふりをしながら、実際には周囲の視線を気にしていた。自分が足りていないことを知られるのが怖かった。「軽い修正」というリーダーの言葉が、今ではただの重い鎖のように感じられた。背中にはプレッシャーがのしかかり、額にはじんわりと汗が滲んできた。冷えたオフィスの空気が妙に肌寒く感じられ、しかしその寒さすら自分の不安を吹き飛ばしてはくれなかった。

眠れない日々

その日から、私の戦いが始まった。与えられたタスクをどうにかしてこなさなければいけない。しかし、底辺見習いエンジニア(仮)がどれだけ全力を尽くしても、目の前の壁はあまりにも高かった。今ではchatGPTという心強い味方がいるのだろうが、この頃はAIが出てくる少し前の話だ。

仕様書とにらめっこしながら、意味不明なコードの海に飛び込む。エラーが出るたびに心臓が跳ね、検索結果のどこにも答えがないことを知るたびに胃が重くなった。

誰かに聞こうにも、「そんなことも知らないのか」と思われるのが怖くて口を開けない。
初めての現場で何を聞いてよくて、何が聞いちゃダメなのかすらわからなかった。
ましてや未経験のエンジニアだということは絶対にバレないようにと会社にも念を押されていた。「バレたら終わり。バレたら終わり」。そう頭の中で反芻して言い聞かせる。

家に帰ってからも頭の中はその日のタスクのことばかりだった。「どうしてあれが動かないんだろう」「何が原因なんだろう」そんな考えがぐるぐると巡り、布団に入っても眠れない。スマホを手に取り、深夜の検索地獄が始まる。

「エラー メッセージ 意味」
「なぜ動かない」
「SES 経歴詐称」

次々と検索しては、答えにたどり着けないまま夜が明けていく。目の下のクマの成長速度だけはAIも目を見張るレベルだ。疲れ果てて会社に行けば、また同じようにエラーと向き合う日々が待っていた。

レビューという壁

そんな地獄のような日々をなんとか乗り越え
「タスク完了しました!」
そう報告したときのリーダーの顔を、今でも忘れられない。

一瞬ピクリと眉を動かした後、微妙な笑顔で「お疲れ様」と返してくれたが、その裏に漂う「なんでこんなに時間がかかった?」という空気が、はっきりと伝わってきた。

提出したプルリクには、すぐにレビューコメントがついた。
画面を開くと、真っ赤な指摘の嵐。指摘箇所がびっしりと並び、コメントには技術的なアドバイスから疑問、改善提案までが詰め込まれていた。

「この関数、もう少し短くできない?」
「このロジック、無駄に複雑じゃない?」
「このコードの意図は?」

結局、初めてのプルリクには100件を超えるコメントが追加された。
レビューというものが、こんなにも辛いものだとは知らなかった。
どこに100件の指摘をされる中堅エンジニアがいるのだろうか。いや、初心者のエンジニアだとしてもさすがに酷すぎる。

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レビューを読むたびに、情けなさがこみ上げる。
「自分って、やっぱりエンジニア向いてないのかな……」

「軽い修正」すらも満足にこなせない自分自身のレベルの低さ。
日に日に感じる現場の方たちの失望の表情。
エンジニアは実力がものを言う社会だ。実力なきものに人権はないのだと悟った。

終わらない地獄

それでも、タスクは待ってくれない。レビューの嵐を乗り越えて、ようやく修正が終わったと思ったら、次のタスクが手元にやってくる。「この修正もお願いできるかな?」リーダーが手渡してきた仕様書を見て、またしても頭が真っ白になった。

「これ、また“軽い修正”なのか?」

軽い修正という言葉が恐怖の呪文にしか聞こえなくなっていた。手を動かしても、どこから手をつければいいのか分からず、結局、検索エンジンに助けを求める。わずかな進捗のために膨大な時間を費やし、ようやく動いたと思ったら別のエラーが出る。この繰り返しだった。

隣の席では、先輩エンジニアが淡々とタスクをこなしている。周囲のキーボードを叩く音がリズミカルに響く中、自分のタイピング音だけがやけにぎこちない。「この現場に自分がいる意味なんてあるのだろうか」と何度も自問した。

次第に自分の心の中に大きな穴が開いていくのが分かった。周囲の誰もができて、自分だけができない。MTGで議論される技術的な話題に一切ついていけず、ただ黙って頷くだけの日々。現場にいる時間は、まるで別世界に迷い込んだような孤独感に包まれていた。

「もっと勉強しておけば良かった」
「なんで自分はここにいるんだろう」
「エンジニアなんて選ぶべきじゃなかったのかもしれない」

そう考えるたびに、次第に仕事に向き合う気力すら奪われていった。目の前のキーボードが遠くに感じられ、画面に映るコードがまるで意味を持たない文字列のように見えた。

日中は心が折れそうになりながらコードを書き続け、夜中は自分の出来なさを顧みて涙で枕を濡らす日々だった。

イージーモードを目指して

それでも、なんとか歯を食いしばりながら頑張り続けた。
せっかくあんなに頑張ってエンジニアになることができたのに、ここで諦めるのはあまりにも時期尚早すぎる。

とある知り合いの先輩エンジニアに現状を相談していたことがあった。
辛い現状を包み隠さず話すと、その先輩エンジニアは励ました上でこう言ってくれた。

「もし今のその状況を乗り越えられたなら、その先はきっとイージーモードだね」

ハッと気付かされた自分がいた。
たしかに自尊心など何もないこの現状を乗り越え、自分の力でタスクを難なく実装できるようになった時、今とは見違えるほど大きく成長しているだろう。
それはエンジニアとしての実力もそうだが、精神的な成長もあるだろう。
その言葉が今の私の原動力となってガムシャラに頑張り続けることができた。

努力のその先

そして半年が経った頃、私はようやく「タスクを完了する」という感覚を掴み始めていた。プルリクエストに山のような指摘が飛んでくることも減り、レビューでOKがもらえる頻度が少しずつ増えていった。初めて「指摘なしでマージしておくね」とリーダーに言われたとき、あまりに嬉しくて心の中で狂喜乱舞した。某アイドルのライブ並みに脳内ペンライト振りまくっていた。

振り返ってみると、成長のきっかけは少しずつ積み重ねてきた「小さな成功体験」だった。コードの一部が動いた、エラーの原因を自力で突き止めた、レビューで褒められた……それらの経験が、自分の中に少しずつ自信を育んでいた。

気づけば、かつて恐れていた「軽い修正」という言葉に、もう怯えることはなくなっていた。むしろその頃には、新機能の実装なども一人称でこなせるレベルにまで成長できていた。

もちろん、エンジニアとしての道はまだまだ長い。新しい技術が次々と登場し、学び続けることが求められる業界だ。だけど、あのどん底だった日々を乗り越えたことで、何が来ても「諦めない心」と「絶対になんとかする」という強い精神力、それに裏付けされた少しの実力を持てるようになった。

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それから数年後

あれから数年経って会社も変わり、担当するプロダクトのスケールや責任範囲も格段に大きくなった。振り返ってみると、あの頃の自分は「この先どうなるんだろう」と不安で押し潰されそうな日々を過ごしていた。それでも諦めずに耐え抜いた自分に、少しだけ「よく頑張ったな」と言いたい気持ちになる。

先輩エンジニアが言っていた「その先はイージーモード」という言葉は、確かに間違っていなかった。もちろん、今でも困難なタスクや厳しい納期、技術的な壁にぶつかることはある。だけど、あの頃のように「何がわからないのかもわからない」絶望感に比べれば、今の課題はただの障害物に過ぎない。回り道や試行錯誤を繰り返せば、必ず解決できるものだという確信がある。

そして何より、あの頃は全く感じることのできなかった「エンジニアという職業の楽しさ」をようやく感じられるようになった。タスクをこなし、コードが動く瞬間の快感。自分が作った機能がユーザーに喜ばれる瞬間の感動。それはすべて、涙で枕を濡らしたあの夜を乗り越えたからこそ手に入れたものだと思う。

今なら心から言える。「エンジニアになって良かった」と。

最後に

ここまで私の駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました!
この記事を読んでいるあなたが、もし今エンジニアとして苦しい思いをしているのなら、ぜひこの記事を読んで明日のエネルギーにしていただけたら嬉しいです。

「明けない夜はない」という言葉があるように、苦しい毎日がこの先もずっと続くわけではないはずです。
私もそうだったように、最初は誰もが迷い、立ち止まり、悩む。だけど、それを乗り越えたとき、きっと驚くほどの成長を実感できるはずです。

でも本当に心が折れそうな時は無理せず休んでください。心を壊してしまったら元も子もありません。

エンジニアという道は決して簡単ではないけれど、だからこそ乗り越えた先にある喜びも大きい。それは夜食のカップ麺が異様にうまいのと同じ原理だと思います。多分。
この記事を読んでいるあなたも、その一歩を進んでいけますように。

追伸:
でも平気で経歴詐称してくるSESはヤバめなので、遭遇したら一目散で逃げようね!

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