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LTSpice上で周波数重み付け特性A再現

Last updated at Posted at 2022-07-16

動機

オーディオ用途のアンプを設計するにあたり、周波数重み付け特性A(下図参照)をした雑音計算がしたくなった。

参考:日清紡マイクロデバイス(旧新日本無線)NJU72322データシートより抜粋
image.png

20kHz以上の可聴帯域外の成分を落とした上で計算された雑音のため、
LTSpice上で何もケアせずに雑音計算すると、見かけ上かなりノイジーなSIM結果が出てくる。
善し悪しの判断がしにくいため、今回模擬フィルタを作ることにした。

オーディオの規格については不案内のため、誤解が紛れ込んでいる可能性があるので
有識者には助言いただければ幸いである。

周波数重み付け特性Aとは

国際規格としては「IEC 61672-1 Electroacoustics - Sound level meters - Part 1: Specifications」に記されたレベル計(騒音計)の規格に示されたフィルタ特性。いわゆるラウドネス特性を反映した人の聴覚特性を再現するためのもの。
日本では、JISが同規格を参照している
「JIS C 1509-1 電気音響−サウンドレベルメータ(騒音計)− 第1部:仕様」 に実質的な同内容が記されている。
以後、JISを前提に話を進める。
今回は「表3−周波数重み付け特性及び受容限度値」に示されたAの特性をLTSpice上で気合で再現した。

再現結果

回路的には2次LPFと3次HPFの合成特性で再現できた。
概形だけならサクッと再現できるが、特性受容限度のクラス1に収めようとするとかなりシビアなチューニングを要した。
付属書Eの数式表現も見たが正直LTSpiceのラプラス応答に綺麗に落とし込めなかったのと、この人力チューニングの方が表3の特性と一致していると思う。
ただ、このパラメータを元に実機オペアンプでアクティブフィルタを組んでも
部品ばらつきで特性受容限度のクラス1に収めるのは厳しい気がする。
こだわるのであればデジタル的なチューニングが可能な形で測定系を組む方がよさそう。

image.png

image.png

ノイズ測定フィルタ影響確認

今回作成したフィルタを通すことで、ノイズ測定にどの程度の影響がでるか確認した。
秋月で買える5V単電源オペアンプAD8616でバッファアンプを組んでみた時の特性をSIMしてみた。

image.png

V(out)がオペアンプの生の特性、V(a-weight)がフィルタを通した時の特性。
1kHz以下と10kHz以上の伝達特性が結構落ちていることがよくわかる。
image.png

同じ回路で10Hz~20kHzのノイズをSIMした結果がこちら。
ざっくり2割減っている。

Total RMS noise
AD8616生出力雑音 1.1062uV
AD8616周波数重み付け特性A雑音 0.8756uV

終わりに

上述の人力チューニングで3時間ぐらいかけたので褒めてほしい。

元気のいいアンプだと1MHzぐらいまで帯域が伸びていたりするので
オペアンプの生のノイズと、人間の聴覚特性を踏まえたノイズとの乖離が大きくなっていくことは想像に難くない。

いい勉強になった。

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