こんにちは。株式会社EC-CUBE Innovationsの石田です。
少し前になりますが、経済産業省が毎年発表している「電子商取引に関する市場調査の結果(令和4年度)」が8月末に発表されていました。
(経済産業省サイト)
https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002.html
こちらは経済産業省が定点的に発表している電子商取引(EC)に関するデータです。年の瀬の現状把握?として、こちらのデータを考察していきましょう。
令和4年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)の市場規模は22.7兆円でした。令和3年(2021年)が20.7兆円、令和2年(2020年)が19.3兆円です。3年続けてBtoC-ECの市場規模が伸びていることになります。
右肩上がりのBtoC-ECの市場規模ですが、前年割れをした年がありました。2020年です。2018年が18.0兆円、2019年が19.4兆円と成長を続けてきたBtoC-EC市場が前年割れしたのです。理由はコロナ禍です。
コロナ禍のBtoC-ECは非常に特殊です。実はBtoC-ECの中でも物販系分野は市場が伸びています。コロナ禍による、非対面・ネット活用・巣ごもりが影響しているようです。
逆にコロナ禍によって大きく下落したのがサービス分野です。このサービス分野が何を指すかがポイントです。BtoC-ECサイトでの「旅行の予約」や「イベントチケット」の購入があたります。サービス分野は2019年の7.2兆円から、2020年には4.6兆円まで下がりました。
実は令和4年の22.7兆円の伸びを牽引しているのは、サービス分野のBtoC-ECなのです。
物販系分野は2021年の13.3兆円に対し、2022年は14.0億円。5.3%程度の伸びです。サービス分野は、2021年の4.6兆円に対し、2022年は6.1兆円と32.4%の伸びです。日本経済状況を考えれば、物販系分野の5%成長も優良と思われますが、サービス分野が戻ってきたのが、令和4年(2022年)ということになります。
しかし現実的に旅行やイベントが解禁されたのは令和5年(2023年)になってから。2023年のサービス分野はコロナ前の7.2兆円レベルまで戻るかもしれません。反動で物販系分野のBtoC-ECがどうなるのかが注目です。ECに携わっている私の感覚値としては、物販系分野は2022年に対して「横ばい、もしくは減」という印象です。
資料の中には詳細なデータも存在します。物販系分野のBtoC-ECにおける、各ジャンルのEC化率です。
「すべての商取引において、EC(電子商取引) の市場規模が占める割合」。これをEC化率といいます。2022年のBtoC-EC物販系分野の市場規模は14.0兆円。これはEC化率だと9.13%でした。日本の物販消費の9.13%はECでおこなわれたわけです。
物販系分野の各ジャンルのEC化率をみてみます。特にEC化率が高いのが「書籍・映像・音楽ソフト」です。EC化率は52.1%。電子書籍やオンライン配信など、圧倒的にEC化が進んでいます。2021年のEC化率は46.2%ですから、急カーブを描くようにEC化が進んでいると言えそうです。
他にEC化率が進んだジャンルを上げると「生活家電・AV機器・PC/周辺機器」です。こちらは前年38.1%から、42.0%に成長。家電量販店もECを起点にビジネスを組み立てなければいけない時代がきています。
様々データが出ていますので、ぜひ自社やお客様に関するデータを見てみてください。
(経済産業省サイト)
https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002.html