何が書いてある?

MacのPowerPointでAquaSKKの日本語切り替えができない問題の対策ついて書いてあります。

問題点

MacのPowerPointではCtrl+[何かのキー]にいくつかショートカットキーが割り当てられている。AquaSKKではCtrl+jで入力モードを「かな」に切り替えるのだが、同じショートカットをPowerPointも使用しておりバッティングしてしまう問題があった。

この問題は以前から報告されており、解決策もブログ等で紹介されている。(たとえばこちら)。

上のリンクにある方法を試してみたが、著者環境では解決できなかった。

著者環境

macOS Sonoma (14.2)
AquaSKK 4.7.5
Karabiner-Elements 14.13.0
Microsoft PowerPoint Ver. 16.83 (24031120)
自作キーボード (自作基板、HelixキーボードのQMKファームウェアを改造して使用)

報告されている解決策と状況が異なる点

著者環境では、PowerPointにおいてCtrl+jが改行に割り当てられていた(以前の報告では「段落を両端揃えにする」になっている)。

解決策通りにKarabiner-ElementsとAquaSKKのかな切り替えを設定しても、Ctrl-jで改行が入力されてしまった。

USでもJISでもない自作キーボードを使用しているためなのか、PowerPointのバージョンが上がったことによるもの(解決策は2021年のもの)なのか、原因はわからない。

新たな解決策

解決方法は以前のものと同様である:

Karabiner-ElementsでCtrl-jの入力を「別の入力」に置き換える
「別の入力」をAquaSKKのかな切り替えに割り当てる

以前の方法では「Ctrl-j」を「Ctrl-Option-j」に置き換えることで対処していた。しかし、著者環境では置き換え後の入力に「Ctrl-j」が含まれていると、PowerPointがそれを奪い改行が入力されてしまうようであった。

「Ctrl-Alt-0」の組み合わせは(おそらく)PowerPointでは使用されておらず、この組み合わせを著者は他のソフトで使用していないため、これを置き換え先にした。結果、PowerPointでCtrl-jを使ってかな切り替えができるようになった。

設定方法

Karabiner-Elementsの設定

Karabiner-Elementsの設定ファイル(~/.config/karabiner/karabiner.json)の"rules"に以下を追加し、PowerPointでの「Ctrl-j」の入力を「Ctrl-Option-0」に置き換える(一部抜粋):

karabiner.json

                "rules": [
                    {
                        "description": "Ctrl-j to Kana on PowerPoint",
                        "manipulators": [
                            {
                                "conditions": [
                                    {
                                        "bundle_identifiers": [
                                            "^com\\.microsoft\\.Powerpoint"
                                        ],
                                        "type": "frontmost_application_if"
                                    }
                                ],
                                "from": {
                                    "key_code": "j",
                                    "modifiers": {
                                        "mandatory": [
                                            "control"
                                        ]
                                    }
                                },
                                "to": [
                                    {
                                        "key_code": "0",
                                        "modifiers": [
                                            "control",
                                            "option"
                                        ]
                                    }
                                ],
                                "type": "basic"
                            }
                        ]
                    }
            },

念のため、設定変更後Karabiner-Elementsを再起動する。

AquaSKKの設定

AquaSKKのシステム全体のキーマップ設定をユーザーフォルダにコピーし、「Ctrl-Option-0」をかな切り替えに追加する:

1.キーマップ設定ファイルをコピー

cp /Library/Input\ Methods/AquaSKK.app/Contents/Resources/keymap.conf ~/Library/Application\ Support/AquaSKK

2.適当なテキストエディタでコピーしたkeymap.confのSKK_JMODEの行をSKK_JMODE ctrl::j||ctrl::alt::0とする

画面右上の入力モードアイコンから「設定ファイルの再読み込み」をクリックする。

余談

この問題は少なくとも2016年頃から発生している(著者が2016年にAquaSKKのGitHubのIssuesに書き込んだもの)。

ショートカットキーのカスタマイズ機能をつけてほしい、という要望をPowerPointのフィードバックに出したこともあるが、改善される気配はない。(Aqua)SKKはマイナーな入力方法なので仕方ないと思う反面、他のソフトとの組み合わせでも起こりうる問題なので、Microsoftさん、ぜひショートカットキーのカスタマイズ機能をお願いいたします。

MacのPowerPointでAquaSKKのCtrl+jが反応しない問題の対策(2024年版)