因果推論の連鎖経路の基本性質の証明をします。
連鎖経路1 とは次のような状態を示します:
X \rightarrow Z \rightarrow Y
このとき、次の内容が成立します1
\begin{align}
X \not\perp Y \\
X \perp Y | Z \\
\end{align}
参考書籍1でこちらの内容の証明はされていなかったため、こちらの内容の証明をしたいと思います。
1) XとYが独立でないことの証明
独立性の定義より、$P(X)P(Y),P(X,Y)$の関係性を調べる。
\begin{align}
P(X, Y) &= \sum_Z P(X, Y, Z) \\
&= P(X) \sum_Z P(Y|Z) P(Z|X)
\end{align}
加えて、$P(Y) = \sum_Z P(Y|Z) P(Z)$を加えると下記が成立する:
\begin{align}
& P(X)P(Y) - P(X,Y) \\
= & P(X) \sum_Z P(Y|Z)
\left\{
P(Z) - P(Z|X) \right\}
\end{align}
よって、 $\forall X, P(Z|X) = P(Z)$ であるとき $P(X)P(Y) = P(X,Y)$ となる。このとき、$P(Z|X) = \frac{P(X,Z)}{P(X)}=P(Z)$ であるため、これの成立は $Z \perp X$ であり連鎖経路と矛盾。
よって $X \not\perp Y$。
2) XとYはZが与えられた時の条件付き独立であることの証明
つまり $P(X,Y|Z) = P(X|Z)P(Y|Z)$ を示せばよい。
\begin{align}
P(X,Y|Z)
&= \frac{P(X,Y,Z)}{P(Z)} \\
&= \frac{P(Y|Z)P(Z|X)P(X)}{P(Z)} \\
&= \frac{P(Y|Z)\cdot P(Z|X)P(X)}{P(Z)} \\
&= P(Y|Z) \frac{P(X,Z)}{P(Z)} \\
&= P(Y|Z) P(X|Z)
\end{align}
よって、$X \perp Y | Z $である。
最後に
本記事があなたの役に立てば幸いです。
また、私主催ではありますが2025年5月現在、参考書籍1について輪読会をしています。ゆるく開催していますので興味ありましたら、XのDMやメンション等でご連絡ください。
今週の火曜日の21:00-22:00から毎週で因果推論の輪読会をする予定なので興味あれば連絡ください!(すでに諸々声をかけて何人か集まってます)
— のぞみ (@NozomiMaki2) May 10, 2025
条件はオーム社 金本拓さんの因果推論の本を持ってることです.
進め方は前準備なく参加できる方式で、その場で読んでいく形の予定です.