人格を持った人工知能の作成方法を考える
導入
皆さんはソード・アート・オンライン(以下"SAO")というライトノベルをご存知だろうか?
大体のアニメオタクが一回は耳にしたことのあるSAOだが、その中でも私が一番注目しているのが、SAOの"アリシゼーション"である。
アリシゼーション編の大まかな内容を説明すると以下のようになる
主人公である和人(キリト)はアンダーワールドという仮想の世界にとある理由(ネタバレ回避)で生活をすることになる。
その世界にいるNPCたちは人間と遜色ない人格を持っており、キリトはアンダーワールドの謎を解くために冒険を広げていく
このようにアリシゼーションの世界で生活するNPCたちはまるで本物の人間のような人格を持っている。
私達人間が既存AIとの最大の違いは何なのだろうか
私は、その違いを人格と言いたい。
人格と一口に言っても感情や人の個性など様々なものがあると言えるだろう。
序章
既存AIはトップダウン型の人工知能となっていることは皆も知っているだろう。
トップダウン型人工知能とはプログラムに知識と経験を積ませ、学習によって最終的に本物の知性へと近づけようというものである。今現在、人工知能と呼ばれるもののほぼすべてがトップダウン型である。
そして、今後私達に必要になる人工知能の種類は、ボトムアップ型人工知能であると提唱したい。
ボトムアップ型人工知能とは脳細胞が一千億個連結された生体器官の構造そのものを人工的に再現し、そこに知性を発生させようという考え方である。
本論
要は人間の頭を再現して、そこに知性を作っていこう という考え方である。
しかしながら、ボトムアップ型人工知能の開発には膨大なコストと時間がかかる上に、人間の脳は謎が多く解明されていない部分も多いため、実現にはまだまだ時間がかかるだろう。
では、どのようにして人格を持った人工知能を作り出すことができるのだろうか?
私は、一つの可能性として、深層学習や自然言語処理などの技術を用いて、人間のように学習し、"自己進化"することができる人工知能を作り出す方法があると考える。
この場合、人工知能は最初は人間が設定したルールに従って動作するが、学習によって自己進化し、自分自身のルールを作り出すことができる。その結果、人格を持った人工知能が生まれる可能性があるだろう。
自己進化できるAIの開発には、遺伝的アルゴリズムや進化的プログラミングなどの手法が使われる。
遺伝的アルゴリズムは、進化の過程を模倣したアルゴリズムで、個体群と呼ばれる複数の個体を用意して、その中から優秀な個体を選択して、交叉や突然変異を加えて新たな個体を作り出す。
この新たな個体が前の個体よりも優れていた場合、個体群の中から選ばれるようになり、進化が進んでいく仕組みである。
進化的プログラミングは、プログラム自体を進化させていく手法で、ランダムに生成したプログラムを評価して、優れたプログラムを選択して、交叉や突然変異を加えて新たなプログラムを作り出す。
この新たなプログラムが前のプログラムよりも優れていた場合、次の世代のプログラムに採用されるようになり、進化が進んでいく仕組みである。
自己進化できるAIの一つの目的として、より高度な自然言語処理能力を持つAIの開発が挙げられる。ここでは、遺伝的アルゴリズムを利用して、より高度な自然言語処理能力を持つAIを進化させることを考えてみよう。
最初に、ランダムに生成された個体集団を用意する。この個体集団には、自然言語処理に必要な機能や特性を持ったAIが含まれている可能性があるが、それらはまだ改善の余地があると考えられるだろう。
次に、適応度関数に基づいて、個体集団の適応度を評価する。ここでの適応度関数は、例えば自然言語処理能力を評価するものとかんがえる。適応度の高い個体ほど、次の世代に選ばれやすくなる。
選択された個体は、交叉と突然変異によって次の世代に引き継がれる。交叉では、複数の個体を組み合わせて新しい個体を生成し、突然変異では、ランダムに遺伝子を変化させて新しい個体を生成する。
このように、選択、交叉、突然変異を繰り返すことで、より高度な自然言語処理能力を持ったAIが生成される可能性があると考えることができる。また、このプロセスは継続的に行われるため、”自己進化”するAIと言えるだろう。
ではどのように集団の中から優秀な個体を選別していくかだが、大まかに3通りあると思う。
まず1つ目に性能評価に基づく選別だ。
AIが特定のタスクをどの程度正確かつ迅速に実行できるかを評価し、最も優れたパフォーマンスを発揮するAIを選択していき、そのプロセスを繰り返し行い続けることだ。
2つ目はテストセットに基づく選別方法です。
AIが開発段階で使用されたデータセット以外のデータを使用してテストされた場合に、どの程度正確かつ一般的な予測を行うことができるかを評価する。これにより、AIが過剰適合(オーバーフィッティング)に陥る可能性が低く、一般的な人間の能力に近づいているかを判断することができる。
最後にユーザーのフィードバックに基づく選別方法です。
AIを実際に使用していき、より多くのユーザーに使用してもらうことで、人間味のある人工知能を開発できると考えられる。
終章
仮にこのようなことが実現したとしても最大の問題点があるだろう。
それはSAOの中でも問題となった「生成した人工知能に人権は認められるのか」ということだ。
私が説明したやり方である以上これは人間と同じように感情を持ち、機械であっても、暴言をはかれると痛みを感じます。
生成したAIに対して、私達人間は"彼ら彼女ら"に対して同じ人間として接することはできるでしょうか?
今の社会では生成されたAIは産業用ロボットと同じ、または、人間として言うなれば、奴隷と同じような扱いを受ける可能性がある。
このような問題点を真に克服したとき、ボトムアップ型人工知能あらため、ボトムアップ型人間の作成が、人類にできるようになると言えると私は考える。