はじめに
Power Automate Desktop において、ガバナンスのためいくつかの機能や設定が提供されています。
今回はこの中から「ユーザーが Power Automate Desktop を手動で更新できないようにする」設定についての設定方法とその検証結果を記載します。
※注意 本記事では、レジストリの変更を伴う作業を扱います。
本記事の内容をお試しいただいた場合に発生する影響について、一切の責任を負えませんので、すべてご自身の責任のもとお試しください。
レジストリの変更前は必ずバックアップを取得してください。
概要
今回、検証する「ユーザーが Power Automate Desktop を手動で更新できないようにする」設定は、以下の公開情報の内容を参照しています。
以下に説明を抜粋します。
ユーザーが Power Automate Desktop を手動で更新できないようにする
次のレジストリ エントリを使用すると、ユーザーが自分のマシン上で Power Automate Desktop を手動で更新するのを防ぎ、更新通知を受け取ります。
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|:-|:-|
| Hive | HKEY_LOCAL_MACHINE |
| キー | SOFTWARE\Microsoft\Power Automate Desktop |
| 件名 | DisableOptionalUpdates |
| 型 | DWORD |
DWORD 値
1: ユーザーは手動で Power Automate Desktop を更新できません。
本設定は、上述のレジストリ値を設定することで有効になるようですので、実際に有効にしてみて動作がどのように変わるかを検証してみます。
また、組織として本設定を有効にする場合は、Active Directory のグループ ポリシーで配信して設定することが想定されますが、この記事では、レジストリエディタから設定を行います。
設定の検証
1.設定前の画面
レジストリの設定前の Power Automate Desktop のフローコンソールの画面を見てみます。
以下の通り、更新の確認や通知機能が表示されています。
なお、"更新プログラムの確認" を押下し、適用可能な最新のプログラムがある場合は、以下のメッセージが表示され、この画面からアップデートを行うことができます。2021/9 以降はインストーラーからのインストールが不要になりました。
2.レジストリの設定
”ユーザーが Power Automate Desktop を手動で更新できないようにする” 設定のレジストリを設定します。
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"Microsoft" の階層に、"Power Automate Desktop" のキー (フォルダー) を探します。キーが無い場合は、”Microsoft” を右クリックして、"Power Automate Desktop" キーを作成します。
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今回追加する ”DisableOptionalUpdates” は、DWORD 型なので、"DWORD 型 (32 ビット値)" を追加します。
3.設定後の画面
設定後のフローコンソールの画面を見てみます。
以下の通り、更新の通知機能が非表示になりました。
”更新プログラムの確認” ボタンも無くなりますので、Power Automate Desktop 上からの更新は抑止される動作となります。
4.インストーラーからアップデートは可能なのか
こちらは、2021年10月1日時点では可能です。
Power Automate Desktop のサイトから、インストーラーをダウンロードして、インストーラーをダブルクリックすると、インストール (アップデート) を行うことはできます。
今後のこのインストーラーを使用したアップデートもレジストリにより抑止されるのかは不明です。
しかし、一般的な更新の導線になるのはインストーラーではなくて、フロー コンソール上の "更新の確認" 機能になりますので、多くのパターンは今回のレジストリの設定から抑止できるのはではないかと思います。
まとめ
Power Automate Desktop の 2021 年 9 月の機能追加で、Power Automate Desktop のアップデート機能が追加されました。
このアップデート機能を使用することで、Power Automate Desktop のアップデートがワンタッチで更新ができるようになり、大変便利になったと感じています。
しかし、組織によっては特定のバージョンで利用してもらうためにユーザーによるバージョンアップを抑止したいケースもあるかもしれません。
今回の機能では、完全にバージョンアップを抑止することはできませんが、アップデートのため導線が限定されることで、ある程度の抑止は実現できるものと思います。