はじめに
Power Automate for desktop で、ブラウザーの操作を行う際に、以下のメッセージが表示されることがあります。
Chrome を制御することができませんでした。(ブラウザーとの通信ができませんでした。拡張機能の再読み込みを行ってください。)
Edge を制御することができませんでした。(ブラウザーとの通信ができませんでした。拡張機能の再読み込みを行ってください。)
これらのメッセージが表示された場合、その後のブラウザー操作が行えない状態となります。
本記事では、このメッセージが表示された場合の対処策について、Microsoft の公開情報や Power Automate Community に投稿されていた内容をもとにまとめるものとなります。
前提事項
・この記事では、トラブルシューティングを目的とした内容であり、事象発生の明示的な要因をもとに対処するものではありません。必ずしも有効な対処策とはならない可能性があります。
・本記事の対象は、Microsoft Edge と Google Chrome です。
・PAD はクラウド上 (個人用 OneDrive または、Microsoft Dataverse ) にフローが保存されているため、端末側の設定を変更した場合もフローには影響が無いことが想定されますが、必要にフローの応じてバックアップを検討してください。
免責事項
本記事の内容をお試しいただいた場合に発生する影響について、一切の責任を負えませんので、ご自身の責任のもとお試しください。
主に PAD やブラウザーのバージョンが関わる対処については、ご利用環境に基づきリスクの有無を検討のもと対処していください。
最初に確認したいこと
PAD のバージョンが、Ver 2.27 以降は Chrome および Edge は Manifest V3 に対応した Power Automate 拡張機能が必要です。
Ver 2.26 以前は Chrome および Edge は Manifest V2 に対応した Power Automate 拡張機能 (Power Automate レガシ)が必要です。
バージョン情報は、フロー コンソールの [ヘルプ] から確認することができます。
この拡張機能の違いについては、以下の記事でまとめています。
対処策について
事象発生頻度に応じて、必要となる対処が異なる可能性があります。
以下は発生状況ごとに有効と考えられる対処となります。
まったく使えない場合
拡張機能の設定や PAD のバージョンが影響している可能性が考えらえます
1.拡張機能がインストールされているか
ブラウザー拡張機能は、ブラウザー操作で必須となるためこちらが間違いなくインストールされているか確認します。
以下のリンクに各ブラウザーでアクセスし、[インストール] と表示されている場合はインストールを行います。(削除と表示されている場合は、インストール済みです。)
ブラウザー | Ver 2.27 以降 (マニフェスト V3) | Ver 2.26 以前 (マニフェスト V2) |
---|---|---|
Edge | リンク | リンク |
Chrome | リンク | リンク |
2.拡張機能が有効化されているか
拡張機能が有効化されているか確認します。それぞれのブラウザーのアドレス バーに以下を入力して拡張機能の管理画面にアクセスし、有効化されていない場合は、有効に設定します。
edge://extensions/
chrome://extensions/
3. 拡張機能の削除および再インストール
拡張機能が有効化されている場合でも事象が発生する場合は、一度拡張の機能の削除と再インストールを行います。
4. ブラウザーのキャッシュをクリアする
ブラウザーのキャッシュが影響している可能性があるので、キャッシュをクリアします。
Edge の場合は、アドレス バーに以下を入力して [閲覧データをクリア] をクリックします。
edge://settings/privacy
時間の範囲を "すべての期間" とし、"Cookie ~" と "キャッシュ ~" の 2 つのチェックを入れて [今すぐクリア] を選択します。
Chrome は、以下の手順で設定します。
https://support.google.com/accounts/answer/32050
5. ブラウザーの最新化を行う
ブラウザーのバージョンが影響している可能性がありますので、しばらくアップデートしていない場合などアップデートで解消するか確認します。
それぞれのブラウザーのアドレス バーに以下を入力して、最新化をします。
edge://settings/help
chrome://settings/help
6.PAD の再インストールの実施
PAD は、Microsoft Store 版と MSI インストーラー版があり、異なるインストーラーでインストールしなおすことで解消されるか確認します。
最新版がインストールされている場合でも、一度アンインストールして、再インストールで解消されるか確認します。
-
設定 > アプリ > インストールされているアプリから確認できる Power Automate 関連のアプリをアンインストールします。
(ちなみに Power Automate が Store 版、Power Automate for desktop が MSI 版です。)
-
以下のリンクに記載の手順で MSI 版 または Store 版をインストールします。
特に PAD の Ver .2.27 では、Store 版でこの事象が発生するという声がいくつかあったので、バージョンが該当する場合は MSI 版でインストールします。
7. 拡張機能のバックグラウンド起動を無効化する
Power Automate コミュニティの投稿で、拡張機能の起動の設定を変更することで回避できたという投稿もありました。
PAD 以外の拡張機能の動作にも影響がある可能性がありますが、一時的な切り分けとして試すことを検討ください。
また、設定変更後、一度ブラウザーを終了することやログオフしすることで変化があるかもしれません。
それぞれのブラウザーのアドレス バーに以下を入力して、設定画面にアクセスします。
edge://settings/system
chrome://settings/system
<参考>
8. 開発者モードの有効化を行う
同じ Power Automate コミュニティの投稿で、開発者モードの有効化を行うことで回避できたという投稿もありました。
こちらも、設定変更後、一度ブラウザーを終了することやログオフしすることで変化があるかもしれません。
それぞれのブラウザーのアドレス バーに以下を入力して、設定画面にアクセスします。
edge://extensions/
chrome://extensions
9. 他の拡張機能を無効化する
他の拡張機能の動作がバッティングしていないかの確認として、一時的に PAD の拡張機能以外を無効化してみます。
10.以前のバージョンの PAD を利用する
最新バージョンをインストールしたことが契機で事象が発生した場合は、以前のバージョンに PAD を再インストールすることで、解消できる場合があります。
以前のバージョンのインストーラーを遡ってダウンロードする方法は現時点では無いため、手元に以前のバージョンの PAD のインストーラーが残っている場合は、現在インストールされている PAD をアンインストールし、インストールして解消するか確認します。
時々使えない場合
主にクライアント PC 側の不調が考えられます。
上記の対処が有効になる可能性がありますが、解消しない場合はフロー側で対処します。
公開情報にフロー側の対処策について説明があるので、実装することを検討します。
将来に向けて今からできる対応について
上記の対応で回避できた場合も PAD のバージョンアップを契機に異なる要因で発生する場合や端末の入れ替えにより発生する可能性があります。
発生の際には上記の対処を実施するとともに情報収集や事前にできる対応を進めることを検討します。
コミュニティで類似の情報を確認する
Power Automate Community で直近で同様の投稿が無いか確認します。英語のサイトですが、この事象についても多くの投稿やコメントがあります。(エラーメッセージを英語で検索すると見つけやすいです)
また、投稿することでコメントが集まるかもしれないので、その内容をもとに解決を目指します。
2~3 世代前の PAD のインストーラーを保存しておく
上記の通り PAD のバージョンアップが契機になっている場合は、以前のバージョンに戻すことで回避できる可能性があります。
そのためには、インストーラーを手元に残しておく必要があるので、以下のリンクから月 1 回程度ダウンロードしておくと安心です。
(クリックするとダウンロードが始まります。)
リリースノートを確認する
もし特定のバージョンの問題で事象が発生している場合は、その後のバージョンで解消されることが期待されます。
PAD の不具合の修正については、リリース ノートに記載されることがあることので、随時確認します。
以下の公開情報の All Power Automate Desktop versions > Build に各バージョンのアップデート内容へのリンクがあります。