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IPv4アドレスはどうして今でももらえるの?

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概要

新しくVPSをレンタルすると今でもIPv4アドレスが割り当てられて使えます。IPv4アドレスの割り振りは2011年に終了しているのに、2016年の今でもIPv4アドレスが使える理由をさくらVPSを例にとって話します。

IPv4アドレスの疑問

2016年5月にさくらVPSを使い始めて、当たり前ですがIPv4とIPv6の両方のIPアドレスが割り当てられました。改めて考えるとどうして未だにIPv4のIPアドレスがあるのでしょうか。IPv6が登場したのは何年も前のことですが、IPv4アドレスはまだ余ってるのでしょうか。

IPv4アドレスの分配状況

IPv4アドレスは 0.0.0.0 - 255.255.255.255 まであり、約43億個(8ビット×4)あります。図1はIPv4アドレスの分配状況の推移を示していて、縦軸は各RIR(地域インターネットレジストリ)に割り当てられたアドレス[/8ブロック(=約1,670万個)]で、横軸は時間です1

IPv4アドレスの割り振りの推移
[tc]図1 IPv4アドレスの割り振りの推移[/tc]

未割り振り分である茶色の領域が2011年初頭になくなっいることがわかります。2011年以降、アジア太平洋地域のRIRであるAPNICが割り振られたアドレスは45[/8ブロック]です(水色の領域)。45[/8ブロック]は約7億5,000万個(1,670万×45)です。日本のNIR(国別インターネットレジストリ)であるJPNICはAPNICが割当たられたアドレスの一部を管理しています。

図2はJPNICが管理しているIPv4アドレス数の推移です。2011年4月以降、APNICから新たにアドレスを割り振られることはなくなったので、約9,600万個で頭打ちしています2。日本国内のIPv4アドレスのリソースは9,600万ほどしかありません。

日本国内で使用できるIPv4アドレス数の推移
[tc]図2 日本国内で使用できるIPv4アドレス数の推移[/tc]

JPNICは割り振り終了について次のように書いています3

2011年4月15日には、アジア太平洋地域のRIR(地域インターネットレジストリ)であるAPNICにおいても、通常の申請により割り振り可能であるIPv4アドレスの在庫がなくなり、アジア太平洋地域は、いわゆる「IPv4アドレス在庫枯渇」の 状態となりました。JPNICでは独自のアドレス在庫を保有せず、APNICと共有しているため、APNICでの通常割り振り終了に伴い、JPNICでの通常の割り振りも終了しました。

JPNICは日本国内のIPアドレス管理指定事業者(IP指定事業者と略します)に9,600万個すべてのIPv4アドレスの割り振りを終えており、新しく割り振れるアドレスは何もありません。

IP指定事業者間でIPv4アドレスの移転

そうすると、私が借りたばかりのさくらVPSのIPv4アドレスはどこから来たのでしょうか。もう5年も前に全てのアドレスの割り振りは終わっていますし、全部で9,600万しかありません。

JPNICが公開しているIPアドレス管理指定事業者リストによると、JPNICと契約しているIP指定事業者は2016年5月時点で412社あり、さくらVPSサービスを運営しているさくらインターネット株式会社もその内の1つです。

IP指定事業者の間でIPv4アドレスの移転をしていて、さくらインターネットも他のIP指定事業者からIPv4アドレスを購入し、IPv4アドレスを確保しています。IP指定事業者間のIPv4アドレス移転の履歴はJPNICが公開しています。移転履歴から計算すると、さくらインターネットは2011年から2016年までの5年間に約58万個のIPv4アドレスを取得しています。

私が借りているさくらVPSに割り当てられたIPv4アドレス(153.126.x.x)もこの中にありました。さくらインターネットはIPv4アドレス移転制度を使い、他のIP指定事業者から何らかの理由で使われていないIPv4アドレスを集めています。そうして新たなVPSユーザーなどにIPv4アドレスを割り当てています。さくらインターネットに限らずGMOインターネット等の他の通信業者も同様です。

結論

IPv4アドレスの全体の数は約43億と変わることがなく、各国への割り振りも2011年に終了しています。さくらインターネットはアドレス移転制度を使い、過去5年間で約58万個のIPv4アドレスを集めて、それらを新規のユーザーに割り当ててます。私が借りたVPSに割り当てられたIPv4アドレスも過去にさくらインターネットがアドレス移転制度で取得したものでした。

おわりに

RIRを超えたアドレス移転も行われていますが(例えばアメリカから日本へなど)、全アドレス数は32ビット(約43億)と有限なのでいつかアドレスが本当に足りなくなる時はきます。現在は、使われていないアドレスなどをアドレス移転で確保して、新たなVPSユーザーに割り当てたりとアドレスの有効利用をしつつ、IPv6に移行している過渡期だということが分かりました。IPv6への移行の具体的な進捗度などが気になりますので、今後調べるかもしれません。

  1. 地域インターネットレジストリ(RIR)ごとのIPv4アドレス、IPv6アドレス、AS番号配分状況 - JPNICより引用

  2. IPアドレスに関する統計・各種リスト - JPNICより引用

  3. IPv4アドレスの在庫枯渇に関して - JPNICより引用

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