この記事は Autify Advent Calendar 2021 16日目のエントリです
はじめに
こんにちは!
ノーコードで E2E テスト自動化を実現するプラットフォーム Autify でカスタマーサクセスリードをやっている佐藤です。
2019年9月に Autify に1人目のカスタマーサクセスエンジニアとして入社して以来、カスタマーサポートとカスタマーサクセス業務を担当するチーム(以下 CS チーム)の立ち上げを牽引してきました。
プロダクトとしても組織としても日々著しく成長を続ける Autify のような環境では、変化の速度がはやすぎてうっかりすると成長痛に負けてしまう可能性があります。
成長痛を乗り越えていける推進力の高いチームであるために、 Autify の CS チームでは誰かの指示がないと動けないようなチームではなく、状況に合わせて自律的に判断し行動しやすいようなチームであるように努めています。
「自律的」と言っても、てんでバラバラに判断・行動をするというのではチームの生産性向上や推進力強化には繋がりません。自律的に適切な判断や行動を起こすためには、チーム内でチームの強みや弱みを適切に認識し、目的意識や方向性について合意している必要があります。
このエントリでは、そんなチームの実現のために実施している取り組みの一部を紹介します!
KPT
実施タイミング : 2週間に1回 (変化が激しい時期は週1開催のことも)、イベントなどのタイミングで随時
目的 : チームのパフォーマンス向上・認識の共有・懇親
所要時間 : 1時間〜1時間半
- Keep = 良かったこと
- Problem = 悪かったこと
- Try = 挑戦したいこと・次にやりたいこと
に沿って振り返りを実施するフレームワークです。
推進力を高めていくためにはPDCAサイクルを回し続けることが大切だと考えており、そのために KPT を活用しています。
うまく成果に結び付けられないという声も耳にすることがありますが、AutifyのCSチームでは3人目の仲間が入社した直後から定期的に実施しており、後述の工夫をすることで、
- 良いところ悪いところにちゃんと気付きチーム内で共通認識を形成する
- 良いところはどんどん伸ばす
- 悪いところは可能な限り早く改善する
と効果を発揮しています。
振り返り自体を振り返るときにも使っています。
KPT 実施のコツ
基本的な流れは以下の通りです。
- Keep と Problem を付箋に書き出す (5分)
- 書き出した内容を他の人にシェアする (3〜5分 x 参加人数)
- 前回の Try の内容を確認する (5分)
- 今回の Keep や Problem に対する Try を考える (30分〜1時間)
実施時に特に意識しているのは
チームで Try を考える
ということです。
KPT がうまくいかないという現場でよく見かける光景として、 KPT の時間が個人の KPT の共有会になってしまっているというのがあります。
書き出し時点で Try まで考えてシェアするやりかただと、
「Xという問題があったのでYします」
と個人の意見で完結してしまいがちで、これでは業務報告会と変わりがなくなってしまいチームの改善に繋がりません。
そうならないための工夫として、
付箋書き出しとそのシェアをする時間では敢えて Keep と Problem のみ、 Try に触れない
という点を徹底しています。
また、 Keep, Problem を漫然と共有するのではなく、共有しながら似たニュアンスの付箋がないか意識を配り寄せ集めていくことで、密度が高い話題や、良い面も悪い面もある話題を可視化するようにしています。
その他にも以下の4つのポイントを意識して実施しています。
-
Keep, Problem には個人的な事柄も積極的にあげる
- 一見個人的な事柄と思われる内容でも、実はチームに活かせたり他のメンバーの参考になることは結構あります。
- 個人的な Keep をチームの Keep にできないか、個人的な Problem をチームで解決できないか考えるようにします。
- フルリモート勤務で雑談が減っているということもあり、懇親効果もアリ。
- 例: 英語力がなかなかのびない→XXってアプリが良かったよ など
-
密度の高い話題と Keep の Try を優先的にチームで考える
- 全てに対し Try を出そうとしない。薄っぺらい Try をたくさん出すよりも、優先度の高い話題についてしっかり議論することを重視します。
- 付箋が集まっている密度の高い話題はチーム全体の関心が高い話題なので取り組む優先度が高いことが多い。
- 「良かったこと」がそれで終わってはもったいない!単発で終わらせずに継続させられないか、更に良くできないかを考えるのもチームにとって大切なことです。
-
Tryの担当を決める
- Try が実行されないというのも KPT がうまく行かない現場でよく見る光景。
- KPT は Try を遂行するところまでが KPT!開催して満足してはダメ!
- Try を宙に浮かさないために担当を決めること。
- ※チームの自律性が高まってくると各自で自発的に拾うようになるのでKPTの時間内で担当を決めなくても宙に浮きづらくなってきます。
-
「やらない」系の Try もアリ
- Try というと「何かやること」を挙げないといけないと思いがち。
- 「この件のTryは今はやらない」といった「やらない」系の Try もチームの合意形成の意味があります。
Movie Critic
実施タイミング : 各Qの終わり
目的 : 各メンバーの視点の差を認識する・懇親
所要時間 : 1時間〜1時間半
時系列に沿って映画に見立てて振り返ることで、各自の認識の差を確認するのに良い振り返りフレームワークです。
こちらのnoteを参考に実施しました。
Movie Critic 実施のコツ
1週間などの短期間よりも四半期など、一定の長さのある期間を対象にしたほうが効果を発揮するフレームワークです。
時系列に沿って振り返るというものなので、参加者には事前に対象期間にどんなことがあったか軽くでも思い出しておくようにお願いしたほうが開催時にスムーズに進行できます。
Movie Critic の面白さは、同じチームの一員として日頃の業務に取り組んでいても、見えている景色や受け止め方に意外と差があるということに気付けることにあります。
違っているところ・同じところを確認し、それを踏まえて次の四半期にどんなことをしたいかを考えるために四半期の終わりに実施するようにしています。
以下は初めて実施したときの記録です。
チームのインセプションデッキ
実施タイミング : チームのメンバーが増えた、チームの方向性が変わった、など
目的 : チームの期待値のすりあわせ・チームとしてやるべきことやるべきでないことの合意形成
所要時間 : 2時間〜3時間
通常プロジェクトについて、目的、背景、方向性などを明確にし認識をすりあわせるために実施することが多いフレームワークですが、その内容を少し変更してCSチームの目的、背景、方向性について明確にする目的で実施しました。
チームのインセプションデッキ実施のコツ
詳しくはCSチームのインセプションデッキつくってみた | Autify Blogをご参照ください!
キックオフ
実施タイミング : 期初
目的 : チームのOKRの確認・OKR達成のための大まかな方針や分担など道筋を立てる
所要時間 : 1時間
Autify の公用語は英語で、全社の MTG は英語で実施されます。期初に実施される前の四半期の振り返りと次の四半期の目標や取り組みを共有する MTG も例外ではありません。
しかしながら話す方も聞く方も英語がネイティブばりにできる!というわけではないということもあり、 Autify の CS チームでは全社 MTG での共有だけで良しとせず、チーム内キックオフを開催することで細かいニュアンスまで認識を合わせるとともに、期初の時点でチームの大まかな方針や、大きな流れの中で誰がどのあたりを担当するかといった道筋を検討しています。
さいごに
Autify の CS チームではこういった取り組みを通じて、チームをより良くするための施策を議論して合意形成しどんどん実行しています。
チームの改善で苦労されている方の参考になったら嬉しいです。
もっと良い方法がある、こんなところで困ってるなど、ご意見・ご相談のやりとり歓迎してます。
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