map, each, inject, each_with_objectの使い分け

1. map - 配列の変換に特化

mapメソッドは、配列の各要素を新しい値に変換して、新しい配列を生成。元の配列は変更されず、変換後の新しい配列が返される。

numbers = [1, 2, 3]
doubled = numbers.map { |n| n * 2 }
# => [2, 4, 6]

names = ['john', 'jane', 'bob']
uppercased = names.map(&:upcase)
# => ['JOHN', 'JANE', 'BOB']

使用すべき場面：

・配列の各要素に同じ処理を適用して変換したい
・元の配列と同じ長さの新しい配列が必要

2.each - シンプルな繰り返し処理

eachは最もシンプルな繰り返し処理を行うメソッド。各要素に対して処理を実行、戻り値は元の配列。

numbers = [1, 2, 3]
numbers.each { |n| puts n }
# 出力:
# 1
# 2
# 3
# => [1, 2, 3]  # 戻り値は元の配列

users = ['John', 'Jane']
users.each do |user|
  puts "Hello, #{user}!"
end

使用すべき場面：

・各要素に対して単純な処理を行いたい
・表示やログ出力など、副作用のある処理を実行したい
・戻り値が不要な処理を行う

3. inject - 値の集約

injectは、要素を順番に処理して1つの値にまとめる。累積的な計算や要素の集約に適している。

# 合計値の計算
numbers = [1, 2, 3, 4]
sum = numbers.inject(0) { |result, n| result + n }
# => 10

# 文字列の連結
words = ['Hello', 'World']
message = words.inject('') { |result, word| result + word + ' ' }
# => "Hello World "

# 最大値の検索
numbers = [3, 7, 2, 9, 4]
max = numbers.inject { |max, n| max > n ? max : n }
# => 9

使用すべき場面：

・配列の要素を1つの値に集約したい
・合計、積算、最大値/最小値の計算
・要素を順番に処理して結果を蓄積する

4. each_with_object - オブジェクトの構築

each_with_objectは、繰り返し処理をしながら任意のオブジェクトを構築できる。特にハッシュの作成や複雑なデータ構造の構築に便利。

numbers = [1, 2, 3]
result = numbers.each_with_object({}) do |num, hash|
  hash[num] = num * 2
end
# => {1=>2, 2=>4, 3=>6}

使用すべき場面：

・ハッシュなど、配列以外のオブジェクトを作成したい
・データの集計や分類が必要
・複雑なデータ構造を構築する