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なぜ阿部寛のホームページはベストを尽くさないのか。

Last updated at Posted at 2019-10-22

はじめに

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人気ドラマ「トリック」や「新参者」など数多くのヒット作品に出ている俳優阿部寛さんですが、今絶賛放送中の「まだ結婚できない男」面白いですよね。エンジニアになって知ったのですが、阿部寛さんのHPが有名な事は皆さんにとっては既知の事かもしれません。

もし、私まだ知らないという方には未知なる世界を体験して頂きたいので、是非下記のリンクから見に行ってみてください。

阿部寛のホームページ

敢えて時代の流行り廃りに乗らない「トラディッショナルスタイル」のホームページデザインですが、不要な装飾をしていないコードのため、爆速表示が可能なのです。それが話題になり、阿部寛さんの個人サイトはエンジニア界隈でも「阿部寛のホームページ」として親しまれています。

しかし、今はWIXやホームページエディターでコードを知らなくてもおしゃれなサイトを簡単に作れる時代。
どうして阿部寛のホームページは「ベストを尽くさないのか」。

今日はその理由を、余計なお世話だろうが徹底考察してみたいと思います。
訂正や異論あれば編集リクエストもしくはコメント下さい。

スクリーンショット 2019-10-22 23.12.48.png
ホームページ作成|無料ホームページ制作ツール|Wix.com

なんのためにデザイン(装飾)をするのか

デザインとは、ユーザービリティに関連するものです。ここについて、多くの人は特段疑問を持たないでしょう。
しかし今回デザインが対象の価値を上げる存在なのか、あるいはデザインそのものが価値ある存在なのかという議論は今回置いておくとします。

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もし反論のある人がいるとすれば、私はデザインがユーザービリティあるいはユーザービリティを向上させるという理論は曲げようのない真実だと言いたいのです。何故なら、ブランディングや使いやすさなど色んなものがデザインによって向上することができるからです。

一方で、「阿部寛のホームページ」は、流行りという観点でWEBデザインを無視しているように思えます。CSSやJavascriptは当てられておらず、宣材写真も最低限で抑えられているからです。

しかし実際、阿部寛のホームページはユーザーに必要な情報を伝えるという点で本来の役割を果たしています。これは俳優のためのサイトして考えるなら必要最低限の品質を担保していることに繋がります。もちろん、俳優という職業特性も加味しなければいけませんが、、、

では、このサイトの品質が悪いのかと言われると違います。阿部寛のホームページとしては、むしろ良いとすら思えてしまうのです。
その理由については、次項で語ります。

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個人サイトの意味

俳優「阿部寛」のホームページを見る人はどんな人でしょうか。これはこの記事のように爆速であるからページを開きにきたという特殊ケースを除いて阿部寛のホームページを見に来ている人のことを指します。

一番多いペルソナは、出演情報について知りたいファンではないでしょうか。新作出演情報知りたいなとか、過去作で出演していた作品を知りたいなどファン達がニーズを満たすためにこのサイトを閲覧します。つまり、個人サイトは、基本的にファンのために存在する。私は、好きな人をテレビで見たいからこのサイトに来ると考えました。

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そして時代が変わり、これまで大衆だった人たちがインターネットの即時性のおかげで様々な才能を開花させて、タレント(あるいはアイドル)となることが容易になりました。そうなると、当然ファンができる。ファンはタレントの情報に飢えています。次の更新はいつか、活躍の場はどこか、次に何をするのかが気になって仕方がないのです。

個人サイトとは、そういったファン層のニーズを満たすものであり、彼らが求めている「対象の情報」です。だからこそ、阿部寛のホームページは"あれでいい"のではないでしょうか。では、"あれがいい"のは、何故でしょうか。

例えば今日突然、阿部寛のホームページが今風オサレサイトなったらどうなるだろうか。それはそれで良いかもしれないが、悲しくなる人がいるのではないだろうか。そして、ユーザーに混乱を生むのではないでしょうか。

阿部寛のホームページはこれまで沢山の記事で紹介されてきました。紹介のされ方もまちまちです。爆速、速度制限下でも開けるサイト、90年代を彷彿とさせる...なんて失礼な書き方もあります。

そして阿部寛のファン層も様々です。10代20代の若者もいれば、40代50代の往年のドラマを見てきた人もいることでしょう。私はトリックシリーズが大好きなんですが、、まあ要は幅広いファンがいる阿部寛にとって、今風でオシャレなホームページだけが正解ではないということです。

インターネットに詳しくない人、高速なネット環境が整っていない人たちにも平等に接することができる。そして、ファン達は自身のニーズを満たしていく。

前述の通り、個人サイトの意味とはファンに情報を発信するためのものである。オーソドックスな方法はブログだし、最近だとYouTubeになるんでしょうか。だが、プラットフォームは変われど、本質のファンという概念に新旧はありません。

阿部寛のホームページは、あえて情報発信という観点に絞って快適さを担保しています。そして、自身の広いファン層にとって最大公約数的に使いやすいであろうトラディッショナルスタイルのホームページ構成になっている。人によっては、これはかなりポジティブで都合の良い見方をしていないと心配ことだろう。

では、情報だけ発信すればよいのか。デザインの意味とはいったいなんなのだろうか。これについて次項で考えていきたい。

CSSやJavascriptの必要性

あえて、端折った言い方をさせて欲しいです。
デザイン、いわゆるcssやjsに代表される装飾物は何故必要なのでしょうか。
情報の理解をより容易にさせるためです。

人類がこれほど知的に進化した要因の1つに、言語と文字の発達は欠かせないでしょう。
これほどのコミュニケーションを確かにできるツールは他にないし、この2つを使いこなせる生き物は、人間以外存在しないはずです。

人類がまだアルファベットを使う前、象形文字という図化したサインを使ってコミュニケーションを図っていました。我々が視覚的情報を理解しやすいのは、歴史的に見ても正しいということです。

だからこそ、単に文字だけの粗野なページよりも色分けされていて、適度にアニメーションが施されたサイトの方が一般論としては使いやすいのです。

以上で装飾をするのは、理解を促すためだというのは持論に対して説明ができたと思います。
では、具体的にCSSとJavaScriptが必要な理由とは何でしょうか。
CSSが必要な理由は、情報と情報の間に適度な距離を保ってあげることだと思います。
家の敷地と同じと考えていいでしょう。
自分の家と他人の家に明確な線がないと、トラブルの元になります。庭はどっちのものだと。
CSSも同じです。きちんと情報をブロックにしてあげたり、並び方を統一し、区画を整備してあげないと混乱してしまいます。Aという情報とBという情報に柵を作ってあげないと、見てくれる人たちに混乱を与えかねません。
内容によっては見ればわかるよってものもあるだろうけど、そんな構造のサイトはあまりよいとは言えません。

ではJavaScriptの必要性はどうでしょうか。
機能が沢山あって、それによって説明する事は変わるでしょうか、僕の理解範囲で話をさせて欲しいです。
JavaScriptは、アコーディオンやグラフを動かしたりするようなアニメーションを装飾する時にも使います。

サイトに動きがあることによって、私たちは製作者の意図する内容をすぐに理解することができるし、深く内容が理解できたりします。これは副次的な意図になってしまいますが、サイトを見ていて楽しいと認識させる要素に一役買っている大きな存在です。

統計などの一見すると、理解するのに時間がかかりそうな内容や取っ付きにくい内容を見やすくしてくれる。心的ハードルを下げてくれる。とても便利な要素なのです。

阿部寛のホームページはWebサイト界のらくらくホンなのかもしれない。

話が脱線したので元に戻すと、視覚的に直感性が優れているものほど私たちは使いやすいと認識します。iPhoneが使いやすいのも同じでしょう。何をするかアイコンで選択する「操作の速読性」は、ガラケーの頃にはあり得ませんでした。(勿論、ガラケーは絞られた機能をガラケーという枠組みの中で使うため、使い方を知っている人にはとても使いやすいものです。)

ガラケーはまずメニューという階層のなかに沢山の機能があって、例えば僕の祖父なんかはこの階層の理解にとても苦労していた。逆にらくらくホンみたいに、シンプルにすることで迷う事も悩む事も無くしてあげられる。

ある意味で阿部寛のホームページというのは、使う人のニーズに寄り添ったWeb界のらくらくホンなのかもしれないですね。

本質的ニーズを捉えておく

阿部寛とファンにとっては、余計なお世話な記事だったかもしれません。しかし、このサイトの考察するとエンジニアがWeb開発をする時に何を意識してサービスを作るべきなのか見えてこないでしょうか。

時に「流行っているから」、「こうした方がいいから」と無意識的に、もしくはエンジニアが恣意的にサービス開発をしてしまっていないでしょうか。

なかなかユーザーのペルソナを考えたり、つくりたい物に対して本質的に何を求められているのか分からなくなる事もあるでしょうが、折れずに顧客ニーズの本質を追いかけて欲しいです。

エゴに消費者を巻き込んではいけない

エンジニアと経営層の間で衝突するというのは、よく聞く話かもしれません。この類の記事は多く出ますし、気になる内容です。確かに経営層の人の中には、十分なITリテラシーを持っている人が足りていないケースもあるかもしれません。

ですが、経営層には経営層の考えがある事も事実です。彼らの意識は、勿論儲かるか儲からないかという軸になりますが、サービスをひろめたいという点では協力できると思います。

大切なことは、消費者をエゴに巻き込まないことです。

なぜ阿部寛のホームページはベストを尽くさないのか。

いかがでしたでしょうか。
今時、ベストを尽くせばどれだけでもオシャレでカッコいいサイトを作る事は出来ます。
それは、お金の問題ではありません。Wixなどで作ることだって可能です。

でも、阿部寛のホームページはそうしないんです。
それは今時のサイト構成がユーザーにとってベストとは限らないからです。
あえて時流に流されないことで、阿部寛のホームページは多くの人の心に、デザインをしないデザインという新たなメソッドを打ち立てることに成功しました。

そして、私たちエンジニアは常にユーザーのためにベストを尽くさなければならないのではないでしょうか。

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